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スタジオ あくとれ
[麦人]:演出 【小さな家と五人の紳士】御案内

『どうしてお母さんを、縛ってるんです……?』
『こうしておかないと、逃げちゃうんです。』
『逃げる……?』
『ええ。あなた方は、逃げたりなんかしません……?』
『私たちがですか……?』

作・別役 実  演出・麦 人


☆ 公演日 ☆
2004年7月13日(火)〜18日(日)
詳細は
【こちら】です。

別役実・作『小さな家と五人の紳士』について

この作品は1979年、別役実氏、42歳のときに初演されています。
1970年、『ポンコツ車と五人の紳士』という戯曲が上演され、多分この作品を継続させるものとして書かれたのでしょう。さらにその後『カラカラ天気と五人の紳士』(1992年)、『ピンクの象と五人の紳士』(1994年)と、いわば「五人の紳士シリーズ」といったかたちで戯曲が書かれ、上演されております。
 これらの作品には、明確なストーリーも、起承転結もありません。五人の紳士がどこからともなく現れ、またどこからともなくこの紳士たちに絡む人物が現れ、ナンジャカンジャと分かるような分からんようなことをしたり、されたりして終わってしまう展開です。例えば『ポンコツ車・・・』では、自分の靴やその匂いにしつこくこだわって議論したり、誰が誰に出したかよくわからぬ手紙について推測しあったり、『カラカラ天気・・・』では、人が死ぬことについての方法論をあれこれ考えたり、死にたい女二人が突如現れ、実は死にたいのか死にたくないのかよく分からんまま去っていってしまったり・・・というような、ま、そんな展開の連続です。
 これらの作品からは、ベケットやイヨネスコといった不条理演劇の劇作家から影響を受けた別役氏の作劇術を色濃く感じます。さて「不条理劇」となると、観念的で難解な芝居だと、妙にかまえて創ったり観てしまう傾向もあるようです。確かにこの「小さな家と五人の紳士」も、まるで日常的ではないシチュエーションの連続です。しかしその一つ一つは、現実にある人の暮らしの中でよく起り得る体験や事件と深く結びついております。作者はそれを直截的に表現せず、巧妙なアイロニーや滑稽の精神によって客席にとどけようとしているのだと理解してもらえば、(作者がそう言ったわけではございませんが)決して難解な作品ではないと、演出する立場としては思っています。ですからその思いが客席にとどかぬとあらば、これはもう全面的に演出の責任であります。そしておそらく、安くはないチケットを購入して貴重な時間を割いてくれたお客様の中には、「とどかんかったぞ!」という人が必ずや存在するするであろう・・・と、小生いまから腹を括っております。かような方には心から「スンマッセン!」とお詫びするのみ、チケット代は返金しかねます。ねえ、今から不評の場合の予防線張って、実にフザケテルナと我ながら感心するのでありますが・・・
何々、それほど自信がないわけでもないんで・・・乞う、ご期待!!

このHPをのぞいてくれた皆様、是非劇場へ足を運んでくださりませ。

2004/06/02   独   歩  ・  麦    人




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