独談の舞台でオノレが演技しとってよく思うのは、
日常の時間感覚と、演じているときの時間感覚が、
オソロシイほどズレル、てえことだよな。
独り舞台で演じていると、
とにかく時間はアッというまに過ぎ去る。
二時間をこえる独談をしとっても、
舞台にいるオノレは、その時間の長さをおよそ感じない。
独談は常に己一人が舞台にいて、
ハナッから最後まで、喋りッぱなしでせにゃならん。
それでオノレのような熱演型のダイコン役者は、
演じている時間や間など、冷静につかむゆとりもない…、
それが正直なところなのかもかもしれん。
ホンマ、舞台で独り演じていると、
自分では十秒タップリはとったつもりの間が、
実際はほんの二、三秒だったりもするんだよな。
で、オノレの舞台を観てくれるウマイ役者から、
「あそこはタップリ間をとらなくちゃアカン!」てな、
厳しいご指摘をチョコチョコいただくハメとなる。
実際、本番の舞台においてオノレの時間に対する感覚は、
オソロシイほど日常とズレて狂っちま傾向がある。
ま、日常と舞台は別世界であるから、
オノレの計算で、あえてズラしたりする場合もあるのだが、
計算どうりにナカナカ上手くハマラナイのも現実である。
この悪い意味で時間がズレる感覚にいかに対処するか、
オノレはオノレなりに研究・工夫して、
いつもこのボンクラ頭で考えてはおる。
が、そりゃもう一筋縄ではいきませんのですよ…ハイ。
この八月、「象」は独談ではなく、
いろいろな役者さんと絡み合って演技をせにゃならん。
27年ぶりにそんな舞台に挑戦するオノレにとって、
この「日常の時間感覚と演技の時間感覚」のズレの解決は、
まことに大きなテーマであり、克服したい壁なのです!