オノレ日記帳

2005年10月の記録



  腹六分 !
Date: 2005-10-31 (月)
 60年以上も生きれば、
人の肉体は耐用年数の限度に近づき、
そのアチラコチラに異変を感じるのはしょうがない。
オノレの長兄は61でアッサリ死んだが、
幸か不幸かその兄よりオノレは長生きしちまったな。
年々実感せざるをえない老化にたいして、
オノレなりの覚悟はもっているつもりだが、
日常的にあんがい辛い現実は、
「食欲」をどう制御できるか。
空腹になればまだまだ若いときなみに食欲は起こる。
で、ついつい食い意地汚く腹一杯にしちまったら後が大変。
胃は長時間もたれ、胸焼け、ゲップ…と、
もう散々なことになる。
さよう、オノレの胃の消化力は、
オノレの考えている以上に萎えちまっとるてえわけだ。
とにかく腹八分、いや六分くらいで箸を置くのが望ましい。
なのにこの辛い自己抑制が、
意志薄弱なオノレにはなかなか実行できん。
つい数日前も回転寿司でたっぷり食ったら、
胃がもたれてゲップが止まらん。
ほとほと眠れぬ夜を過ごしてしまった。
でも回転寿司にしてはけっこう旨かったんだよな。
で、ついトロやサバやイカやウニやとアレコレ味わい、
八皿くらい食ッちまったら、
余計な苦しみまで布団の中で味わう破目となった!
 さて、今夜は吉祥寺の中国料理店で身内の結婚祝い。
「腹六分」だ!

  《普通の国》
Date: 2005-10-30 (日)
 日本国憲法の改正論者は言う。
自衛「隊」ではなく自衛「軍」にして《普通の国》にするのだと。
 オノレの認識では、人の命を奪い合う「軍」を有せずとも、
平和な国を維持できるのが《普通の国》であり、
厖大な予算を費やし、オソロシイ軍隊を持たなくては、
平和を維持できない国てえのは、
《普通ではない国》なのである!
 マチガッテイタラ ゴメンナサイ。

  巨大与党の化けの皮 !
Date: 2005-10-28 (金)
 近々、定率減税がなくなるそうな…バカタレ。
毎年申告の季節、この減税があったからほんのチビッと、
ウチのヤマノカミの眉間の皺がノビとった。
 近いうち、タバコが五百円になるそうな…バカタレ。
タバコは役者のオノレが酷使する声帯の調整剤だ!
 二年後には消費税が10%〜15%になるそうな…大バカタレ!
何が社会福祉とかに使うための目的税だ。
こんな政治家の詭弁を信用しちまうほど、
ワレワレ庶民はアホになっちまッたというのかい!?
 ワレワレがついこの間の選挙で選んだ、
小泉・竹中なんぞという大臣の、
自民・公明、巨大与党の化けの皮が、
いよいよ剥がれる!!

  携帯電話のゲームから…
Date: 2005-10-25 (火)
 今日はゲームソフトの仕事をいただき、
怒鳴ったり、狂気のごとく笑ったり、
断末魔の叫び声を発したり、
決して弱くないオノレの声帯も、
さすがにササくれだった!
 そういえば近頃電車内で、
ゲームに熱中している連中をよくみかける。
で、あの小さな液晶画面で「ようやるわい」と、
感心したり呆れたりもするオノレだが、
携帯電話で出来るゲームソフトには、
声優の声が入っているのもあるんかい?
そのうちオノレの前でゲームしとる奴の携帯電話から、
「ガハハハハッ!」とか、
「ウギャーッ!」てえような、
オノレのササくれた声が聴こえてきたりしたら、
これはチト冷や汗もんだよなア〜…。

  至福の時
Date: 2005-10-24 (月)
 昨夜は吉祥寺のき馴染みの店に行き、
鍵盤楽器奏者・武久源造夫妻とオノレ夫婦とで飲んだ。
源造さんと飲むのは初めてなんだが、
ご夫婦ともナカナカの「酒豪」であった。
談論風発、座は大いに盛り上がり、まことに愉しく、
久しぶりに気持ちよく酩酊した至福の時。
 生後まもなく視力を失った源造さんだが、
そこがどんな店で、今どんな客がおり、
どんな料理をつまみながら飲んでいるか、
目の見えるオノレなんぞより、
そりゃもうしっかり「視ている」という気がしたな。
日常、見えてるものさえボケーッと見落とし、
オロオロ・アタフタすることの多いオノレは、
日常感覚をもっと鋭敏にせにゃならんと、チト反省。
ホンマ、源造さんはその場に漂う空気の色まで、
映像的に視えとるのではありませんかね?
もっとも彼の言によれば、
「視覚障害の自分が健常者で、
障害のない健常者を病人」と、
ずっと思ってきたらしい。
これはまことに「哲学」的で、
人の本質を問われる言葉だぜ。
 オノレより一回りも若い源造さんだが、
その音楽に対する前向きで「挑発」的姿勢に、
オノレは共感し勇気づけられる。
 マケトレンワイ。

  我田引水
Date: 2005-10-18 (火)
 村上ファンド・ライブドア・楽天・etc…。
株や投資の世界に全く無知なオノレではあるが、
ようするに今の日本では、
「金」こそ力の連中が跋扈しているてえことだろう。
彼らがどない立派な能書きでその貪欲を正当化しても、
しょせん我田引水の企みが透けて見える。
芸術的文化の香りもナイ!
 それはさておき、マネーを運用して儲ける才も、
そのカネもないオノレのようなヤツの「ゲイジュツ活動」に、
援助してくれる奇特なファンドはござんせんかね?

  ナニヲカ イワンヤ
Date: 2005-10-17 (月)
《小泉首相 靖国神社 参拝》
ナニヲカ イワンヤ
ワレワレ コクミンガ エランダ 
キョダイ ヨトウノ
ソノ ダイギシタチガ エランダ 
ソノ ソウリダイジンノ スルコトダ
オオクノ アジアノ ヒトビトカラ
ドレダケ イカリノ コウギガ アッテモ
コノ ゴーマンナ 
ワレワレノ ソウリダイジンニ タイシテ
ワレワレハ ナススベガ イマハナイ
シカモ カヨウニカンガエル 
オノレノヨウナ ヤカラハ
コノ ニホンデハ 
スデニ ショウスウハ ナノカトオモウト
オノレノ クチビルハ ワナワナト サムイ

  ハイクラス
Date: 2005-10-16 (日)
 この間の衆議院選挙でメデタク代議士になった女性議員三人が、
外国記者クラブの席で艶説。
その中の一人は己の履歴が東大卒とか大蔵省とかで、
ハイクラスな仲間たちと共に学び仕事をなさってきたそうな。
つまり彼女は己自身を「ハイクラスな人間」だと自覚しておる。
では「ロークラス」な人間とは、
コイツにとってどない連中なんだと、
オノレはつい意地悪く訊きたくなったぜ。
ひょっとすると、オノレのごとき中卒で、
昔々その生業を、
「河原乞食」と蔑まれたヤツラのことでござんすかね?

  コリャ ウカウカ シトレン ワイ!
Date: 2005-10-12 (水)
 パキスタンの大地震、バリ島のテロ…。
毎年毎月、世界のあちこちで、
信じられんようなことが現実に起きて、
人も、地球の大地もボロボロだな。
で、余りにとめどなく起きるそれらの現実に、
オノレの理性はいささか麻痺しちまっているのかもしれん。
大災害や悲惨な事件の映像を目にしつつ、
同時に大リーグ・プレーオフの映像を見て、
「松井が打った、打たない」と、
一喜一憂しているんだからな。
さよう、大リーグ・プレーオフに熱狂する米国を見ていると、
ハリケーン・カトリーナで、
どん底に喘ぐ人々がいることさえピンとこなくなる。
 ところでオノレの理性が麻痺しとる間に、
日本の国会では、圧倒的与党の自民・公明が、
いよいよ憲法改正の動きを加速させているらしい。
 コリャ ウカウカ シトレン ワイ!

  岸田國士・作「動員挿話」
Date: 2005-10-07 (金)
 昨夜観た岸田國士・作「動員挿話」という舞台では、
優れた戯曲のもつ客席への訴求力を、
改めて認識させられたな。
 奉公先の軍人に、戦争(日露戦争)に出征するので、
「自分の供をし、馬の世話をたのむ」と命じられ、
優柔不断に悩む馬蹄の夫。
決然と出征に反対するその妻。
一時間前後の短い芝居だが、緊張感にあふれ、
結末の哀しい、チト救いのない夫婦葛藤のドラマだ。
 シアター・ブロックというグループが、
中野富士見町にある「プランB」という狭いスペースで、
この10日まで上演しとる。
そう、今月末から新国立劇場でもこの芝居をするらしい。
 お金も人材も不足しているであろう、
この無名グループの舞台と、
お金も人材も潤沢であろう、新国立の舞台とでは、
その出来上がりに、たぶん大きなちがいがでる。
しかし昨夜の舞台に出演しとった連中は、
とにかく真摯に、熱い舞台創りをしておったぜ。
そして何より、強者、弱者、
それぞれの人間関係とその葛藤を、
鋭く深く描写した劇作家・岸田國士の作品力は、
まことに粗末で寒々しい装置や照明も気にならんほど、
オノレの胸に強い訴求力で迫ってきたのである。
 それでも…やっぱり、新国立の舞台を観にゃならんわい!

  人間というものは…
Date: 2005-10-01 (土)
 映画「羅生門」のシナリオ意図について、
黒澤明監督自身がふれている文章がある。

 人間は、自分自身について、正直なことは云えない。
虚飾なしには、自分について、話せない。
この脚本は、そういう人間というもの、
虚飾なしには生きていけない人間というものを描いているのだ。
これは、人間の持って生まれた罪業、人間の度し難い性質、
利己心(エゴ)が繰り広げる奇怪な絵巻なのだ。
(中略)
 私も、この自伝のようなものを書き綴って来たが、
果してその中で正直に自分自身について書いているのだろうか?
 やっぱり、自分自身の醜い部分にはふれずに、
自分自身を大なり小なり美化して書いているのではあるまいか?

 映画「羅生門」という名作を、
この監督の意図を意識しつつ、もう一度鑑賞したいと思う。
巨匠黒澤にして自己の虚飾をこのように自問自答しとる。
であるからして、オノレの「オノレ日記帳」が、
美化と虚飾に満ちていることはいうまでもない…。
 スンマッセン!