東京はこのところ好天続きで、明日からは十二月。 公園や遊歩道のあちこちで、 道一面の落葉を片づける人の姿をみかける。 オノレは今朝、そんな人たちを目にしつつ、 くわえ煙草でプラプラのんきに散歩していた。 と、せっせと落葉をかき集め小山にしとる、 姉さん被りの婆さんとすれちがいざま、 おそろしい眼差しで睨まれた。 オノレは慌てて携帯灰皿に煙草を押しつぶし、 「この吸殻は道に捨てたりしませんのヨ」という顔で、 ニコッと軽い会釈をし婆さんをみた。 それでも彼女のおそろしい目つきに変化はなく、 不道徳なオノレが立ち去るまで、 徹底監視するかのようであった。 さよう、婆さんとすれちがっても、 しばらくオノレの背中は、 その鋭い眼光に射抜かれとったな。 家にもどってホッと一服吸いながらヤマノカミに、 「モウ、アルキナガラノ《クワエタバコ》ハ、 コンリンザイ、ヤメヨウトオモウ」 そう報告すると、やはり恐い眼差しでオノレを睨み、 「シンジラレナイ」と、ただ一言。
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