太平洋戦争の終戦を朝鮮で迎えた蜂谷弥三郎は、
妻子と日本に引き上げようとするが、
スパイとしてソ連軍に捕えられ、
極寒のシベリアの強制収容所に送られる。
が、刑期を終えて出所しても、
スパイ容疑のため帰国は許されずソ連に残され、
ロシア国籍を取得、クラウディアというロシア女性と出会う。
互いの境遇を何日も語りあい二人は結婚。
やがてソ連は崩壊しロシアになり、日本の妻と連絡がとれる。
妻は夫の生存を信じて待ち続け、再婚もせず、
女手ひとつで娘を育て上げていた。
クラウディアは弥三郎を日本に帰すことを心に決める…。
三軒茶屋・パブリックシアターで観た、
「クラウディアからの手紙」は、
このような実話をもとにした舞台である。
いつであったかこの実話は、
NHKのドキュメンタリーでも放送され、
オノレはこれを見て目頭を熱くしたおぼえがある。
で、そのときに負けぬほど今日の舞台の終盤、
オノレは泣けて泣けて嗚咽の大声を出しそうであった。
とにかく鐘下辰男の脚本・演出がすばらしい。
主演の佐々木蔵之介をはじめ、出演者の演技はおしなべてよい。
中でもクラウディア役・斉藤由貴の好演は特筆モノであった。
また別の舞台でも観たい女優さんである。
この劇場のチケットは、いつもチト高いような気もするんだが、
今日の舞台を観せられてはイタシカタナイ。