オノレ日記帳

2006年7月の記録



  つい徹夜して、シマッタ!
Date: 2006-07-31 (月)

 土・日と続けて、
秋公演の演出プランを練るためパソコンにクビッタケ。
両日とも、始めたのが午後十時過ぎだったせいもあるが、
土曜は午前三時半過ぎに床に入り、
何と昨夜は我にかえれば夜が明けとって…つまり徹夜。
いつ以来であろうか?
かようなプランを練っていると不思議に眠たくならんのだ。
神経がのどこかがカッテに昂ぶり、(神経のどこかがデス)
異常に高揚しちまうせいかもしれん。
おかげで昼飯を食った今頃(午後二時過ぎ)になって、
猛烈に瞼が重い…こりゃ参ったネ。
 実は今日からの月曜日、三週続けて、
夕方から二本の仕事をせにゃアカンのだ。
しゃあないッ! 気合を入れて、そろそろ出かけよう。
もっとも今日は日本とも、(二本デス)
台詞がほんのチットでチト助かる。
それもあって、ついつい徹夜になって「シマッタ!」。

(ヤマノカミに指摘され、翌日訂正…徹夜はアカン)


  中野新橋で…
Date: 2006-07-27 (木)

 四二年ぶりに、オノレが初婚のとき暮らした街へ行った。
(ええワタクシ…、まことに恥ずかしながら、
今のヤマノカミとはムニャムニャ回目の結婚でござんす)
 地下鉄・丸の内線、中野新橋駅で下車し、
徒歩五六分のところにあったアパートに新婚所帯をかまえた。
この中野新橋へ、親しい役者が出演しとるイプセンの芝居を、
マンション地下の小さなスタジオで観るために行ったのである。
もちろんあの頃の町は街になり、風景はすっかり変わった。
オノレの住んだアパートがどの辺であったかさへ見当もつかん。
 四十二年ぶりに訪れた街は、
オノレの脳にいくらかの甘くホロ苦い記憶を呼び戻したが、
それはたぶん、失われた記憶の重さに比せば余りに軽い。
 振り返る過去は、加速をつけて日々遠ざかる。
ふとデジタル表示の、無感情に変る時計の数字を見つめれば、
忙しない不気味な感情に襲われて…足取り重くなる。


  おでんの 「お多幸」
Date: 2006-07-25 (火)

 昼、千石・三百人劇場で劇団昴・ザ・サード・ステージ、
「猫の恋 昴は天にのぼりつめ」を観劇。
 夕方、音響プランナー・小原木君と、
秋公演「はるなつあきふゆ」の打ち合わせ。
場所は新宿の「お多幸」という、おでんが売りの居酒屋。
かつて故・殿山泰司大先輩の身内が経営しとったお店。
(タイチャンは、もともと銀座にあった「お多幸」で育った)
 黒々とした出し汁がおでんの具によく滲みこんどるが、
決して辛くもしつこくもなく、
どちらかといえばサッパリ味でなかなか旨い。
 一階はいつも満員だが、二階はそうでもなかった。
芝居の打上によさそうだな…。


  花園神社の野外劇・椿組公演 「GS近松商店 」
Date: 2006-07-24 (月)

 昨日、二つの対照的な舞台を観た。
昼はシアターコクーンで、「哀れ彼女は娼婦」。
ルネサンス演劇の代表的劇作家、ジョン・フォードの作。
イタリアを舞台にした貴族の子供、兄と妹の近親相姦悲劇。
 この劇をとりあげた方々は、
いったい何を客席に届けたかったのか…、
オノレの頭ではチト理解に苦しむ。
土壇場の、絵にもサマにもならん修羅場に、
思わず苦笑を禁じ得なかったオノレである。
 今や「世界の○○」といわれるらしい方の演出。
長い長い三時間余の芝居であった。
チケット代、九千円なり。

 夜は花園神社の野外劇。
椿組公演「GS近松商店」(作演出・鄭義信)
こちらはコクーンの半額、四千五百円のお代。
やはり三時間を超える舞台であったが、
芝居を通して客席に何を問うか…、
創り手から強烈なメッセージがあった。
オノレが今年観た中ではダントツの凄い舞台だ。
 近松の「女殺し油の地獄」をモチーフにしとるが、
もちろん舞台は現代日本。
不景気に活気を失った地方都市と思われる寂れた町の、
今にも潰れそうなガソリンスタンドがメーン。
その経営者夫婦の冷え切った関係と、
その妻に心底惚れてしまうドモリの青年。
この三角関係を主軸に、
それぞれモロモロの問題を抱えた登場人物が続々登場。
さらに中国人パブのママやホステスも絡んで、
舞台は大いに客席を笑わせながら悲劇的結末を迎える。
その悲劇の伏線に張られたドタバタに笑うほど、
大詰、哀れな最後を選択してしまう男女の痛みが、
オノレの胸にジンジンとこたえてくる。
またその悲劇のさらなる深みには、
台詞では語られぬ『差別』や『村社会』の縮図がある。
二層、三層に仕組まれたこの劇構造にオノレは唸った。
 かような悲劇の流れと並行し、合間合間の前舞台では、
湿った不景気を忘れようとでもするかのように、
近づく祭りで「忠臣蔵」をやる青年団と町の人々の、
チト空元気、自暴自棄にも思える、
エネルギーに満ちた稽古過程が、
さまざまな人間模様を見せながら展開する。
それはさながら、大都市から取り残され寂れる一方の、
地方の喘ぎ声にも、瀕死の叫び声にも聞こえてくるのだ。
 観終わって、オノレは客席の暑さもすっかり忘れ、
この芝居を創って観せた椿組とその座長・外波山文明、
作演出・鄭義信の、精魂傾けた熱い劇的姿勢に、
いつもボケとる脳内が珍しく火照った!
 ありがとう!!


  語り・朗読の世界
Date: 2006-07-22 (土)

 午前中、ゲームの音声収録。
昼は、長く語りを続けている知人の「語りの会」へ。
20人ほどで一杯の小さなスペース。
そろそろ喜寿かと思われる知人の女性が主宰し、
藤沢周平の「荒れ野」を読む。
歳を感じさせぬ瑞々しい声に感心。
他に二人の女性ゲストで二作品。
 さて、オノレも語りに挑戦した過去は何度かあるが、
芝居とは異なる表現の難しさに毎度苦労し、
客席からの手応えをなかなか感じることができんかった。
で、人さまの語り、或いは朗読を「聞いて」よく思うのは、
もっと客の聴覚だけではなく、
視覚にも訴えて伝える術がないものか…てえこと。
今日もそうであったが、語りが始まって間もなくすると、
多くの客は瞼を閉じてずっと聞いとる。
中にはそのままやすらかに眠ってしまう姿もチラホラ。
「語りや朗読の世界はそういうもの」なのかもしれんが、
オノレはかような客席の光景に、どうしても違和感をもつ…。


  あの昭和天皇も…
Date: 2006-07-20 (木)

 靖国A級戦犯合祀について、
昭和天皇が不快感を示し、以来その参拝をやめたという。
このニュースを耳にして、
あの御方さへ、太平洋戦争後の日本のありかたに、
それなりキチンとした見識をもってはいたんだと、
オノレはチト救われた思いがした。
それでもあの戦争を容認し、悲惨な戦争を遂行した責任を、
彼がすべからく免罪されるものではない!
 さて、この事実を記者から問われ、
我がプレスリー・小泉宰相曰く、
「それぞれの心の問題、参拝は個人の自由…」だと。
 どうにも度し難く救いがたい、
現日本の最高権力者である!


  打ち合わせには 「酒」
Date: 2006-07-19 (水)

 ここ数日、チト涼しくなってホッと一息。
梅雨明けは延びそうだが、猛暑よりは雨がいい。
とはいえ各地で大雨が続き、
その被害に遭われた方々を考えるとホッともしとれん。
 後、一月半もすると、
いよいよ「はるなつあきふゆ」の稽古が始まる。
今のところ、その準備は順調に進んでいる。
今日も照明の明日(みょうが)氏と、
基本的な打ち合わせのため、夕方から一杯飲む。
打ち合わせに「酒」がつきもののオノレである。


  モウ、イヤッ!
Date: 2006-07-13 (木)

 なんじゃ、この耐え難き蒸し暑さの毎日は…。
外出するのも億劫、口を利くのもかったるい。
あれこれ考えたくもない。一切何もしたくない!
 水を浴びて、ビールを飲んで、
泡盛ロックで酔っ払い、早く寝るしかござんせん。
 モウ、イヤッ!

 雷鳴に一雨くると思うたら雨雲避けて頭冷やせず  麦  人( PM3:40分・記 )

 PM5:45分  待望の夕立。 頭を冷やした!


  花火大会
Date: 2006-07-09 (日)

 子供の頃の夏、井の頭公園では花火大会があり、
吉祥寺の自宅、二階の窓からよく見えた。
空を遮るものはなく、家族皆が窓際に集まり、
「タマヤーッ!」「カギヤーッ!」と無邪気に叫んで楽しんだ。
 20年以上も前、土浦の花火大会を友人と見て以来、
打上げ花火をこの目で直に見とらん。
土浦では今も開催されてるのかよくわからんが、
これはずいぶん大掛り、派手な花火大会だった記憶がある。
見物に来た人出も半端でなく、
見終わってからの帰路はガックリ疲れた。
 品川に住む役者の先輩から葉書が届き、
この八月、東京の湾岸花火を見ながら飲み会をするので、
「いらっしゃい」と、お誘いがあった。
都合よく仕事も急用もなければ、
空に描かれる大輪の花の数々を久し振りに見たいのう。
この世の憂さをすっかり忘れてさ…。

  口だけは大きい花火を打ち上げる   麦  人


  彦さん…
Date: 2006-07-08 (土)

 二日ほど前の朝刊で、
オノレもそれなり親しくお付き合いさせていただいた役者、
彦さんが亡くなったことを知る。
 彦さん…松村彦次郎。
昔は「ぶとうのかい」「風」というような劇団で活躍、
声の仕事もいろいろされとる。
オノレよりずっと年上の大先輩。
細身で銀髪、あまり無駄口をたたかない。
しかし話せば実に柔らかい喋りをする繊細な人柄。
もちろん役者として、
一本筋の通ったノウハウをしっかり持っている人であった。
中でも彦さんは「詩を演ずる」という企画で、
言葉のもつ力、美しさ、面白さにこだわり、
独自の気骨ある雰囲気の舞台を創り、
長年にわたってその活動を続けてきた。
 彦さんの、飄々とリズミカルな語り。
軽やかで茶目っ気のある身のこなし。
その巧みな舞台のいくつかは、
オノレの脳天に今もしっかり刻まれとる。
 享年七十九歳…合掌。


  今、そこにある危機!
Date: 2006-07-07 (金)

 北朝鮮のミサイル発射で、
「今、そこにある危機」てえようなことをオノレは思い出した。
実際、ノドンと称されるミサイルは、
日本を射程に入れて、相当数配備されとるらしい。
いつかこれが発射され、
その幾つかでも日本の原発に命中…と想像すれば、
考えるだに恐ろしい地獄絵を我々は見ることになる。
間違っても金正日サマには、
そんな狂気の沙汰をされんよう願うばかり。
が、とにかく自らを、
《神》をも超える存在において恥じぬお方だけになあ…。
 さて、日米がこれほど深刻にかまえる「今、そこにある危機」は、
北朝鮮の権力者も「今、そこにある危機」を、
我々同様、否、より強く自覚しているということだろう。
ますます世界から孤立し、さらに疲弊していく社会を前に、
自暴自棄にも見える金正日サマや軍部の危機的行為を止める、
平和な手立てはないものか?!


  チラシ完成
Date: 2006-07-05 (水)

 11月の独歩プロデュース公演、
「はるなつあきふゆ」のチラシ完成。
早速、オノレのHPに掲載した。
 皆さま、面白い舞台になる「予定」ですので、
是非11月は吉祥寺シアターへ!!


  午前4時前の起床
Date: 2006-07-02 (日)

 午前4時前に目覚まし時計のアラームで起きる。
もちろんサッカーW杯、ブラジル対フランスの試合をTV観戦するため。
 オノレはブラジルの圧倒的勝利と予想してたんだが、
結果はまるで正反対。
1=0ではあったが、
3=0くらいでフランスが勝ったような印象。
ロナウドもロナウジーニョもおよそいいところがなく、
ジダンやアンリの素晴らしいパフォーマンスばかりが目立った。
 眠い…。


  芝居よりも…?
Date: 2006-07-01 (土)

 午前中、アニメのオーディション。
午後二時から三百人劇場で、
劇団・昴公演「億萬長者夫人」(作・福田恆存)を観劇。
 終演後、出演しとった役者・金子由之君と飲む。
観た芝居も別に退屈はしなかったが、
それより愉快な時間を、
彼と語らい過ごしたような気がするなア…。
 さて、巣鴨のなかなか繁盛している居酒屋さんであったが、
億萬長者らしき夫人の姿はナカッタ!