今回の芝居、「はるなつあきふゆ」を演出しながら、
かつ役者としての表現を創造しながら改めて思う。
それはよい戯曲ほど、ドラマの流れと台詞を適確につかみ、
それを「普通に」「素直に」演じることさえ出来れば、
そこに必ず面白い劇的世界が展開する…てえこと。
別役実という劇作家の芝居を観て、
「ムツカシイ」という感想をもつ人も多い。
だがそれは、たぶん創りて側が、
ことさら「普通に」「素直に」創らず、
戯曲を無闇にコネクリ、色づけし過ぎちまう結果、
反って「ムツカシイ」芝居だと、
観てに思われてしまうのではあるまいか?
我々舞台現場の創りては、戯曲構成や台詞の裏に、
劇作家の「企む」何かがあるはずと過剰に読み取り、
(それはもちろんあるのだが)
コネクリ過ぎて創る罠に嵌ってはいかんのだ。
オノレは今、「シンプル・ザ・ベスト」を念頭に、
「はるなつあきふゆ」最後の仕上げ稽古に臨んでいる。