オノレ日記帳

2006年10月の記録



  「シンプル・ザ・ベスト」
Date: 2006-10-29 (日)

 今回の芝居、「はるなつあきふゆ」を演出しながら、
かつ役者としての表現を創造しながら改めて思う。
それはよい戯曲ほど、ドラマの流れと台詞を適確につかみ、
それを「普通に」「素直に」演じることさえ出来れば、
そこに必ず面白い劇的世界が展開する…てえこと。
 別役実という劇作家の芝居を観て、
「ムツカシイ」という感想をもつ人も多い。
だがそれは、たぶん創りて側が、
ことさら「普通に」「素直に」創らず、
戯曲を無闇にコネクリ、色づけし過ぎちまう結果、
反って「ムツカシイ」芝居だと、
観てに思われてしまうのではあるまいか?
 我々舞台現場の創りては、戯曲構成や台詞の裏に、
劇作家の「企む」何かがあるはずと過剰に読み取り、
(それはもちろんあるのだが)
コネクリ過ぎて創る罠に嵌ってはいかんのだ。
 オノレは今、「シンプル・ザ・ベスト」を念頭に、
「はるなつあきふゆ」最後の仕上げ稽古に臨んでいる。


  残るところ四日
Date: 2006-10-28 (土)

 今日あたりからチケットの申し込み状況が急激に増えた。
といってもまだまだなのであるが、初日まで残るところ四日。
オノレも最後の制作的努力をせにゃならん。
 現段階での芝居の出来上がりに、
演出としてのオノレは確かな手ごたえを感じとる。
それでも最後の最後まで満足せず、
よりよい創造的成果を目指してガンバルのみ!


  オタスケクダサイ !
Date: 2006-10-26 (木)

 いよいよ一週間後には、
独歩プロデュース公演「はるなつあきふゆ」の初日。
このところの稽古場は、心地よい緊張感と熱気にあふれ、
全ての役者・スタッフの前向きな姿勢をひしひしと感じる。
正直、オノレの望んだ以上のアンサンブルのよさに、
チト驚きつつ感謝をしている。
演出として、その創造的成果にも手ごたえがある。
で、あとは一人でも多くのお客様に観てもらい、
この舞台の面白さを堪能していただければよいのだが、
現在までのチケットの売行きは、
とても制作者として悦べる状況にはない。
つまりオノレが興行プロデューサーとして、
「いかに無能であるか」てえことにつきる。
ま、最終的にどないヒサンな観客動員数になろうと、
オノレは腹を括っておりますが…、
「オタスケクダサイ!」


  「劇的普通の会話表現」
Date: 2006-10-22 (日)

 人間てえのは、日常「普通」に会話をしている。
で、現代劇の作家は、その普通に会話している言葉を、
「劇的普通の台詞」に仕立て上げ、
役者はその台詞を、
「劇的普通の会話」のごとくに表現して喋らにゃならん。
ところがオノレのごとき不器用な役者は、
その「劇的普通の台詞」を喋ると、ついつい普通ではない、
「ウソクサイ」会話表現になっちまう。
 「はるなつあきふゆ」の稽古もいよいよ大詰め。
役者としてのオノレは、
より深く「劇的普通の会話表現」で喋るため、
未だ悪戦苦闘の稽古を続けとる。


  姉御のシゴキ
Date: 2006-10-21 (土)

 昨日はオノレにとって、
もっともオソロシイ存在である姉が通し稽古を見学。
で、全員の稽古が終わった後、
二人でマンツーマンの抜き稽古。
いや、ケチョンケチョンにシゴカレました。
 ホンマ、オノレが己の演じる姿を、
客観的にしっかりつかむことは至難の業。
であるからして、たとえ容赦なく辛らつでも、
もっとも信頼する姉御の批判と助言には、
さすがのオノレも素直に従わざるを得ないのである。


  11月公演の初日が迫ってきた
Date: 2006-10-19 (木)

 あれよあれよと11月公演の初日が迫ってきた。
本番の舞台で、お客さまがどう評価してくれるか…、
オノレの胸中では期待と不安が渦巻いとる。
しかしここまでの稽古を見る限り、
演出として確かな手ごたえを感じているし、
厳しいお客様の観賞眼に耐えられる良い舞台になるであろう!


  似たもの同士 !
Date: 2006-10-16 (月)

 北朝鮮の核実験成功の報に世界が揺れている。
ホンマ、この金正日・独裁国家の有様に、
オノレはただただ唖然・呆然とする他ない。
この現実に対して、今ある平和を守るため、
我々日本は、日本人は、
いったいどのような姿勢で臨めばよいのか…。
これは至難の選択だよな。
 はやくも自民党の政調会長とかいう御仁は、
「日本の核武装を議論してもよい」てなことを、
全国放送のテレビ討論でオッシャッタとか…。
 被爆国・日本に、かようなドアホが出現する時代なのである。
心ある国民は、ゆめゆめユダンしてはアカン。
 近くて遠い二つの国家に、
少なからぬ似たもの同士のドアホがいて、
しかもそんな輩が政治の中枢を握ってござる。
 オタスケアレ !


  集団の知恵と創造力
Date: 2006-10-15 (日)

 オノレの独演とは異なり、
大勢の出演者・スタッフと共に芝居を創る歓びを、
今回ほど感じる稽古場はない。
それは去年も一昨年もそうであったが、
常に二十五人以上の人が集って稽古をする今年は格別である。
関係者一人ひとりの知恵と創造力が、
日ごと形を変え、波のごとくうねり、ぶつかり合い、
しだいに溶け合い深みをまして大海原となる…。
そうなって欲しい。
正直な気持ち、この集団の融合さえうまくいけば、
演出の役割なんてえのは、
まことにチッポケな存在のような気さえする。
 多くの出演者とスタッフの知恵と創造力を、
いかに活発に引き出し深く融合させるか…。
これぞ演出の最も大切な仕事だと痛感している、
今日この頃のオノレである。


  「頂上」はない
Date: 2006-10-14 (土)

 「はるなつあきふゆ」の稽古は、
いよいよこれからが胸突き八丁の正念場。
17日からは通し稽古が中心になる。
本番の舞台でお客様に観ていただくには、
まだまだレベルアップせにゃならんし、
創造の山登りに「頂上」はない。
ひたすらテッペンめざして、一歩でも上を目指すだけである。


  創造のためには…
Date: 2006-10-09 (月)

 「はるなつあきふゆ」の舞台では、
煙草を吸ったり、ロウソクや線香に火を点けたりする。
そのため消防関係に許可をもらわなければならんのだが、
これがなかなか厳しく厄介である。
舞台のどこで、誰が、幕開きから何分後に、
どのような状況で…、てなことを詳細に書類に書いて提出する。
 またこの芝居には巡査が登場するのであるが、
この制服一式を衣裳やさんから借りるのにも一苦労。
もちろん犯罪に悪用されては困るからであるが、
衣裳や・小道具や・警察のそれぞれに台本を提出、
けっこうなお金を払って借りることになる。
 一つの舞台を手抜きなく創るには、
オノレの苦手なお役所や警察にまで、
ときに頭を下げてオネガイせにゃアカンのです。


  大荒れの金曜日
Date: 2006-10-06 (金)

 空は大荒れの金曜日。
「はるなつあきふゆ」の稽古は、
たまさかお年寄りの出演者はお休み頂き、
若手の役者を集中的に稽古する日にしといてヨカッタ!
 明日は天気も回復。
今日お休みしたベテランの方々…、
若手の役者の、たった一日での目覚ましい進境に驚くなかれ!!


  思わずニンマリ
Date: 2006-10-01 (日)

 「はるなつあきふゆ」の立稽古は、
昨日でおおまかな全体の動きが見えてきた。
それにしても今回出演する役者・スタッフの、
この芝居に向ける姿勢は驚くほど真摯で熱い。
 稽古をできるだけ見たいという若い役者さんが、
三日ほど前はじめて見学に訪れ、
この芝居に参加している役者の、
創造に取り組む「意識」の高さを、
目え円くしながらホメてくれた。
で、プロデューサーとしてのオノレは思わずニンマリ。
しかし役者としてのオノレはウカウカしとれんぞ。
もちろん演出としての役目をきっちりせにゃならんが、
そのことで出演者としての役創りに遅れをとって、
皆さんにご迷惑をかけることは許されんわい!