オノレ日記帳

2006年12月の記録



  何事もなく…
Date: 2006-12-31 (日)

 昼近くから、ヤマノカミと部屋の片付けと掃除をモサモサ。
午後六時過ぎから飲み始め、九時過ぎ、何事もなく床入り。

  ふと置いた老眼探す大晦日   麦  人


  久し振りの句会
Date: 2006-12-29 (金)

 昨夜、秋の芝居を観てくれた知人の飲み屋に、
その礼をかねて顔を出すと、参加者三人だけの寂しい句会。
で、やはり俳句が趣味の客とオノレの二人で飛び入り参加。
参加者五人となり、オノレは何とか頭を捻って三句作った。

   冬の朝オッタマゲと呼ぶカラスあり

 この句には、みんながオッタマゲたようで、
何と三人の方から選をもらった。
あとの駄句はあまりに稚拙で公表を憚る。
その変わりに、今頭に浮かんだ句を載せる。

   幸せを秤にかける年の暮れ

 載せないほうが賢明であったか…?!


  ハインリヒ・シュッツ合唱団・東京
Date: 2006-12-28 (木)

 昨夜は友人の鍵盤楽器奏者・武久源造氏さんの関わる、
《コンヴェルスム・ムジクム》というグループの演奏会を聴きに、
杉並公会堂・グランドサロンまで行ってきた。
演奏されたのは、シュッツとバッハのクリスマスに縁のある曲。
 源造さんはオルガンとチェンバロを弾きながら指揮をとり、
小休憩を挟んでおよそ二時間、
相変わらずエネルギッシュな演奏パフォーマンスを、
オノレに見せて聴かせ、「魅せて」くれた。
 ところでビックラこいたのは、
ハインリヒ・シュッツ合唱団・東京というメンバーの方々。
二十人以上はいたであろうか…?
とにかく相当ご高齢の方々が多く、
八十を過ぎてる方もいたとオノレはお見受けしたのであるが、
もしずっとお若いのであったとしたらゴメンナサイ。
しかし音楽を理解する知識に乏しいオノレでも、
このシニアの多い合唱団のレベルは大したもんだと感じた。
ま、門外漢のオノレにとって合唱のレベル云々はさておき、
歌っている彼らのその姿を見ているだけで、
実に愉しく飽きない時間であった。
メンバーそれぞれの歩いてきた人生をこちらでカッテに想像しつつ、
精一杯歌うその合唱に耳を傾ける。いやもうそれだけで、
聞えてくる声の響きはより一層味わい深いものとなった。
さよう、彼らの合唱を聴きつ見ながら、
オノレの頬は思わず何度も緩んだのであります。
近所の人のよい八百屋のオカミサンみたいな人がいる。
昔、教壇に立っていた、生真面目な先生のような人がいる。
そして若き頃、女優の夢破れし風情を漂わせている人。
はたまた無口な職人あがりで頑固オヤジのように見える人…。
それらの方々の白髪や皺や楽譜を見る瞬きや表情から、
理解できないドイツ語の歌詞を凌駕し、
オノレに伝わるってくる世界があった。
そのまことに劇的ともいえる世界を、
このボンクラ頭の中でではあるが、
オノレはオノレなりに熱い想いで見ていたのだ。
 「若さ」だけが生きる価値や力ではない…と、
つくづく、嬉しくなるほど教えてくれた演奏会。
オノレは改めて、ハインリヒ・シュッツ合唱団・東京の方々に、
大いなる「連帯」の拍手を送る!


  清々しい朝
Date: 2006-12-27 (水)

 冬に夏の嵐が来たごとき昨日からの大雨と雷。
その嵐が過ぎ去った今朝、我が家のマンションからは、
丹沢連峰の山脈(やまなみ)や富士山が彫刻のようにクッキリ。
30分も歩けば麓まで行けそうな錯覚に落ちそうな近さに見える。
都市部でも大気に塵なければ、
遠出しないと望めぬ風景の一端を垣間見ることができるのだ。
 今日は気温が20度まで上がるらしい…。
清々しい朝の景色ではあるが、やはり地球の大気は狂っとる!

  山脈をまるごと移す冬の雨   麦  人


  ケジメ
Date: 2006-12-26 (火)

 新しい年になるまで一週間を切ってしまった。
そんな師走の日々を、オノレも何となくソワソワ過ごしとるが、
それほど慌ただしいわけでもない。
何事にもケジメをつけるのが得意でないオノレにとって、
大晦日も元旦もどちらかといえば365日の一日でしかない。
ま、それでも元旦の朝は、
最近自宅の近所に出来た温泉施設に出向き、
一年のアカをゴシゴシ擦って、「ケジメ」をつける予定である。

  神仏いよいよ盛る年の暮れ  麦  人


  二度と見たくない夢
Date: 2006-12-23 (土)

 今朝は厭な夢を見て目覚めた。
チト公表を憚るようなキタナイ夢である。
大衆浴場のごとき広さの壊れた公衆トイレの中で、
オノレが汚物まみれになっちまうのだ。
オノレはかような夢を年に一度くらい見る。
はたしてこの手の夢は、
オノレのいかなる深層心理から生まれるのであろう?
とにかく二度と見たくない夢ではある。


  合掌…。
Date: 2006-12-21 (木)

 岸田今日子、青島幸男のお二人が亡くなった。
七十六歳と七十四歳、オノレより干支一回りくらい上の世代。
 岸田さんの舞台はこれまでにいくつも観ているが、
一昨年十月、所属する演劇集団・円の舞台、
「トラップ・ストリート」(別役実・作)を観たのが最後になった。
 チト怖くも感じるギョロ目で、唇の厚い個性的な顔。
ヌッタリした独特の喋りに味があり、
不思議な雰囲気をかもし出す知的女優であった。
 六十一で死んだオノレの兄とほぼ同世代のお二人。
合掌…。


  BSi 「日本の四季・旅の遊民記」
Date: 2006-12-20 (水)

 BSデジタル・BSiで放送中(毎週月曜日夜10時)の、
「日本の四季・旅の遊民記」全13本のナレーション収録が、
本日ですべて終わった。
民放のチト賑やか過ぎる旅・温泉ものと異なり、
まことに淡々と静かに各地の宿やホテル、
名所などを案内する番組である。
であるからして、ナレーションも必要以上に語らず、
オノレにとってはまことに楽というか、
マイペースで気分よく語れた。
 来週の月曜が、シリーズ最後の放送になると思うが、
年が明けて1月8日(月)から全て再放送されるという。
 BSデジタルをごらんになれる方は、
ちょいと見ていただければ嬉しい限りであります。


  DVDへのコピー
Date: 2006-12-18 (月)

 DVDの時代になって、
オノレの棚からもビデオはどんどん消えつつある。
しかしまだDVDへコピーしてない大事なビデオも相当量ある。
できるだけ早く移し変え作業をしちまいたのだが、
録画時間はテープの長さだけかかるから早々にはできん。
もっともDVDに残したけっこうな数の映像を、
オノレは今後の人生でどれだけ繰り返し見るのであろうか?
そう思うと、今さらDVDへのコピー作業に、
貴重な時間を多大に費やすのが徒労のようで、
チト空しい気分にならんでもない。
で、「これだけは…」と思うものを、
オノレの心を鬼にし、厳選して残したいのだが、
いざとなると心は揺れて思い悩み、
女々しくなってなかなか大胆に捨てきれん。
 ところでオノレが死んだ後、
DVDデッキ操作のひとつ覚えようとせんヤマノカミは、
このオノレの「遺物」を、はたしてどう扱うおつもりか?


  連休
Date: 2006-12-16 (土)

 今日・明日とオノレは連休。
デスクや棚、文書やビデオなどモロモロ、
大整理を敢行する!


  ああ…ッ !
Date: 2006-12-13 (水)

 この芝居を創ったあなた方は、
お客が貴重な時間と、五千円というチケット代を払って、
それでも観てよかったと思える舞台になっていると思えますか?
と、つい問いかけたくなるような舞台を観てしまった!!
 新宿の、誰でも知っている本屋の中にある劇場でありました。


  忘年会
Date: 2006-12-12 (火)

 いよいよ忘年会酣(たけなわ)。
オノレもすでに一つの宴に顔を出し、
この先、二つばかり参加する予定である。
 普段の飲み席もそうなんだが、忘年会も新年会も、
やはり仕事絡みのお付き合いではない、
気心知れた友人・知人と、
無礼講でドンチャカ飲み食いするのが一番愉しい。
ただそれ故、ついハメを外して泥酔し、
翌日とんでもない二日酔いでシンドイ思いをすることにもなる。
 知らない方も多く、乱れてはいかん仕事絡みの宴席では、
およそ理性を失わず、ほどほどに飲んで、
ひっそり気づかれんよう、オノレは一人退散する。
であるからして、肉体的にはまことにラク。
しかしそんなにリラックスして飲み食いはできんよなあ…。
 とにかく、いろいろ酒の飲み方に苦労する季節ではある。


  「朗読会」など…
Date: 2006-12-11 (月)

 「はるなつあきふゆ」公演後、
風邪をひいたこともあり、
あまり人さまの舞台を観る精神的ゆとりもなかったが、
何とか二つばかりの芝居と、一つの朗読会へと足を運んだ。
が、残念ながらオノレの目ん玉が肥大化するほど、
とくに刺激的舞台はなかった。
中でも二つの芝居は、チャンとした大劇団の公演であったが、
もろもろ準備不足だったのか、稽古不足だったのか、
役者の足がしっかり地についとらんような舞台。
客席にメッセージの伝わらない、
上ッ面表現や演出ばかり感じてガッカリ。
 むしろ三人のベテラン役者が企画した「朗読会」の方が、
おそらく乏しい予算の中でシンプルに工夫し、
浅田次郎の二作品と真摯に取り組んでいて好感をもてた。
三人三様、それなりの凛とした喋りと姿があった。
でもやはりオノレ思う。
客を魅せるまでに観せる「朗読」世界を創造するのは、
ホンマに難しいことなんだと…。


  テレビのない団欒
Date: 2006-12-10 (日)

 先週の日曜、テレビのないお宅へヤマノカミとお邪魔した。
年頃の娘が二人いる母子家庭。
四十代半ばのお母さんは、
「のんびり見る時間もないし、
なくて不自由も不便もない」と、アッケラ‐カン。
そんな母に、娘たちもとりたて不満はない様子だ。
 ところで、このお母さんの親父は、
今も大いに活躍している、知る人ぞ知る稀有な個性の役者。
かの水木漫画の愛すべき妖怪のごとく、
二枚目とは正反対の、それは見事で立派な役者顔をされとる。
で、サイワイというべきか、
娘も孫もその風貌を受け継いではおらん。
母娘三人とも、まことに女らしい美形なのである。
 さて、このお母さん。大らかな童女といったらよいか、
たぶん腹に一物もって喋ることのない、
率直で、およそ飾り気無い女人。
むしろ母より娘二人の方が、大人びた表情に見えるほどだから、
娘たちを前にして、純情な再婚の夢を語らう母に、
オノレはチト余計な心配をしちまったな。
 今時テレビのない家庭ってえのも珍しいと思うんだが、
オノレはその母娘の広くない茶の間で、
ホッとする家族の温もりと豊かな団欒を噛みしめ、
心地よく酔いながら、我が家へと帰った。


  師走
Date: 2006-12-08 (金)

  寒の暮灯さず妻が泣いてをり   星野麦丘人

 なんとも切ない俳句に瞬きがとまった。
いつ頃書かれた句か存ぜぬが、
仄かにオノレの少年時代のような匂いを感じる。
しかし弱者切捨ての社会になりつつある今、
この句のような風景も珍しくないか…。
 まてまて…、《遊び人の夫》を嘆く妻の姿に、
自戒している夫の句かもしれんなあ?

  空財布妻にひろげて寒き朝   麦  人


  芝居談義
Date: 2006-12-02 (土)

 「はるなつあきふゆ」のビデオを渡すため、
おばあちゃん役で出演した加藤土代子さんと久し振りにお会いし、
コーヒーを飲みながらの芝居談義。
来年するお互いの舞台のこと、「はるなつあきふゆ」のこと、
話は尽きず、アッという間の二時間。
ドトールコーヒーの小さな灰皿が小山になった。
 それにしてもこの人の飽くなき女優魂を前にすると、
さすがのオノレもタジタジとなる。
とても齢七十六のバアさんとは思えん。
岡本太郎も真っ青の芸術に対する「バクハツ」を、
我々若僧に、これからも遠慮なく見せつけてくれんさい!