オノレ日記帳

2007年4月の記録



  辛口…。
Date: 2007-04-30 (月)
 昨日も書いたように、今回の舞台で客席の反応はなかなかヨイ。
しかしもちろん「辛口」のお客さんもいる。
二本立てであるから、片方の作品には肯定的だが、
片方に否定的というお客さんも当然いらっしゃる。
で、厳しい感想を率直に述べてくれる人は、
芝居仲間や、別役作品をよく知っている方に多い。
プロデューサーとして、批判的意見を耳にするのは辛いが、
中には傾聴に値する指摘もたくさんあるから、
決して無視することはできん。
とにかく「辛口」は、料理や芝居創りに欠かせぬもの。
だからこそ賞味の按配が難しい。
「食い方」一つで、ウマクもなるしマズクにもなる!

  舞台の評判は…?!
Date: 2007-04-29 (日)
 独歩プロデュース・ゴールデンウイーク公演、
「受付」「虫たちの日」も、ハヤ4ステージを消化した。
その舞台の評判は…、総体としてなかなかヨロシイ。
オノレや、関係者の耳に入る情報としては…なんだが。
最もプロデュース・演出・出演をしとるオノレを前にして、
本音の感想はなかなか吐けんか?
それでも、こちらの手前味噌な実感として、
観ているお客様の反応、面白がり様は、
とてもゴマスリとは思えんほどスサマジク、大きい。
ま、ホメ殺しというオソロシイ世界も無くはないので、
残されたステージ、心を無にして演じることが肝要だ!

  ホッ!
Date: 2007-04-28 (土)
 昨日の初日、オノレの出演した「虫たちの日」では、
諸々のハプニングがあった。
オノレが「缶キリ」を「ノコギリ」と間違えてしまい、
次の台詞を言う妻役の今井さんはシドロモドロ。
アチラはアチラで、いくつかの台詞を堂々とスッポかし、
オノレがアタフタオロオロ…。
ところが例えこういうトチリをしても、
どうもそれがお客にはトチッタようには見えんらしい。
多くの客は実際、脚本にそう書かれているんだろうと思ったようだ。
 さて、客入りはチト芳しくなかったのであるが、
カーテンコールの拍手に、オノレはまことに熱いものを感じ、
それは心地良い気分で舞台を下りた!
しかし…、辛口のオノレの身内と終演後に一杯やり、
予想通り、それはもう、
舌を出すほどの辛いダメを幾つかもらってしまったが…。
そのダメは今日からの舞台で、
少しでも生かせることができれば生かしたい。
 何はともあれ…ホッ!

  初日である!
Date: 2007-04-27 (金)
 初日である!
独歩の創りあげた別役実の二作品、
「受付」「虫たちの日」の舞台が、
観劇してくれるお客様たちから、
どのような評価を頂くことになるか…。
ともかく今日から千秋楽まで、
プロデュース・演出者として、
ワクワク・ドキドキの毎日になるだろう。
 役者としてのオノレは…、
ここまで稽古を積み重ねて生まれた表現を、
邪念を捨て、精一杯、虚心坦懐に演じるだけである。

  修行の場
Date: 2007-04-26 (木)
 役者を生業として舞台に立つということは、
つねによい表現と創造を求めて観に来るお客さんの、
厳しい眼差しの中に己の身を晒す、
オソロシイ所行をするということだ。
 大勢の出演者・スタッフが一緒になり、
一つの芝居を創るということは、
衆知の結晶を生み出すということであり、
その創造過程で、互いが互いの長短所を生かし、矯正し、
ときには目をつぶることでもある。
 役者としても人間としても、
おそらく短所の少なくないオノレにとって、
芝居創りの現場は、そのアカンところを自覚し、
チイットでもヨクなるために自己を磨く、
愉しくもシンドイ〈修行の場〉でもあります…ハイ。

  〈稽古打上〉
Date: 2007-04-25 (水)
 独歩プロデュース公演、「受付」「虫たちの日」は、
本日が〈稽古打上〉で、明日搬入・仕込。
そしていよいよ明後日、ゲネプロをして初日を迎える。
 ここまでオノレとして出来得る限り、最善を尽くしたつもり。
後は観にきてくれるお客様の厳しい評価を待つばかりだが、
たぶんその厳しさに耐えられる、充実の二作品になったと思う。
もちろん我々の創造に100%はあり得ないし、
「これでヨシ」と、満足してはイカン。
千秋楽の最後のステージが終わるまで、
より豊かな創造の実りを獲得するためタタカウのみ!

  チラシのミス!
Date: 2007-04-24 (火)
 27日から幕を開ける公演チラシでいくつかの苦情をいただいた。
劇場地図に掲載した劇場電話番号と最寄駅名が間違っていたのである。
劇場の風姿花伝の電話番号は03(3953)ではなく3954。
最寄駅の大江戸線「東長崎駅」とあるのは、
「落合南長崎」が正しい駅名。
 ゲラの段階で、オノレとヤマノカミは誤植や間違いがないか、
目を皿にして点検したのであったが…。
御迷惑をかけたお客様、どうかお赦しください。
申し訳ありませんでした!

  ナイトステージ
Date: 2007-04-22 (日)
 いよいよ来週の金曜日の夜には、
シアター風姿花伝の舞台にオノレは立っている。
 先週あたりの稽古から「受付」「虫たちの日」両作品とも、
自信をもってお客様に観せてよい仕上がりになった…と、
オノレ自身は手応えを感じとる。
しかし残されたこの数日で、それをより確かなものにしたい。
 17日の日記帳でチケットの出足が順調と書いてしまったが、
ここにきてスローダウン。特に初日の夜が寂しい…。
合わせて4回あるナイトステージは軒並予約が少ない。
夜に時間のあるみなさま、是非お越しを!

  最善の道
Date: 2007-04-20 (金)
 久し振りに晴れて気持ちがよい。
今朝早くに清瀬まで行き、
今回の舞台のレリーフを描いてくれる画家、松尾さんの工房へ。
 早速ほぼ完成したものを見せていただき満足。
とくに「受付」の舞台に立てるレリーフは、
この作品の劇的世界をより深めることになるだろう。
ただこのレリーフだと、他の事務机などの大道具も、
現在稽古で用いているものではなく、
もっと無機質なものにした方がいいかもしれん。
 初日はすぐそこだが、最善の道を探ろう。

  前売り順調?
Date: 2007-04-17 (火)
 4月27日に初日の幕を開ける、
「受付」「虫たちの日」の前売り状況は、
過去の公演よりもずいぶん順調で、
今のところオノレは嬉しい。
とはいえ、まだ全体で三割ほどの予約、安心はできん。
しかしこれまでこの時期(初日まで10日〜二週間前)は、
全体の一割に満たない前売り予約状況であった。
それを考えるとまことに出足がヨイ。
どうか尻すぼみにならんでくれ…と、願うのみである。
 この出足の良さはゴールデンウィークに、
長旅や遠出をしない人が多いってえことなのか?
はたまた、4年目になる独歩プロデュース公演も、
少しは世間に認知され、
肯定的評価を頂戴しはじめた…てえことなのか?
そこらへんはよくわからん。
 ま、結果としての観客動員がどうあれ、
我々公演当事者は、一つ一つの公演に志をもち、
丁寧に真摯に舞台を創りあげてこそ明日につながる。

  仲間の目
Date: 2007-04-16 (月)
 昨日の稽古場に、本番の劇場受付を担当する女性陣や、
親しい演出家など数人が訪れ、
初めて「虫たちの日」の通し稽古を見てくれた。
稽古終了後、居酒屋で歓談。おおむね肯定的評価を頂き一安心。
しかし幾つかの率直なダメもあり、
残された日数の稽古で、修正すべきところは修正せにゃならん。
 稽古を見学した仲間の目から見た率直な意見は、
いつもオノレに何がしかの創造的手がかりをあたえてくれる!

  晩飯芝居!
Date: 2007-04-14 (土)
 迫りつつある公演、二作品のうちの一つ「虫たちの日」は、
オノレと今井和子さんの出演で、チト惚けはじめた老夫婦のお話。
ある夕食(ゆうげ)の一時のドラマであるから、
とうぜん晩飯を食いながらの芝居となる。
で、この飯やオカズを口に入れながら演技するてえのが、
なかなか手強くムツカシイ。
うっかり詰め込み過ぎるとモゴモゴモゴモゴ…、
台詞がしっかり言えず何を喋っとるのかわからん。
激しいやりとりでは、口に入れた飯粒やオカズが宙を行き交い、
相手役の顔に飛んだりする。
 稽古で実際に食い物を用意して演技し始めた今井さんとオノレは、
このところ悪戦苦闘で飯粒とタタカッとる。
そしてトキドキ、相手役の余りの苦闘振りを目にして吹き出し、
稽古がストップしてしまうのだ。
 いやはや、苦しくも切なく可笑しい晩飯芝居!

  「ヨクナッタ」!
Date: 2007-04-13 (金)
 いよいよ二週間後には、独歩プロデュース公演の初日である。
「受付」も「虫たちの日」も、
昨日の稽古から驚くほど「変わった」なと、オノレは思う。
もちろん「ヨクナッタ」のである。
「つまらん」と、お客様に言われんだけの芝居になったと、
今オノレはそんな手応えを感じとる。
いやいや、稽古場での成果に当事者が満足してはイカンナ。
本番の舞台で多くのお客様に満足していただくため、
出演する四人の役者は、残された稽古期間の中で、
さらに自身の演技に磨きをかけていかにゃならん!

  シンポジウム
Date: 2007-04-11 (水)
 一昨日、文学座アトリエで催されたシンポジウム、
「別役実ワールドと文学座アトリエ」に参加。
別役実さんと演劇評論家・扇田昭彦さん、
文学座の演出家・俳優さんたちが語り合うおよそ二時間。
アトリエは満員で、別役さんに関心を寄せる人の多さに、
今さらながらオノレはビックリ。
 なるほど…と、納得することもあったり、
オノレの別役作品上演の考え方と、
チトと異なる上演姿勢の発言もあったり…。
 熱気ムンムンではなく、
終始、おだやかな大人の雰囲気に満ちたアトリエ。
このところ稽古場で悪戦苦闘しているオノレには、
貴重な気分転換の時間を過ごせたかな。

  また四年…。
Date: 2007-04-09 (月)
 石原都政がまた四年続く。
朝目覚めて、その結果に思わずタメ息の出たオノレであるが、
およそ280万もの都民が彼をヨシとして投票したのである。
結果は結果として受け止めるしかあるまい。
それでも全体の半数近くの票は石原氏を選んどらん。
この事実を重く受け止め、石原都知事は仕事をすべきである!

  二日酔いで…
Date: 2007-04-08 (日)
 昨夜飲み過ぎたせいで、今日の稽古は辛かった。
小返ししつつ二度通しはしたが、
脳内がシャッキリせず、決められた動きや台詞が突然出なくなる。
しかし演出助手や若きスタッフによれば、
本日の稽古はこれまでで一番ヨカッタそうな…。
フラフラしとって、余計な力みが出なかったか?
ひょっとすると二日酔いで演技したほうがよいのかもしれん!

  別役祭り
Date: 2007-04-09 (土)
 三月に観た木山事務所公演「やってきたゴドー」に続いて、
別役祭りシリーズ第二弾、俳優座劇場プロデュース公演、
「壊れた風景」を観劇。
ゴドーのチケットは5,000円。
今回の壊れたは5,600円。
二作品とも観終わり、
オノレにはチト高く感じるチケット代であった。
 今月末に初日を開ける独歩公演のチケットは4,000円。
お客様に「高い」と言われぬ舞台にせにゃアカン!

  「ロスト」第3シーズン
Date: 2007-04-06 (金)
 今日から米TV映画シリーズ「ロスト」の第3シーズン、
日本語版吹替えの収録が始まる。
ロックと半年振りの〈再会〉をするオノレであるが、
新たに彼の切ない過去が出てきた。
今日は出ずっぱりでタイヘンだ。

  親睦会
Date: 2007-04-05 (木)
 稽古終了後、「受付」「虫たちの日」の役者四人と、
おおよそのスタッフが一堂に会して親睦会。
間近に迫りつつある公演初日に向け、
今後の稽古に、より充実した気持ちで臨んでもらうため、
このあたりで一呼吸してガス抜き。
 二十代から七十代までの《精鋭》が、
世代を忘れて談論風発、場は大いに盛り上がった!
 余りに愉しかったオノレは、チト飲み過ぎたようで、
ヤマノカミに支えられながらヨレヨレの家路。
 ナサケナイ…。

  ヨロシクオネガイイタシマス!
Date: 2007-04-03 (火)
 およそ三週間後に迫った独歩プロデュース公演。
チケット申込FAXも、ちらほらくるようになった。
 「受付」「虫たちの日」は11日間、全14ステージである。
これまでの独歩公演ではもっとも長く公演回数が多い。
で、オノレの親しい友人・知人が、
「そんなにやってもダイジョウブなのかい?」と、
客の入りや制作予算の赤字を心配してくれる。
 定員80人の小劇場であるから、
14回の公演すべてが満席なら、1,120人の動員となり、
それほど大きな赤字にはならんはずだが…。
 去年の「はるなつあきふゆ」は、
およそ1,200人ほどのお客様を呼ぶことができた。
ただしこれは16人もの出演者がいたからな。
今年はたった四人の出演者である。
つまり単純に去年の四分の一で観客動員数と予算を考え、
公演規模をそのくらいに縮小してやるのが、
プロデューサーとして最も正しい選択なのかもしれん。
でもねえ、願ってやまなかった今井和子さんとの共演。
劇団「民藝」時代の先輩・稲垣隆史さん。
昔からの友人である女優・大館克子さん。
この三人のベテラン役者と、
初めて一緒に舞台を創ることができるのだ。
オノレにとってこれほどヤリガイのある公演を、
たった四五日で終わらせるなんて…。
余りに忍びなくて、切なくて、モッタイない。
だいたい役者てえのは、惚れこんだ芝居の舞台には、
一回でも多く立ちたいものなんだよねえ…。
 そう、オノレ自身は、観てくれる方の人数と制作赤字が、
最終的にどのような寂しい結果になろうと、動ぜず悔いず、
その天罰を受け止める覚悟は…タブンできとる。
とはいえ、オノレが願って出演してくださる三人の役者さん。
この方々に、できるだけ客席の埋まった舞台で、
心ゆくまで演じてもらいたいのは、
プロデュースした者として当然の本音であり責任であろう。
だからこそ今回のオノレは、これまでの公演に劣らず褌を締め、
ヤマノカミと共に制作的努力をせにゃアカンのだ。
 さて結果がどうであれ、
(ガラガラの14ステージなんてえ、オソロシイ結果にならんため)
今年の独歩は、高い山に挑戦しているのは確かである。
改めて皆々様、ヨロシクオネガイイタシマス!

  若いスタッフの力
Date: 2007-04-02 (月)
 「受付」「虫たちの日」の稽古がだいぶ進み、いよいよ愉しい。
何せ二作品とも二人芝居で50分ほどの長さであるから、
じっくり粘って、緻密な稽古ができる。
稽古のたびに発見があり、試みがあり、錯誤がある。
 今回、稽古を終始客観的に見ているスタッフには、
まだ芝居経験の乏しい若者が多い。
しかし彼らの率直な意見はなかなか貴重で、
オノレのタメに大いになっとる。
中でも演出助手の青年座・須藤君が、
ホンマしっかりオノレを支えてくれとる。
オノレと今井さんが共同演出しとる「虫たちの日」は、
もしその舞台成果によい評価が得られたとすれば、
おおよそ彼女の功績大であろう。
結果がカンバシクない評価の責任は…、
もちろんすべてオノレであります!

  椿組公演 「なつのしま、はるのうた」
Date: 2007-04-01 (日)
 昨日は椿組公演 「なつのしま、はるのうた」
(鄭義信・作 松本祐子・演出)を下北沢「劇」小劇場で観劇。
1998年、椿組が花園神社野外劇で公演した舞台の再々演。
鄭さんの戯曲としては、今年観た「カラフト伯父さん」に比べ、
話の運び方がやや大味な気がしないでもない。
それでも客席に問いかけているものは、やはり熱く重たく温かい。
 戦争のキナ臭さが日々強まる、とある南の島…。
理髪店一家の夫婦とその娘たちにまつわるお話である。
厳しい時代状況下とは思えぬほどのんびり明るく、
屈託のない人物が多く登場しチト面食らう。
が、それゆえこの一家を襲う悲劇は増幅し、
思わず胸を突かれて泣かされた。
 椿組の出運者は、今回も全体に熱く演じとって好感をもてる。
ただこの熱演に、もう一味、人間の《幅》というか、
奥深さみたいな厚味がますと、
さらに客の心をうつ舞台になるような気もするんだが…。
★★★+α。