オノレ日記帳

2007年6月の記録



  劇団昴・グリーンホール公演
Date: 2007-06-28 (木)
 夜、調布市グリーンホールで、劇団昴の公演、
「台湾の大地を潤した男」を観劇。
昴の公演を観るのは、三百人劇場がなくなって以来はじめて。
 グリーンホールはおよそ1,300人も入る大ホール。
今夜のみ、たった一回、しかも調布の公演で、
どんな客が来るのかと思ったが、けっこう動員されとった。
が、開演中、芝居はそっちのけで、
携帯電話のメールを打ち込んでいるヤツ、
(それも開演から終演まで!)
電源を切らず、呼出音を鳴らすヤツ、
芝居を観る常識のカケラもない、そんなヤツらがチラホラいた。
おおよその公演においては、
開演前、予めお客に注意を促すのだが、
昨夜の公演では、なぜそれがなされなかったのであろうか?
例え動員された客や、招待客が多くても、
オノレのようにチケット代をチャンと払って、
決して近くない調布まで観に来る客もいるのである。
主催者はできうる万全の配慮を怠ってはならん。
 芝居は関東大震災の頃、金沢出身の土木技師が、
台湾にダムをつくるため大活躍したお話。
つまりその金沢・台湾関係の協力で実現した公演のようだ。
 で、不埒な携帯客はさておき、久し振りにこんな大ホールで、
何となくナツカシイ「新劇」を観たという感じで、
正直、オノレにはチト辛い舞台であった。
役者さんたちは一生懸命ガンバッテ演技しているのだが、
どうにもドラマとしての戯曲が弱い。
役者がカバーするにもしきれんほど説明的なのである。
それでもオノレと懇意な役者、主演の金子由之チャンは、
めげずにチャンと熱演し、精一杯の演技をしとった。
この彼の熱演と、出演者たちのガンバリがなかったら、
二時間十五分、たぶんオソロシイことになっていた。
 調布駅前の様変わりに目を円くしながら、
吉祥寺行きのバスに飛び乗ったんだが、
北から南に抜ける地下通路だけは昔のまんまで、
古の胡散臭いニオイが漂っていた…。

  地で演じる
Date: 2007-06-23 (土)
 役者の大先輩、小沢昭一の随筆随談本を読んだ。
とにかくこの人は、役者としてはもちろん、文章も話もうまい。
博識であり、世事諸々について貪欲な好奇心をもって生きている。
小沢さんの多才を前にすると、
天は人によっては「二物も三物もあたえるではないか…」と、
ついオノレは愚痴りたくなるほどである。

《(役者が)地でやる、やれるということは、
実に演技の基本なのですね。地は本当のものです。
本当が何より人をひきつけるのです。
俳優は、(中略)難役を、
ウソの演技より地の真実味で見せなくてはならないのです。》

 そして小沢さんは、地で演技することの大切さと同時に、
その難しさを語っている。
そうなのだ。オノレ自身、地の真実味で演じているつもりでも、
客にはウソの演技に見えてしまうことがいかに多いか…。
改めて小沢さんの随談を読み、
地で演じることの難しさ奥深さを痛感するのである。

  大宮・架線切断事故
Date: 2007-06-22 (金)
 今朝はドラマCDの仕事で、朝九時頃の山手線に乗った。
で、大宮での架線切断事故の影響で、山手線は大混雑。
高田馬場〜五反田まで、車内は文字どうり、超満員のすし詰め。
オノレは、海苔(車両)に巻かれた飯粒の一つてえ按配で、
腰は砕けそうになるほど痛ェ〜し、
口は瀕死の金魚みてえにパクパクなるし、
およそ四十分間、三途の川に浮かんどったな。
 救急車の出動をお願いしなくてエガッタ!
 

  棄権は危険!
Date: 2007-06-21 (木)
おそろしや梅雨なき梅雨の高い空   麦  人

 てな駄句が、カンカン焼ける脳天に、昨日浮かんだ。
じっさい夏本番はまだ先だというのに、
昨日も今日も、オノレは舌を出しながら歩いとる。
が、精の出ることに、珍しく与党の代議士先生は、
国会を会期延長し、次々重要法案を通すという。
そのおかげで、参議院選挙・投票日も、
一週間延びて七月二十九日になるとか。
おいおい、そのとき世はすでに夏休みだろ。
「このクソ暑い休みの日に、
投票なんぞ、アホらしくて行けるかい…」と、
多くの有権者が棄権する虞れは多分にあるな。
そうか、自公・与党はそれをキタイしとるのか?
 今度の選挙に棄権するのは《危険》きわまりない!

  芝居の隆盛!
Date: 2007-06-20 (水)
 文学座アトリエへ行き、昼夜連続、
〈別役実のいる宇宙―新旧書下ろし連続上演〉という企画、
『数字で書かれた物語』『犬が西むきゃ尾は東』、
二つの舞台作品を観劇。
★★(旧作・数字で書かれた物語)
★★★(新作・犬が西むきゃ尾は東)
 今日も、昼は赤坂に最近出来たレッド・シアターで、
【あんぽんたん組合】旗揚げ公演『ザギンの野暮天』を、
夜は紀伊国屋ホールで、青年座公演『悔しい女』の二本を観劇。
で、この先も次から次に友人・知人が出演したり、
オノレ自身、これは観ておきたいと思う舞台がある。
 先日、グリングの公演を観にいったとき、
座席の上に置かれた折込チラシの厚さにビックラこいた。
たぶん8cm以上はあったな。
我々舞台人はこの芝居の〈隆盛〉を、
まことにシアワセなことと思うべきか…?
一年一公演でも精一杯なオノレの心境は、チト複雑である。

  禁酒!
Date: 2007-06-17 (日)
 本日の午後は、新宿・シアタートップスで、
グリングの公演「ヒトガタ」を観劇する。
四年前に初演された作品で、
オノレはそのとき初めてグリングの主宰者、
青木豪という劇作家・演出家を知った。
その初演にも、今回の再演にも、友人の辻親八が出演しとる。
初演の舞台は、好印象をもって劇場を出た記憶がある。
 今日の舞台は、オノレの友人・知人もゴッソリ観劇。
終演後の「宴会」が愉しみなんだが、
オノレはオノレの肉体的事情により、当分禁酒である。
アルコールが入ると、どうも心臓がバクバクして息苦しいのだ。
 これからの「宴会」は、ウーロン茶で参加する!

  怒れる民よ!
Date: 2007-06-16 (土)
 梅雨入り宣言した翌日からカンカン照りの東京。
この夏、水不足が深刻になりそうで心配だが、
日本の政治・社会の現実はより深刻な状況だわい。
日本の将来がどうなってしまうのか…、
心配を通りこし、絶望的な気さえしてくる。
 転職経験あり、離婚暦ありのヤマノカミも、
いずれ社会保険庁に年金支払いの確認をしに行くそうな…。
この長年にわたる“国家的詐欺”を許せる国民は、
一生食うに困らぬ政治家や官僚、資産家くらいのもんだろう。
国家の怠慢・悪政に、なす術もなく怒れる民よ。
せめて今度の参議院選挙で、きっちり落し前をつけてくれ!

  「スタートレック」のイベント」で…。
Date: 2007-06-10 (日)
 ヤマギワソフト主催の、
〈スター・トレック40周年〜新スター・トレック20周年
スター・トレック スペシャル・トーク・ショー〉に呼ばれ、名古屋へ。
 名古屋の街を歩いたのは何年ぶりだろう。
オノレが二十代の頃は、劇団の旅公演で毎年のように訪れた。
今、その昔日の風景のカケラも、オノレに見つけることはできん。
唯一、東京より広々と感じる道路だけが、
かつての印象と変わらんかった。
 イベントには、およそ百人ほどのファンが参加。
「スタートレック」のファンの方々は、総じて知的で温かい。
わずか一時間のトーク・ショーではあったが、
アニメファンのイベントと異なり、
ムンムン・カッカ・キャーキャーの熱気はない。
しかし集ったファンの、心やさしい大人の雰囲気のなかで、
オノレは何ら不安を感じることなく、
リラックスして、素直にお喋りさせていただいた。
 参加してくれたファンの皆さん、ありがとう!

  鄭義信 作・演出 「ドールズタウン」
Date: 2007-06-02 (土)
 下北沢のザ・スズナリで結城座公演、
糸あやつり人形芝居、「ドールズタウン」を観劇。
 人形と人の見事なコラボレーション。
そして鄭義信の作・演出が冴えにさえて素晴らしいの一語。
 力なき庶民にとって、子供らにとって、
《戦争》は何をもたらし、何をあたえてくれるのか…。
鄭のメッセージが、重くズシリとオノレの胸を撃つ!
 B29の空襲で焼き尽くされる〈ドールズタウン〉。
大詰、
「燃えているのは ほんものの町じゃないよ。
あれは人形の町さ…。」と、
主人公の想像から生まれた魚に言わせる台詞が深く哀しい。
(この魚、自分の名前は魚ではなく、
佐藤昭二だとこだわって、ブラックに笑わせる)
 鄭義信の、一時代を葬らんと欲する人々への鋭い告発、
アイロニー。
その時代を決して忘却できない人々への痛切な思い。
そして無辜なる戦争犠牲者への鎮魂。
 イラクの、レバノンの、パレスチナの、スーダンの…、
世界中のあちらこちらにある〈ドールズタウン〉で、
いまも多くの人々が暮らし、犠牲になっている。
 自衛隊を公の軍隊とせんがため、
(すでにずいぶん昔から軍隊だが)
ひたすら憲法改正に突っ走る日本。
我々の大地に、
再び多くの〈ドールズタウン〉ができることはない…。
今オノレは、そんな確信をもつことができん!。
★★★★★!!