オノレ日記帳

2007年7月の記録



  自公与党惨敗!
Date: 2007-07-30 (月)
 参議院選挙、自公与党惨敗!
それでも安倍総理は辞めないらしい。彼は惨敗を認めつつ、
「基本路線については多くの国民の理解を得ている」てな、
スットボケタ発言をしとる。
国民は理解しとらんから、このような答えを出したのだ。
厚顔無恥も極まれりの総理だが、
この先その顔で、アチラコチラの国を訪れ、
日本国民を代表し、どない外交をしようというのか?
頼むから恥も外聞もないその姿を世界に晒す前に、
潔くヤメテオクレ!

  今夜の酒は?
Date: 2007-07-29 (日)
 参議院選挙・投票日。
これから投票に行ってくる。
それから…今日は何もない。
夜は一杯飲みながら、
テレビの開票速報をみる。
オノレにとって今夜の酒は、
どんな味になるだろう?

  祭り
Date: 2007-07-28 (土)
 夏祭りの季節。
オノレは子供の頃から、「祭り」にそれほどの興味はない。
ガキのくせに、騒々しいのやら、人混みの中にいるのやらが、
なぜか妙に好きではなかった。
これは親から貰える祭りのための小遣いが、
雀の涙であったせいかもしれん。
しかし死ぬまでに、一度この目で見ておきたい祭りもある。
初秋の富山・八尾で行われる、「おわら風の盆」。
オノレは映像でしか知らんが、
あの哀切に満ちて情緒ある「静かな祭り」の雰囲気は、
例えこの鈍い感性でも、何かゾクッとゆさぶられそうな気がする。
もっとも今や30万人もの観光客が押し寄せるというから、
その人混みの中に沈没しているだけで、
情緒に浸る以前に疲れっちまうかもしれんなあ…。

《三千世界の松の木ア〜 枯れてもあんたと添わなきゃ 
 娑婆に出た甲斐がない…》

  椿組・花園神社野外劇公演 「花火、舞い散る」
Date: 2007-07-23 (月)
 昨夜は椿組の新宿・花園神社野外劇公演、
「花火、舞い散る」を観劇。
《ヤッテクレマシタ!》
特設テントの客席を襲う役者たちの熱気、気迫、エネルギー。
去年の「GS近松商店」(鄭義信・作演出)に負けず劣らず、
サウナのごとき客席さえ心地良く感じるほど充実した舞台。
 作・演出の田村孝裕は、まだ三十そこそこの若者だという。
しかしその脚本と演出のオソルベキ手練と感性に、
オノレは舌を巻いて目を剥いた。
 花火職人一家とそこで働く職人たちの世界が舞台。
どこにでもありそうな職人気質と人間関係の葛藤。
ところが、どこにでもありそうながら、
どこにもない世界にのめりこんでオノレは観ていた。
三十人を超える出演者一人ひとりの個性がそれぞれ生かされ、
美術・音響も展開する舞台に溶け込み、
猛々しくも緻密なエンターテイメントの愉しさの中で、
オノレは素直に笑って泣いとった。
ヤラレタ、クヤシイ、シットシタ!
★★★★★!
 チョウチンキジヲ カイタリ
ナンデモホメル ゲキヒョウカノミナサン
タマニハ コンナブタイヲ トリアゲテ 
タダシイ 「ゲキヒョウ」 ヲ シテクダサイ!

  七十過ぎたら
Date: 2007-07-22 (日)
 某スタジオ・ロビーで、
某劇団所属の若手が旅公演から帰京したのだろう。
余り楽しそうではない表情で、その四方山話をしとった。
近頃、劇団の地方公演の実情が、
オノレの若い頃と比べていかに様変わりしたのかよく分らん。
しかし十代後半から二十代の後半にかけて劇団にいたオノレは、
地方公演につく機会が多く、その思い出はおおよそ懐かしく楽しい。
とにかく毎年のように全国の地方都市を巡演した。
北海道と沖縄を除いて、ほとんどの県庁所在地に行ったと思う。
なかには辛い体験もあるにはあるが、地方公演は若いオノレにとって、
東京でぐうたら飲んだくれているより、
はるかに充実した日々を過ごすことのできる毎日であった。
 芝居の「巡演」は劇団の大切な『仕事』であり、
もちろん交通費・宿泊費・食費の一切は支給される。
しかも東京公演より、ずっとよいギャラも貰える。
こんな有難き条件の上に、いろいろな街を知り、
さまざまな人と出会い、珍しい酒や料理を相伴する機会もある。
正直にいえばあの頃のオノレは、
劇団の財政を支える大切な興行を遂行する一員として、
地方を旅をするのだという自覚や責任感がまことに希薄であった。
ただただ、「タダ」という恵まれた条件で東京を離れ、
地方へ行けることだけで心底嬉しく、
貪欲に「何でも見てやろう」という、
極楽トンボに充実している『旅』であった。
 劇団を離れて以後、「仕事」で地方へ行く機会はめったにない。
情けないが、身銭で旅する機会も多くはない。
で、オノレの長くない未来で叶えたいことの一つは、
七十過ぎたらプライベートで、
のんびりマイペース、日本全国を旅することなんだが…。
オノレは果たしてそんな経済的「ゆとり」を、
あと五、六年先に持つことができるであろうか?
 毎年の「独歩公演」を、何とか黒字にせにゃアカンな!

  元日本共産党議長・宮本顕冶氏死去
Date: 2007-07-19 (木)
 昨日、元日本共産党議長・宮本顕冶氏死去。
1933年から終戦までの12年間、
戦争遂行の国家権力に抵抗し、思想の非転向を貫き、
過酷な獄中生活に耐え抜いた。
 作家・宮本百合子の夫であり、
芥川龍之介を論じた「敗北の文学」は有名で、
オノレも若かりし頃読んだ記憶がある。
しかしその内容は、もうほとんど憶えとらん。
とにかく弾圧に負けず、反戦・平和を貫き、
文学にも深い理解のある指導者だと思って、
オノレはずっと尊敬しとった。
ところが1960年代、オノレの好きだった中野重治をはじめ、
共産党に貢献した実力ある作家や詩人を、
「裏切り者」として糾弾し除名したので、
オノレはまことにショックを受けてガックリしたのだ。
ま、それはともかく、昭和19年に生まれ、
左翼的環境の中で生まれ育ったオノレに、
政治的・思想的影響をかなりあたえてくれた人である。
 享年98歳で老衰だという。
彼はみごとに長寿を全うしたといえるが、
今や衰退し存亡の危機ともいえる日本共産党の現実と、
かつての暗黒時代へ回帰していくような、
現在の危ない政治家たちの跋扈を見ながら、
おそらく大往生という気分の最後ではなかったろう。
 国家主義や戦争の危険と恐怖を、身をもって体験し、
戦前戦後を生き抜いてきた歴史の証人が、
もうすぐこの日本にいなくなる…! 

  来年の独歩公演!
Date: 2007-07-18 (水)
 来年の独歩プロデュース公演のキャストがほぼ決定した。
上演作品は「おたまじゃくしはかえるのこ」である。
もちろん別役実作品で、1985年に初演されとる。
 さて来年の演出は青年座演出部の若手、須藤黄英という女性。
オノレは役者と制作プロデュースに専念する。
須藤さんは今年の独歩公演で演出助手を務め、
実によい仕事をしてくれた。
今日は彼女と会って、スタッフをどのような座組にするか、
予算的な問題も含め打ち合わせをする。
 潤沢な予算を組めない独歩プロデュース公演。
その枠の中で演出をするのは大変である。
しかし我々弱小グループは、限られた予算を補う知恵と創造で、
観客に納得してもらえる、よい舞台を創らにゃならんのだ。
飯より好きで芝居をするのであるから、泣言はユルサレマセン!

  天災は…
Date: 2007-07-17 (火)
 台風が去ったと思ったら、新潟・中越地方を中心に大地震。
十日前、新潟の六日町へ行ったばかりのオマレとしては、
何とも複雑な心境である。
三年前にもこの地方は大地震に襲われとる。
その傷もまだ癒えぬであろうこの地の人々にとって、
もはや参議院選挙どころではないだろう。
《天災は忘れぬうちにやってくる》時代になった!

  映画 「ルワンダの涙」
Date: 2007-07-14 (土)
 西日本は、台風と大雨で大変なことになっとる。
その台風4号は北上し、明日あたり関東を襲うようだが、
仕事ってえやつは、かような日に限ってあるものなのだ。
 さて、その明日の仕事は久し振りに洋画の吹替え。
「ルワンダの涙」というタイトルの作品。
1994年頃のアフリカ・ルワンダで起きた、
フツ族によるツチ族の大虐殺の悲惨な日々を、
事実にもとづいて描いたドキュメンタリータッチの劇映画。
 部族対立の、残酷でおよそ救いのないシーンが次々と展開し、
愚かで無力な人間というものの存在にやるせなくなる。
ましてこの作品で描かれた国連平和監視軍の実態が事実だとすれば、
そのいいかげんさと力のなさには呆れるほかない。
 オノレはルワンダの首都キガリで、
公立技術学校を運営するクリストファーという神父の声をあてる。
いつDVDで発売されるのか、オノレにはまだわからんのだが、
購入していただく価値のある映画だと思う。

  梅雨半ば…
Date: 2007-07-13 (金)
 夜中、トイレに立ってから床に戻り、再び眠りにつくまで、
あれやこれや考えとるうち、何かとても大切なことを発見し、
これは今日の「オノレ日記帳」に書いておこうと思った。
で、今パソコンを前にして、
その発見した大切なことを思い出そうと、
必死に記憶を探っているのだが…、脳みその中は空っぽである。
近頃、こんな記憶障害がよくある。

 梅雨半ば露と消えゆく想いあり   麦  人

  土・日・月
Date: 2007-07-10 (火)
 先週の土日は仕事をオフにして、
新潟県の六日町・清水というところにある民宿『雲天』へ。
ヤマノカミ共々、八、九年ぶりにお邪魔したのだが、
ここの名物夫婦、お父ちゃんとお母ちゃんは、
(お爺ちゃんとお婆ちゃんでもある)
以前と変わらぬ笑顔でオノレたちを出迎えてくれた。
 夜、次から次に出てきました盛りもりと…。
雲天十八番料理・山菜。もうすげえの一言。
<高千穂><八海山>という銘酒を飲みながら、
自然と真心のしみた料理をつまむ至福のひと時。
 この一泊の旅に、オノレの誘いで参加し、
初めて『雲天』を訪れたアニメ監督の西村純二氏と奥さん。
そして声優の津川祝子君と妹さん。
素朴で温かいこの宿の雰囲気に、
大いにリラックスし満足してくれた様子。
エガッタ!
 翌日の朝九時半、野菜やら米やら味噌やら、
もう涙が出るほどありがたきお土産まで頂き、
ニコニコ・ニコニコ、帰宅の途についた六人組であります。

 昨日、月曜日は上野東京文化会館小ホールへ。
友人の鍵盤楽器奏者・武久源造さんが、
ヴァイオリニスト・永井由里さんとデュオしたリサイタル。
 バッハ・ヴェラチーニ・ヴイヴァルディの曲を、
休憩をはさんでおよそ二時間。
 前半、バッハ・ヴェラチーニの曲を聴きながら、
オノレは蠱惑(こわく)の海に沈んでいくような、
陶酔する液状のベールに包まれているような、
不思議な感覚の世界を泳いどった。
永井さんのヴァイオリンの音色は、
のびのびとして繊細、味わい深い。
そして源造さんの、やわらかくも痺れるようなチェンバロの音色。
この二つの音をさらに際立たせるかのように、
低く控えめに奏でるチェロ…。
三つの楽器が見事なコラボレーションで一体化し、
オノレにしばしの至福をあたえてくれた。
 音楽に疎いオノレが、まるで退屈せず過ごした二時間。
源造さんと付き合っているおかげで、オノレの三半規管も、
音楽に対してようやく目覚め、
急速に研ぎ澄まされつつあるのかもしれん。
アラ、イマサラ、ムリカイ?

  ミズキ事務所プロデュース公演 「黄昏のメルヘン」
Date: 2007-07-06 (金)
 昨夜は、ミズキ事務所プロデュース公演、
「黄昏のメルヘン」(作・八代静一 演出・小林裕)を観劇。
去年の独歩プロデュース公演、
「はるなつあきふゆ」に出演していただいた加藤土代子、
をはり万造のお二人がミズキ事務所に所属しており、
この舞台に出演しとる。
 戦争の足音が日増しに近づく昭和十年代の切ないお話。
洋服仕立職人として生きながら小説家を目指す若者と、
彼を励まし支える妻の哀しい結末。
キリスト教徒であった作者の理念が深く反映された戯曲だと思うが、
人間の業と清濁がしっかりと描かれており、
まことに心打たれる舞台であった。
小林裕の演出もよく、総じて役者も好演。
(をはり万造、ヨカッタよ!)
休憩をはさんで二時間四十五分であったが、
眠くなることもなく、退屈せずに最後まで観た。
一幕の後半から二幕の終わりまで、
けっこう泣かされちまったオノレである。
★★★★!

  アカ
Date: 2007-07-05 (木)
 オノレのHPをのぞいたらしい某局プロデューサーに、
「あなたもアカかい?」と問われた。
父や兄が「前進座」の座員であったことを、HPの自己紹介で知り、
また日記に書かれた内容を読んで、「フシン」を抱いたようである。
 オノレは残念ながら共産党員ではないし、支持者でもない。
しかし自民党よりは共産党の方が、ずっと「まし」だとは思っている。
とにかく権力を握る側に対して我々表現者は、
常に警戒心と批判的眼差しを失ってはならんと自覚しとる。
(万一、共産党が権力を握ったとしてもだ)
 さて、今時「アカかい?」なんてえ問い方をする時代錯誤の御仁に、
まともに返答するのも時間のムダだと思い、
チト頭にもきたので、笑いながらすっとぼけて返事した。
「子供の頃から赤ヘルファンで、今はレッドソックスを応援してるのです!」
 それからナレーションの仕事が終了するまでの二時間、
大プロデューサー氏は、オノレに一言も話しかけてこなかった。
 もし彼が今日のこの日記を読んだ場合、
次にお会いしたとき、オノレに何とおっしゃるか…?
否、次の仕事はもう「ナイ」か…。
シマッタ!

  オノレの足跡
Date: 2007-07-04 (水)
 どこか憶えのある、懐かしい駅前風景を夢で見た。
かつてオノレが、たしかに住んだことのある町の駅前なんだが、
どうにもその駅名が頭に浮かんでこない。
で、暇つぶしに、オノレが十六歳で実家を出て以来、
今日まで住んだことのある町の駅名を一つ一つ辿ってみた。

山手線・原宿駅→京王線・千歳烏山駅→東武東上線・大山駅→
地下鉄丸の内線・中野新橋駅→井の頭線・三鷹台駅→
中央線・吉祥寺駅→吉祥寺駅前から関東バス・立野町停留所→
地下鉄東西線・早稲田駅→中央線・吉祥寺駅→中央線・三鷹駅→
中央線・吉祥寺駅→西武新宿線・花小金井駅→
中央線・東小金井駅→西武新宿線・花小金井駅…てな居住暦。

 必死に記憶を辿ったが、一つか二つ抜けているかもしれん。
それにしても狭い東京を流れ流れてよく引っ越したわい。
が、やはり幼少年時代を過ごした吉祥寺と、
そこからほど遠からぬ町で暮らした時代が圧倒的に長い。
ああ、いかんいかん…。こんなオノレの足跡を辿る、
記憶起こしの暇つぶしなんぞしとったら、
自分の情けなくオゾマシイ過去が次々と脳天によみがえり、
妙に気が滅入ってきたわい。
 ところで、夢で見た懐かしい駅前風景は何処であったか…。
けっきょくモヤモヤの靄の中であります!

  「美しくない」内閣
Date: 2007-07-03 (火)
紫陽花の下にひょろり野の花   麦  人

 久間防衛相は、アメリカの日本原爆投下について、
「原爆を落とされて長崎は本当に無数の人が悲惨な目にあったが、
あれで戦争が終わったんだという頭の整理で今、
『しょうがない』と思っている」(朝日新聞)と、のたまわれた。(『』麦人)
で、ついに本日の午後、「しょうがなく」なって辞任。(本音はいやいや?)
当初、長官を庇っているかのごとき姿勢を見せた安倍総理。
彼はこれまでも辞任して当然の大臣を庇い続けてきたが、
参議院選挙を目の前にして、
さすがに「しょうがなく」なって、辞任を受理。(本音はいやいや?)
 今、被爆国・日本の国民は、まことに醜悪・危険で、
「美しくない」内閣の下で生きとる!

  はや七月…。
Date: 2007-07-01 (日)
 はや七月…。
新宿の《歩行者天国》を歩けば、
天国というより地獄のような気がせんでもない。
〈炎天のはてもなく蟻の行列〉という山頭火の句を、
ぼんやり思い浮かべて歩いた。蟻を人に置き換えて…。
もちろんオノレもそのはてもない蟻の一匹である。
 来年の独歩プロデュース公演を演出する青年座の演出家、
須藤黄英の演出する舞台を、青年座スタジオで観劇。
「その鉄塔に男たちはいるという」(作・土田英生)。
〈平成19年度文化庁芸術団体人材育成支援事業〉の助成金での公演。
舞台暦数年の若者五人が出演して、一生懸命熱演しとった。
で、感想というより、深く感じたことが一つ。
先月はじめ、鄭義信・作「ドールズタウン」(結城人形一座公演)を観て、
オノレとしては最大の評価であった。
さて、本日の作品も、やはり戦争という極限状況を題材にしとる。
しかし残念ながら、オノレに問いかけてくるメッセージは、
実にノーテンキなものに思え、
「ドールズタウン」で頂戴したメッセージと、
その軽重は雲泥のちがいを感じた…。
お二人とも同じ四十代の劇作家…?と認識しとるが、
舞台上で展開する内容のリアリティーと、
客席にあたえる衝撃度の差は余りに大きい。
 例え絵空事の戦争をコミカルに描くとしても、
作者の「戦争」に対するチャンとした姿勢がなければ、
笑うこともできないし、心を突き動かされることもない!