オノレ日記帳

2007年9月の記録



  この十日間…
Date: 2007-09-29 (土)
 来年12月公演の台本改訂作業をほぼ終え、
声優としての仕事もすこし暇気味となり、
この十日間、アチコチ芝居を観まくった。
 さて、我々舞台を創って上演する者は、
貴重なオカネと日にちをかけて、
よりよい芝居創りのため、皆努力しているはずである。
ならばその志しや情熱が無にならぬよう、
客席にその志と努力が届くような芝居創りをしてほしい…と、
感じる舞台が多く、チト辛いオノレであった。
そんな中、博品館劇場で相次ぎ上演された、
劇団NLT公演、「マグノリアの花たち」、
劇団絵生公演、「フレンドシップ ―約束―」というミュージカル、
この二つの舞台には心打たれた。
 ともに糖尿病と白血病で命を絶たれる若い女と娘の話である。
観劇料はお安くないが、それに見合う良い舞台。
オノレはたっぷり笑ってたっぷり泣いて、
高いチケット代を「カイシュウ」させていただいた!

  ご心配をおかけして…
Date: 2007-09-19 (水)
 ええ…、しばらく怠けていた「オノレ日記帳」でありますが、
今しがた腹チガイの妹から電話がありまして、
オノレの身に異変が起きたのかと心配してくれたようであります!
親が子を、子が親を殺める殺伐とした時代ながら、
もつべきものは「血のつながり」かと、チト嬉しくなった次第。
 実は今年の三月、
オノレと長く懇意なお付合いのあった劇作家、安保廣信さんが亡くなり、
独歩は来年十二月、その追悼公演をする。
その準備………、というより、その上演台本の改ざんに、
このところオノレは大わらわだったのであります。
昨日、ようやくその作業も一段落…、そこへ妹からの電話。
で、ふと、この日記をのぞいてくれる方々の中に、
妹のごとく心配しているやさしい方もいるのではないかと思い、
今日は久し振りに書く気になった!
「誰もそんなに心配してないよ…」と、ヤマノカミ。
 サイデシタカ…。

  辛い会話
Date: 2007-09-05 (水)
「○○サンが亡くなった」
「通夜に行ってきたわよ」
「膵臓ガンで、ひどい痛みだったらしいね」
「稽古場も劇場も、近くのホテルから車椅子で通ったらしいわ。
本番の舞台を観た人が、まるで病気にはみえなかったって」
「人にやさしく、自分に厳しかったもんね。
まだまだ長生きしてほしい人だったのに…」
「これから干支一回りすると、わたしも○○さんの歳になる」
「オレもアンタの役者人生も、せいぜいあと十五年くらいかもな…」
「年金も貰えないし、死ぬまで女優を続けるしかない」
「仕事をくれる人がいればの話だよ」
「とにかく肉体がボロボロになる前にコロッと死にたいわ」
「うん。すこし身体がおかしいからってジタバタせず、
医者にいくときはあっさり死ぬときだけにしたいな」
「この歳になると、常にどこか悪いに決まってるんだからね…」
 つい最近、姉と交わした辛い会話である。

  お化けと幽霊
Date: 2007-09-01 (土)
 昨日の朝日新聞・夕刊の寄席欄記事。
民俗学者・柳田国男がお化けと幽霊の違いを、
《お化けは出現場所が決まっていて不特定多数を怖がらせるだけだが、
幽霊は、これぞと思う者に対してだけに怨念をぶつける。
狙われたが最後、どこまでも追いかけてくる》
と説明していることを、太田博という評論家の方が紹介しとった。
なるほどねえ…。
てえことは、オノレが死んでだな、
お化けか幽霊、どちらかになるとすれば、たぶんお化け。
オノレには、これぞと怨念をぶつけたいほど恨みを持つヤツがおらん。
それに人を殺めず、いろいろなお化けになって怖がらせるのは、
罪も軽いしエンターテインメントな面白さに満ちとる。
 ところで柳田先生。
幽霊てえのは、主に死んだ「人間」中心の世界で、
「お化け」てえのは人ではないヤツらの世界だという気もするんだが…。
かような定義の仕方は間違いでありましょうか?
ま、その違いを考えるに、それほど深刻に悩む必要もねえか。
 へへへ…、眠れぬ怪談の夏もソロソロ終わりらしく、
この首筋が、朝晩ようやくヒンヤリとしてきましたぞ〜ッ!