オノレ日記帳

2008年8月の記録



  人は旅…
Date: 2008-08-29 (金)
 連日の雨。
昨夜はずっと稲光と雷鳴と激しい雨音の大合奏!
いつもヤンチャな愛犬オトメもずいぶん脅え、
乙女らしく縮こまり、妙にしおらしかったわい。
 今月は知人の訃報が四つもとどいた。
皆、オノレと同じ六十代の「若い」人たちが、
チト早すぎる永遠の旅に出てしまった…。
オノレもいつこの世とオサラバするかわからん。
すでにオノレは、今年から再来年にかけて、
四つの独歩プロデュース公演を予定しているが、
何とかその全てをやり遂げたいものだ!

人は旅見度(みたう)なうても草の露   一茶

  独歩プロデュース公演の音楽
Date: 2008-08-21 (木)
 今年12月の独歩プロデュース公演の音楽を、
オノレの友人、武久源造・山川節子、
お二人のコンビにおまかせすることになり、
明日、その打ち合わせをしがてら酒を飲む。
(決して酒がメインではない)
 お二人とも素晴らしい鍵盤楽器奏者であり、ピアニストである。
12月の二作品を読んで、お二人がどのようなプランを練り、
いかなる劇的音楽を小劇場に谺させるか…。
 今日も源造ちゃんのCD、「バッハ古往今来」を聴きながら、
演出するオノレの胸は期待に膨らむばかりである。

  「闇に咲く花」(作・井上ひさし)
Date: 2008-08-19 (火)
 昨日に続いて井上ひさし。
紀伊国屋サザンシアターで上演中のこまつ座公演、
「闇に咲く花」(作・井上ひさし)を観劇。
すでに何度も上演されている舞台の再演らしいが、
オノレが観るのは初めて。
 昭和23年の東京神田。
焼跡に残った愛敬稲荷神社が舞台。
闇屋をしている善良かつチト強かな神主。
突然帰還してくる、戦死したしたはずのひとり息子。
この親子を核に展開するドラマだ。
息子は将来を嘱望される学生野球のエース。
だが実は、境内の杉の木の下に置かれていた捨て子。
そして神主の元には、闇の売買を手伝う戦争未亡人やら、
米進駐軍占領下の巡査やら、
息子とバッテリーを組んでいた親友の神経科医やら、
井上作品ならではの個性溢れる人物たちが登場する。
 いやはや、かつてこまつ座の初演、
「父と暮らせば」を観たときに負けず劣らず笑って泣いた。
総じて役者がよかったし、栗山民也の演出もよい。
で、とにかく戯曲が優れてオモロイ!
 旧いしきたりやら、思考やら、矛盾の中で、
生き残りに必死な小神社という存在。
その存在を逆手にとり、鋭いアイロニーを駆使し、
客を笑わせつつ戦争の酷さを浮かび上がらせる。
しかし笑いを含んだその戦後の日常的風景は、
国や国民の戦争責任のとり方についてまで、
自ずと客席へ痛烈に問いかけてくる。
とにかく理屈っぽい、小難しい台詞抜き。
戦後を必死に生きる庶民の、
ありがちな姿と会話を通して問いかけてくるのだ。
このリアルな問いかけによって、
普段過去の歴史を忘れがちなオノレの胸は、
錐で突かれたようにキリキリと痛む。
 井上ひさし以外の劇作家で、
今、こんなスタイルの戯曲で客を堪能させることができるのは、
たぶん鄭義信くらいのもんだろう…?
 まざまざと、井上作品の真骨頂を見せつけられた舞台!

  それぞれの 「父と暮らせば」
Date: 2008-08-18 (月)
 先週と今週の日曜日、
別々のグループが上演した、
二つの「父と暮らせば」(作・井上ひさし)を観劇。
毎年八月頃、この作品はどこかで誰かが上演しとる。
それは作品の根底を貫く反核・反戦の強い訴求力にもよるが、
何にもまして娘と父の二人芝居で展開する世界が、
畏れ入るほど演劇的面白さと葛藤に満ちており、
役者や演出家やスタッフの創造的挑戦意欲を駆りたてるからだろう。
 この舞台の初演、
こまつ座上演の「父と暮らせば」を観たときのオノレの衝撃は、
まさに「原爆」なみであった。
主演のすまけい・梅沢昌代の父娘はほんとうに素晴らしかったし、
鵜山仁(現新国立劇場・芸術監督)の演出もよかった。
これは未だオノレが泣いて笑った舞台のベスト3の一つである。
以後、「いつかオノレもこの作品に挑戦したい」。
そう思うことが度々あった。
が、あの初演の完成度の高い舞台を観たものとしては、
怖気がついてなかなか決断できるもんではない。
しかしその間にも、オノレより勇気ある挑戦者は続々と現われ、
そのうち結構な数の「父と暮らせば」をオノレは観た。(映画も観た)
でもオノレの観た限りの舞台では、初演と《比べ》、
残念ながら、かなり衝撃度の弱い舞台ばかりに思えた。
ところがここ二週の、二つの「父と暮らせば」を観て、
オノレの考えは大きく変わった。
もちろん初演に劣らぬ舞台を創るにこしたことはない…。
しかしその初演と《比べ》つつ、
新たに挑戦する方々の舞台を評価するのは、
いかにも皮相で、アホな観劇態度ではなかったか!
 この「父と暮らせば」という戯曲の価値は、
毎年、いろいろな方が上演し、そのことにより、
様々の異なる父と娘の世界が、
新たに生まれることにこそあるのではないか?
この事実こそ、この作品の持つ力の証と言えるのではないか?
 これまでも、これからも、
様々な「父と暮らせば」の舞台創造が日本各地で誕生し、
それぞれの創り手たちと、それを観たそれぞれの観客とが、
そのそれぞれの舞台の異質を凌駕して、
作品そのものが問いかけてくる「何か」を自覚し心をつなぐ。
「父と暮らせば」という戯曲の持つ凄さは、
まさにそこにこそあるような気がしてきたのだ。
 このドラマが我々に問いかける、
深く、重く、哀しく、愛しい、人間の真実。
ピカドンにより一瞬で全てを奪われた、
この世の不条理に対する恐怖と絶望。
未だ核を廃絶できぬ、度し難い人類への怒り…。
かようなものを問いかけられ、幸いにも今を生きる我々は、
金品などに換えられぬ貴重なものを得るはずだ。
 優れた戯曲ならでこそ生まれる、
時空と場所を超えて人々がつながる心の世界。
平和を希求する人々の数珠つながりの心の世界…。
これが最近観た二つの「父と暮らせば」の舞台を観て、
オノレの痛感したことである。
 井上ひさしは、オノレの痛感したことも含んで、
この「父と暮らせば」を書いたにちがいあるまい…。
彼はこの戯曲が、より多くの場と人々によって上演され、
より多くの客に観てもらうことを願っていると聞いた。
よって、上演許可をいただくのも、そう難しくないとも聞く。
 そこで、ついにオノレも再来年八月、
「父と暮らせば」の上演を決意!
もちろん父親役をやるわけだが、演出もさせていただく。
相手の娘役は、この12月の独歩プロデュース公演、
「ブラインドの視界」に出演する津川祝子。
(この舞台では、ハリキリ新入社員のボインボイン娘役)
 さて、再来年八月。
オノレと津川祝子の二人は、
どんな父と娘になって、舞台へ立つことになるのであろうか?
「ドエライコトニナッタゾ!」

  人類とは…
Date: 2008-08-12 (火)
 オリンピック開催の裏で、グルジアとロシアの紛争。
未だ人類は平和の理念をもてず、歴史の教訓も学べず、
暴力や武器の優位性により白黒をつける生き物なのだ。
 三日後、また終戦記念日がやってくる。

  「CSI科学捜査官」第7シーズン
Date: 2008-08-11 (月)
 今日は「CSI科学捜査官」の第7シーズン、
日本語版吹替収録の最終日。
ブラス警部とも、またおよそ半年間のお別れ。
このシリーズはまだまだ、第10シーズンまでは続くらしい。
それ以後はどうなるのかは知らん。
とにかく米TV映画シリーズの息の長さには驚嘆するばかりだな。
 本日は最終話の収録語、熱海で打上。
いつも早々酩酊、誰よりも早くダウンし、
寝床に入ってしまうオノレであるが、
明日は仕事もないし、今夜は「息の長い」酒を飲むか?!

  夏休み?
Date: 2008-08-09 (土)
 この土日、夏休みをとった。
否、とったというより、仕事がないので夏休みと決めた。
そう考えると、この先も夏休みにできる日が多い。
もっとも暦の上では立秋を過ぎとるから秋休みか?
で、今日・明日、一泊二日で山梨の塩山へ。
オノレの竹馬の友である俳優、
河原崎建三氏の別荘へお邪魔するのだ。
彼はこの12月の独歩の芝居に、
まことに重要な役どころで出演してくれる。
その芝居の打ち合わせにいくわけではないが、
今宵更けるまで、四方山話がはずむだろう。

  変わらぬ一日
Date: 2008-08-08 (金)
 8月8日。
本日は、恥ずかしながらオノレの生まれた日。
で、くしくも北京オリンピック開催の日。
この八並びは、中国ではまことに縁起がよいのだとか…。
日本でもそうかい?
ま、縁起など担がんオノレにはどうでもよい。
今日もいつもと変わらぬ一日であり、
ヤマノカミに祝ってもらうわけでもなし、ご馳走もナイ。
誕生日も、歳とることも忘れ、
いつもと変わらぬ一日を過ごせるだけでオノレはよい。
ホンマ、それだけでじゅうぶんシアワセ。

  戒厳令下の五輪?
Date: 2008-08-06 (水)
 明後日から北京オリンピックがはじまる。
昨日か今日かに、北京で開かれたIOC総会で、中国の胡主席は、
「特色のある、ハイレベルなオリンピックにする」と発言したそうな。
ニュースで見る限り、まるで戒厳令下の都市で開催されそうな五輪。
まさか胡主席の発言は、この現実を指してのことではあるまいな?
 ずいぶん前から、国威発揚、メダル獲得第一、
商業主義に毒されたオリンピックに、オノレは余り関心がない。
まして再び東京にオリンピックなんざゴメンこうむる。
およそ公僕意識のなさそうな、オエライ現東京都知事サマ。
五輪誘致の画策より、アンタが推進し、今や破綻寸前の、
新銀行東京にたいする責任をとっておくれ!
築地市場を、汚染された土地に移転させる計画を白紙にしておくれ!
でなければ、お願いだから潔く、今日にも辞職してくれんかい?!

  安心崩壊内閣?!
Date: 2008-08-02 (土)
 福田内閣改造。
政権や大臣のタライマワシをするより前に、
国民の信を問う総選挙なり、なすべきことが山ほどあろう。
「国民の目線」をまったく見ない政権与党に、
もはや期待できるものは何もない!
 で、今度の内閣のキャッチフレーズは「安心実現内閣」とか。
我々の社会全体で安心はとうに崩壊しており、
かような社会をますます深刻化させとる張本人の政党や大臣に、
いけしゃあしゃあと「安心実現」を約束されても、
臍(ヘソ)で茶を沸かしたくなる。
 だだただこれ以上の「安心崩壊内閣」にならぬよう、
天に祈るばかりだ!