オノレ日記帳

2008年9月の記録



  今日も…
Date: 2008-09-26 (金)
  秋三句   麦  人

公園で秋を蹴散らす男の子

公園で秋に溶け込む二人連れ

公園で秋を抱きこむお年寄り

  秋三句
Date: 2008-09-25 (木)
  秋三句   麦  人

妻の寝息で秋の音消えた

もういいかいとリリリリリーン

まあだだようとキリキリキリリ

  寝付き
Date: 2008-09-24 (水)
  寝返りをうつたび秋は深まりぬ   麦  人

 歳を重ねるにつけ、オノレの寝付きはどんどん悪くなる。
近頃では、床について五分以内で眠りにつくことはまずない。
調子の良いときでも平均十分前後はかかっちまう。
ダメなときは二三十分、ひどいときは一時間も二時間もである。
ま、それほど眠れぬときは、
男らしく眠らしてくれぬ敵との闘いを放棄、
床を抜け出し、堂々と酒を飲む。(なぜ堂々なんじゃ?)
 この寝付きの悪さが何に起因しているのかよくわからんが、
人生を思い悩む癖がある…ためではない。
ま、自慢にもならんが、楽天的性格という点においては、
オノレは人並み以上に極楽トンボだという自信がある!
 つるつる考えてみるに、(つるつる考えんでもわかるんだが)
オノレのおふくろが不眠症で、よく睡眠薬を服用しとったから、
たぶん彼女から受け継いだDNAが最大の要因であろう。
しかし、如何な極楽トンボとはいえ、オノレも一応、
「芸術分野の世界」に生きとる人間であります。
オノレの舞台に関わることを、ふと考えこんだりすると、
ときにセンサイに悩み、ときに大いなる創造の挫折に憂い、
眠るタイミングを失っちまう傾向がナイとはいえない!
 さて、ヤマノカミはニクタラシクなるほど寝付きがよい。
たとえオノレより遅く床に着いても、
不眠で右に左に寝返りをうち、悶絶しとるオノレを尻目に、
「お先にシツレイ」とばかり、さっさとイビキをかきはじめる。
ひょっとしてこいつは、
オノレに勝る「極楽トンボ」なのかもしれんぞ?!

  ああ、ドギャンする日本!
Date: 2008-09-23 (火)
 オノレの鋭くないカンはやはり外れたがな、もし。
明日にもタライ回しの総理大臣になるちゅうのは、
アッチコッチの《権力者》サマたちの懐さ取り入り、
まんず甘い蜜をばニタニタ舐めつつ、
最近ではずいぶんオエラクなって、
ドナタかの受け売りのごとくそっくりに、
「霞ヶ関をブッ壊す」ニャンぞと、エラソウにのたもうて、
いずれ〈女王蜂〉になりたいらしい女。
では、ハア、なかったぞい…。ホッ!
 ほいでヨ、自民党員のシェンシェイ方が、
圧倒的多数で選んだ男ちゅうのがの、
自他共に大金持ちと認め、吉田茂の孫さ自負する男じゃと。
ほうじゃ、ほうじゃ、「朝鮮人はのぞんで『創氏改名』に応じた」と、
かってに歴史の改ざんをすることがお好きらしい、あの男じゃと。
そうでんがな! 自称・漫画オタクとかいうあの男タイ…。
もう、ヤレンノウ!
(世の心ある漫画オタク諸君、ガーンとガンダムって怒るべさ!)
 ほんでこの男、実はこの二年、自民党・幹事長でござりゃんして、
かの小泉内閣で閣僚をばしとった男でありんす。
まあ、大そうご立派な家柄とご履歴のボンボンさんとかで…。
「キャ〜ッ!」と、秋葉のコスプレが叫びよる。
(ちなみにこのボンボンご出身の北九州・飯塚はの、
かつて炭鉱で栄え、やがて廃れた町じゃ。
土門拳の写真集「筑豊の子供たち」を見んさい。
当時の炭鉱労働者たちとその家族の、
過酷な労働と貧しさがよくわかりまっせ。
あんれまあ、ほんでヨ、ビックラこくでねえぞ、「ロウドウシャ諸君!」
これから総理大臣になる男の有する財閥は、
明治以降、この地の炭鉱経営で巨額の富を得たちゅう話だ。
んだばボンボン新総理は、この飯塚にある三万坪の敷地と、
百メートル競争ができるほどの長い廊下と大庭園のある邸宅で、
ツルハシならぬ、ライフルをもてあそんで育ったちゅうでないかい。
ウラヤマシイノウ…。否、ウラメシイノウ!)
 ばってんこれまでこのボンボンさんは、
どぎゃん我々国民のタメになることをしてくれましたんかいの?
オノレのボンクラ脳ズイにさへ、
オノレのタメにしてくれたことは、何一つ浮かんでこんのじゃけえ…。
んだば、この男はヨ、どえりゃあ〜長く、
自公与党の政権中枢におまして、権力の座ば〜ッか執着し、
ぎょうさんの国民をナメおして、
ニタニタ愚弄しつづけてきなさっただけの男ではおまへんか?
ほいじゃからにオノレは、たとえ「アルツハイマー」になっても、
こぎゃあ男にハナクソほどの期待も持つことはないぜよ。
(期待なんぞしてみんさい。ハナクソにもシツレイタイ)
 さいでんな、結論言えばでっせ…。んだ、んだ、今や自民党内に、
一国の権力を任せられる人物なんざ不毛ちゅうことではなかか?
んにゃ、昔しゃこの党にも、松村謙三さんとか、宇都宮徳馬さんとか、
思い出すだけでも両手くれえは、
政治的見識のある、ドエリャー魅力的政治家がそれなりにおましたえ。
ためしにこのドエリャーお方たちのお顔写真と、
今の自公政治家たちのお顔写真とを見比べてみんしゃい。
フィルムに焼き付けられた人間的器のちがい、
培われた人格・品性の差は、もう一目瞭然でっせ!
ほな「野党にはおますんかい?!」って…??
♪富士の高嶺で見渡せば…あら、カナシ。
やはりほとんどおりまっシェンでした。ゼツボウテキ!
(昔、野党の政治家にも、浅沼稲次郎さんとか、市川房枝さんとか、
気骨ある、ドエリャー魅力に溢れた人がぎょうさんおった!)
んにゃ、今の野党のシェンシェイは、
未だ政権を握ってない分、与党の連中なんぞより、
オノレにはまだましに見えるだべさ。カスカナヒカリ…。
ああ、ドギャンする日本!
 ところでオノレの故郷は何処であったか…?!
まんず筑豊ではないだべさ…。てえと青森県五戸町…?。
んにゃ、んにゃ、これはヤマノカミの故郷じゃが…ドアホ!。
ついにオノレの脳髄は錯乱に錯乱をきたし、
ようやく全快に向かいつつある〈片腹イタイ!〉

(追記)ようやく錯乱おさまり、冷静に思考してみたら、
オノレの故郷がようやく判明。
その地は、オノレが顔も見たくない、声も聴きたくない、
ボンボン新総理に負けぬ傲岸不遜の御仁が知事として君臨する大都会。
(そういえばこの知事のボンボンも、イケシャアシャアと、
自民党総裁選に立候補しとったなあ!)
ナ、ナ、なんと我が故郷は、ここ東京であった!
 ああ、判明したとたん、再びサクランしたわいのう…。

  ダウン
Date: 2008-09-22 (月)
 先週の金曜日、米TV映画シリーズ、
「ロスト」第四シーズン・最終話の日本語吹替の収録を終えた。
オノレの吹替させてもらっているロックさんが、
その最後、ビックラコクようなかたちで現れ、
自宅でリハーサルをしながら、オノレの目はもう凸凹?!。
第五シーズン、はたしてどない展開になっちまうんだろう…。
 その「ロスト」の打上の宴席で、
おかしなものが口に入って食当たりしたのか、
帰りの大雨の夜道を二十分も歩いて風邪をひいちまったのか、
翌朝から腹痛とひどい下痢の症状でダウン。夕方からは発熱。
今朝はようやく腹痛がおさまり、下痢もかるくなったが、
まだ微熱状態で発汗がひどい。
 かような体調となり、この土・日・月と、
四つの舞台を予約し観劇する予定であったが、全てキャンセル。
観る約束をしていた出演者の役者さんには申し訳ないことをした。
 さて、とにかく医者ギライのオノレは、
何とか自己回復力で全快するつもりであったが、
ヤマノカミが医者へ行け行けとウルサイしなあ…。

  爺婆の顔
Date: 2008-09-19 (金)
 若かりし頃は電車に乗れば、オノレも人並みに、
その視線の中心は美しい女性にあった。
ま、近頃は車内に目を泳がすことはほとんどなく、
およそウツラウツラと眠っているか、台本を読んどる。
しかし爺さん・婆さんが向かい側の席にいたりすると、
その顔に刻まれた深い皺や表情に惚れ惚れとして、
ついつい見入ってしまうことがよくある。
 昨日も眠っている爺さんの顔をまじまじと見つめ、
その無心の表情から滲み出てくる「神々しさ」に我を忘れ、
下車する駅を一つ行き過ぎてしまった。
チト三国連太郎に似て、「釣りバカ日誌」の社長みたいだった。
 爺婆の顔は、
名画を鑑賞するかのごとくあきない、一級の芸術品です!

  変貌のキッカケ
Date: 2008-09-18 (木)
 劇団に所属していた若かりし頃、
せっかく芝居にキャスティングされても、
オノレは大して嬉しくもなく、稽古が大ッキライであった。
稽古なんぞいい加減にしていても、
本番の舞台ではチャンとできる…、
(もちろん振返れば、チャンとできたためしがない)
てえような思い上がりと傲慢に蝕まれとった。
劇団にいることは、芝居を学ぶためというより、
いろいろ「遊ぶ」ために、都合のよい場であったような気さえする。
 それから四十数年過ぎた今、
芝居の稽古ほど「愉しい」ものはない…、と思える自分がいる。
この変貌をオノレにもたらしたキッカケは、
果たして何だったのだろう?
そしてそれはいつ頃から始まったのだろうか?
実は自分でもあまりよくわからんのだが、
三十代半ばから、いろいろ役者以外の仕事に首を突っ込んで、
まあ、いろいろと失敗をくりかえした。
で、芝居と別の世界の厳しさと、
そういう世界で生きる自身の能力のなさを痛感し、
「シャアナイ! こうなればもう一度受身ではなく、
主体的、能動的に、真面目に芝居と関わって生きてみようか…。」
 かように強く自覚した頃から、少しずつ、
芝居に対するオノレの意識変化がはじまった…ような気がする。
 この五体がいうことをきく限り、
受身ではなく、能動的に芝居と関わる姿勢を保てれば、
これからますます稽古が愉しくなるかもしれんな!

  高木恭造 「冬の月」
Date: 2008-09-15 (月)
 昨日は中秋の名月、十五夜だ。
オノレの芝居仲間たちが、多摩川で「月見の会」の宴をしたようだが、
空模様かんばしくなく、たぶん名月は見れなかったのでは?
オノレもその宴に誘われたのだが、
あいにく都合がつかず、ワイワイ騒げず残念であった。
 月見に誘われ、なぜかふと思い出したのが、「冬の月」という詩。
オノレの友人、津軽三味線奏者・保村雪山さんのライブで、
必ず彼女が朗読する、青森の詩人・高木恭造の方言詩だ。

   冬の月

嬶(カカ)ごと毆(ブタラ)いで戸外(オモデ)サ出ハれば
まんどろだお月様だ
吹雪(フイ)だ後(アド)の吹溜(ヤブ)こいで
何處(ドサ)エぐともなぐ俺(わ)ァ出ハて来たンだ

   ――ドしたてあたらネ憎(エグ)ぐなるのだべナ
   憎(エグ)がるのァ愛(メゴ)がるより本気ネなるもンだネ
   そして今まだ愛(メゴ)いど思ふのァドしたごとだバ 

あヽ みんな吹雪(ブギ)と同(オンナ)しせエ過ぎでしまれば
まんどろだお月様だネ


 大正から昭和にかけての時代に書かれた、
高木恭造(1903年−1987年)の詩であるからして、
この詩の背景にある時代と風土と生活は、
今日の我々の想像を絶するものがあったろう。
我々がワイワイ酔って愛でる「月」とは、
ずいぶん様相がちがうよナ。
 吹雪いた後、妻を殴って戸外へ出た男の見た、
「まんどろだお月様」には、
貧しい夫婦の喜怒哀楽がパンパンに詰まって凝縮し、
チト滑稽とも思える言葉の中に、
男の自己嫌悪と、どうしようもない悲しみが漂う。

  五人の総裁候補
Date: 2008-09-12 (金)
 国民をナメ、愚弄しているとしか思えん、自民党総裁選。

【麻生 太郎】総務大臣・外務大臣(小泉内閣)
【与謝野 馨】通商産業大臣(小渕内閣) 内閣府特命担当大臣(小泉内閣)
        内閣官房長官(安倍内閣)
【石破  茂】防衛庁長官(小泉内閣) 防衛大臣(福田内閣)
【石原 伸晃】行政改革規制改革担当大臣・国土交通大臣(小泉内閣)
【小池百合子】環境大臣(小泉内閣)防衛庁長官(安倍内閣)

 まことに「ゴリッパ」な大臣暦である。
(彼らは、ずっと自民党の要職にもついとる)
では閣僚時代、この方々は国の政策や国民に対し、
いったいどんな実績をつくり、良いことをしてくれたのか?
現在の政治の無為無策・荒廃を導いた責任は、
閣僚経験者のあんた方にはござんせんのか?
 厚顔無恥・二枚舌・偽善…てえような言葉は、
まさに彼らのためにあるような気がするのはオノレだけか?!

  講師
Date: 2008-09-11 (木)
 声優としてのマネジメントを任せているプロダクション、
〈メディアフォース〉が、この春から声優養成所を設立し、
オノレも講師として生徒の指導をしてくれないかと頼まれた。
で、八月末から九月末まで、毎週一日することになった。
オノレに任された指導のメインはナレーション・朗読である。
 さて、オノレはこれまで、かような講師の経験をしたことがない。
だから人を「指導」する優れたノウハウは、今のところもっとらん。
それでも、夢にあふれた未来の声優さんたちを前に、
無責任な指導や態度でしたくないから、このナイ頭を捻りに捻り、
何とかオノレなりのプランとカリュキュラムを作ってはみた。
が果たして、これがどれだけ教わる人の「タメ」になるのか、
小さな声で告白すれば、あまり自信はない…てえのが本音。
 それにしても一クラス十七人いる生徒に、
一回二時間、一日二回、計四時間の講師をすると、
終わった後の疲れは、芝居の稽古よりもはるかにシンドイ。
 世の先生、指導する方々のタイヘンさが骨身にしみる!

  《秋風》
Date: 2008-09-10 (水)
《秋風》

久しぶりに湯に浸かり
全身弛緩
痺れに痺れ
このまま死んでもいいか
そう思った一瞬も
泡と消え
ああ
世俗の衣身に纏う

秋風だ…

  妻良の旅
Date: 2008-09-09 (火)
 一泊の伊豆・妻良の旅。
やはり照明家の明日チャンとタップリ飲んで語る夜を過ごした。
 妻良はかつて四百人ほどの人口があったらしいが、
今は二百人くらいで、若い人が減り、ずいぶん寂れてみえる。
 三方小高い山に囲まれ、入り江が深く、
海を眺めるにはあまり絶景とはいえないナ。
夜中、目覚めても波音を耳にできず、チト拍子抜け。
 それでも民宿の婆さんが食卓に並べてくれた、
その日獲れたての鯵やイカなど山盛りの刺身は、
オノレの腹を充分満たしてくれたわい。
 四十年間、毎年の夏、一月以上もこの地で過ごす明日チャンは、
もはや地元の人より地元に溶け込んでいるかのような態度である。
 行き帰りとも「踊り子号」で、
片道約三時間の車中あったが、往復ともガラガラ。
忙しない新幹線ではなく、向かいの座席に足を投げ出し、
のんびりダラダラ揺られて過ごすのは、ホンマ「息抜き」になった。
これからは車を運転しての長旅はもうしたくない!

  伊豆・妻良へ
Date: 2008-09-07 (日)
 今日明日、何もすることがないので、
ハタと思い立ち、伊豆の妻良(めら)へ行くことにした。
その海岸の民宿に、いつも独歩公演の照明をお任せしている、
明日(みょうが)チャンが長逗留しているのだ。
彼は毎年、一月以上ここに滞在し、
今やこの民宿の管理人のごとき存在になっとる。
で、訪れる仲間が少ないようで、
(とにかく交通の便が悪いのだ)
「おいで、おいで」と、夏になると声をかけてくる。
しかしなかなか行く機会がなく「不義理」をしとったが、
本日、この酷暑の息抜きをかねて義理を果たしてこようと思う。
 《踊り子号》で三時間、そこからバスで50分、揺られ揺られ、
一晩、相模灘の潮風を浴びてきます!
(アビルのは酒ばかり…てえ懼れは大いにある)

  客観の目
Date: 2008-09-05 (金)
 つい最近、総理大臣をお辞めになるとおっしゃった方は、
その辞職表明記者会見で、
「わたしは自分を客観的に見ることができる」とノタマワレタ。
 ま、ウラヤマシイ限りの自己評価だが、
記者の問いかけに答えるその態度は、
とても己を客観的に見ている人とは思えんかった。
 さて、多くの役者にとって、
己の演技を客観的につかむことは必須かもしれん。
己の演技を、主観だけに溺れず、他者の目線でとらえるため、
役者は常に四苦八苦するのである。
客観的な目で、己が己自身の演技を見ることができる役者は、
たぶんそれほど多くはいまい。
それが常にできる役者は名優か、名優の資質を具えた人である。
オノレはもちろん、多くの役者はつい主観的演技になるから、
己に見えぬ演技の良し悪しを、おもに演出の目にゆだねる。
つまり演出の大事な役割の一つは、
芝居の骨格となる総合的プランを認めるだけではなく、
演じる役者にはなかなか見えにくい、
役者のもう一つの客観的な目となり、
その演技表現を肯定したり、否定したりすることである。

  欠けている資質
Date: 2008-09-04 (木)
 あれよあれよと九月になって、
もう三十五日もたてば、独歩12月公演の稽古初日。
で、この舞台演出をどうするか考えとったら、
昨夜はなかなか眠れず、悶えに悶えて、けっきょく起きて、
醒めつつあった酔いを醒めさせないため、また飲んだ。
 さて12月公演では、
「月賦」という、30分ほどの短い作品と、
「ブラインドの視界」という、
一時間半くらいの作品二本を上演する。
どちらも1970年〜1975年くらいの東京を舞台にした、
一人の劇作家(安保廣信)の戯曲である。
しかし同じ作家の書いた世界でも、その趣はずいぶん異なる。
で、この異なる二つの世界を、違和感のない流れの中で、
休憩なしの演出でお客に観せよう…と、思ったり、
その他、あれやこれやと演出プランが頭に浮かんでは消える。
 ま、骨格になるプランはそれなりできたように思えるが、
立稽古初日までに、さらに緻密に練っておかんと、
コワイ役者さんたちの突っ込みに「耐えられん」もんなあ…。
 オノレは、これまで数度の演出経験により、
いかなる稽古状況にも「耐えられる」ことこそ、
演出の大事な資質であると思い知った。
ところがそれは、オノレにもっとも欠けている資質でもある!

  「アア スクイガタイ!」
Date: 2008-09-03 (水)
 つい一月くらい前、「安心実現内閣」とか、
エラそうなことをおっしゃって内閣改造をした福田首相。
安心どころか、何一つ安心できる政策を実現せず、
ただただ国民を不安にさせっ放しで総理の座からバイバイ。
いやはや、かように無能・無責任な政治家の下で、
汲々と暮らす我々惨めな国民は、
「美しい日本」を調子ッぱずれに歌って、
一年前、女々しく醜く辞職した総理大臣の姿もまだ鮮明な今、
またもやそっくりの光景をテレビ画面で見るハメに…。
それでもまだ懲りずに政権を手放したくない自公与党のセンセイ方。
野党に政権を譲る気など毛頭ないらしく、
さらにまた一人、新総理大臣を誕生させるおつもりらしい。
ま、その新総理によって、
ようやく解散・総選挙となるんだろうが、
そこで万一、自公が勝利するような結果になったら…。
考えるだけでも末恐ろしい!
そんな選挙結果になったら、これからの十年くらい、
日本の社会に明るい展望は見出せん…。
オノレはそんな気がして気が滅入る。
 さて、新総理に自民党の誰がなろうと、
たぶん同じ穴のムジナであるから、
オノレにはどうでもいいことなんだが、次は誰がなるのか?
 オノレの鋭くないカンによれば、たぶん防衛長官をチトやった、
世渡り上手の、見てくれ勝負のジョセイになるのではないか…。
「アア、ヤダヤダ!」
 本命は朝鮮人が強制された「創氏改名」について、
その歴史的事実を歪めて発言したことのある、
吉田茂の孫とかいう漫画オタクちゃんらしいんだが…。
「アア ドチラニシテモ スクイガタイ!」

  《東京大空襲・戦災資料センター》
Date: 2008-09-01 (月)
 江東区北砂(電車では地下鉄「住吉駅」から徒歩15分)に、
《東京大空襲・戦災資料センター》という建物がある。
この辺りは、空襲の戦禍をもっとも受けた地である。
 このセンターの館長は作家の早乙女勝元さん。
1999年に東京都の「平和祈念館館」建設計画が凍結となり、
やむにやまれぬ思いから民間募金を呼びかけ、
2002年3月に完成することができた戦災資料センターだという。
 昨日、八月最後の日、オノレはこのセンターへ行ってきた。
12月の独歩プロデュース公演の演目、「ブラインドの視界」では、
登場人物たちが東京大空襲を体験し、
それが戦後の生き方に深い翳を落としているドラマだからである。
で、オノレと一緒に、出演者の森うたう・河原崎建三のお二人と、
戯曲を書かれた、今は亡き安保廣信さんの奥方・淑子さん、
そしてヤマノカミも同行した。
 センターの空間隅々には、
十万人を超えるという大空襲の死者の悲鳴と怒りの声が、
この耳に生に聞えてくるかのごとく満ちていた。
広島の平和記念資料館に比べれば、館の規模は驚くほど小さい。
しかし、そこに集められた写真や絵画、文書、手紙、遺品など、
諸々の戦災資料は、今を生きる我々に過去の悲惨な現実を見せつけ、
広島の原爆資料同様に衝撃的であり、戦争への問いかけを鋭く迫る。
 一度は足を運び、「人間とは何か?」を改め深く自問自答することも、
未だ世界で戦火のたえない今日、意味のあることではないか!