オノレ日記帳

2008年11月の記録



  芝居はギャンブル?
Date: 2008-11-25 (火)
 某芝居仲間のS氏曰く、
「芝居はギャンブルだな」と大きくタメ息。
彼もオノレと同じく、
自ら主宰するグループでときどき芝居を打つ。
で、つい最近の公演で大赤字を出したとか。
しかしその嘆きを耳にして、オノレはチト首を捻った。
「芝居はギャンブル」という発想をするてえことは、
S氏は芝居を打つことにより、
儲かることを考えとったちゅうことか?
 自慢にもならんが、我々は個人の零細演劇団体である。
商業演劇でもなく、もろもろ公演条件や環境を考えれば、
大劇団のように二三年先まで見越して、
演劇鑑賞団体などに作品を売りこむこともままならん。
つまり今の日本の演劇状況下では、
独歩のごとき零細演劇団体が、
東京公演のみで黒字を出すは至難の業。
情けない話と笑われるかもしれんが、
オノレなんざハナッから赤字覚悟で公演しとる。
というわけで、オノレの頭に、
「芝居はギャンブル」という発想はまったく浮かんでこない。
だってギャンブルなら、たまには儲かることもあるわいな。
 はてさて、なぜオノレはこないやせ我慢してまで、
およそ儲からぬ芝居を何回もするのか。
余り口はばったく説明したくはないんだが、
誤解を恐れず吐露すれば、
ただただ自分が惚れて上演したい作品を、
自分の選んだ役者・スタッフと創造したい、
ということに尽きるような気がする。
惚れた作品の惚れた役を演じ、
己の思ったように演出したいからに尽きるような気がする。
つまり全ては己自身の創造的悦びを満たすためだけなのである。
とはいえ、オノレの悦びを満たすことが、
イコール唯我独尊の世界になっちまってはアカンのだ。
オノレは己の喜びを、一人でも多くのお客様と共有したい。
出来得れば共感までもしてもらいたいのである。
故にオノレは己に可能な限りの知恵と力を絞り、
チケット代を頂戴しても恥ずかしくない舞台創りを目指す。
もちろん厳しい評価を頂戴しても、
「それでもいいかげんには創らなかった」という舞台創りを、
歯食いしばり、かつ愉しみながら目指しとる。
少なくともこの創造行程は、一か八かのギャンブルではない。
作品、キャスト、スタッフなど、すべての条件が、
それなりのレベルにあってこそ実現可能な行程である。
てえわけで、オノレは私(ひそか)に納得しているのだ。
(決して負け犬の言い草と誤解せんでくれんさい)
「オノレの悦びの為、これだけの人材に集っていただき、
これだけ高尚な世界に挑戦するのであるから…、
儲からんでもシャアナイワイ!!」と。

  ヒマなときほど…
Date: 2008-11-24 (月)
 久し振りの強い雨。
ヤマノカミもようやく全快したようだが、
独歩12月公演の関係者の中に風邪ッ引きが何人か出て、
稽古の進行にチト影響があった。
この雨が、乾燥した空気のよいお湿りになってくれるとよいのだが…。
 オノレの場合も、年に何度か風邪にやられる。
しかし不思議と舞台や声優の仕事に支障をきたすことがない。
悪運が強いのか、たまさか運がよいのか分らんが、
むしろヒマなときほど決まってやられる。
やはり人間、ヒマだとロクなことはないてえことかな…。
 12月も、千秋楽の打上が終わってからが要注意である!

  残すところ二週間 !
Date: 2008-11-20 (木)
 独歩12月公演初日まで残すところ二週間。
実質稽古日数は10日ほどである。
これからは音響や照明のスタッフも参加するようになり、
いよいよ公演関係者全員で、観客の期待に応える舞台にするため、
一枚岩のアンサンブルを生み出さにゃならん。
 稽古見学に招いたお客様も今後は多くなる。
稽古で積み重ね生まれつつある自信と、
慢心の無い緊張感のなかで、追い込み稽古の創造に励みたい!

  何が三ツ星?!
Date: 2008-11-19 (水)
 テレビを見ていたら、〈ミシュランガイド〉で、
星の数に一喜一憂する経営者たちを映しとった。
オノレは星のついた高級店にまず行かんので関心はない。
が、星を頂戴できず落胆している店主たちに一言。
こげなランク付けなんざ、金持ちだけのためにある。
三ツ星のついたお店を愛する方々に、
スキッ腹で食う安い牛丼の旨さはたぶんわからん。
 オノレの尊敬する天国の殿山泰司先輩も吼えとった。
「腹ペコで食えばどんな食いもんも最高の食いもんだ!」と。

  夜公演のチケット
Date: 2008-11-17 (月)
 12月公演の初日まで三週間を切ってしまった。
チケットも少しずつ売行きに加速がついてきた。
これは独歩だけではなく、他の公演でも同様の傾向らしいが、
近年、平日であっても、マチネーのチケットの売行きがよい。
比して夜の公演には余り勢いがない。
オノレの若い頃とはまるで逆転してしまったようである。
今や昼間働いている人たちは、仕事から解放された後、
芝居を観る余裕も無いほど疲れ切ってしまっているのだろうか?
生活習慣の変化も大きく影響しているとは思うが、
夜しか観劇の時間をとれない人もいるから、
昼間の公演ばかりというわけにもいかんしな…。
制作としては頭を悩ます近年の傾向である。
 来年から夜の公演は、
《20%引き》なんてことも考えにゃアカンか?!

  代役という 「兵」 たち
Date: 2008-11-14 (金)
 独歩の公演には、メディアフォースの若い声優さんたちが、
毎回六、七人、スタッフとして参加している。
メディアフォースは、
オノレの声優マネジメントをお願いしているプロダクション。
この事務所が、いつも温かく独歩公演に協力してくれ、
快く所属の若者を送り出してくれるから、
公演プロデューサーのオノレとしては本当に助かっとる。
 参加している若者たちは、総じて舞台経験が浅い。
それゆえ妙に舞台慣れして手を抜くようなところがない。
こちらが心配になるほど、とにかく素直で、熱心で、必死である。
彼らの役割は、稽古場の準備から後片付け、
チラシの折込からプロンプ等々、決して楽なものではないのだ。
それでもこの経験を通して、表現者として一人前になるため、
「何か」をつかみとり、身につけようと、
泣き言も、愚痴の一つもこぼさず毎日ガンバッとる。
 さて彼ら全員、本役のそれぞれの代役を任されとる。
一人の役者が稽古を欠席した日は、
その役者の代役と決められた者が、本役になり代わり稽古場に立つ。
もちろん代役の機会はそう多くはない。
しかし中にはあたえられた代役の台詞をほぼ頭に入れ、
台本なしで、堂々稽古場の舞台を務める「兵」(つわもの)もいる。
本役もウカウカしとれん…!
 生き生きと、貪欲に、創造の海を泳ぐ若者の姿はマブシイ。

  知ったかぶり総理
Date: 2008-11-13 (木)
 今朝の新聞によれば、我が日本のお殿様総理は、
〈感じ〉を…(あッ、これはワープロミスだ)、
〈漢字〉を読み違える例が相次いでいるそうな。
踏襲(とうしゅう)をフシュウとおっしゃったり、
未曾有(みぞう)をミゾウユウとおっしゃったり、
頻繁(ヒンパン)と言わねばならぬところを、
煩雑(ハンザツ)とおっしゃったり。
「ヨッ、 漫画オタクの本領発揮 !」と揶揄しては、
真面目(マメンモクではなくマジメです)な漫画ファンに叱られそうだが、
今、このお殿様が日本の顔だと思うと、
余りに情けなくて腸捻転(チョウネンテンです)になりそうだ。
エエ恰好し、身についとらん知識や言葉を、
知ったかぶりしてひけらかすと、
かように無様(ムサマではなくブザマです)な姿を天下にさらすことになる。
 それにしても泥縄(物事に出合ってから、慌てて準備をすること)
の「定額給付金」やら「補正予算」やら、
〈お殿様内閣〉の酷さは(コクさ…ではなく、ヒドさ、です)、
安倍・福田内閣と比しても負けず劣らずであります。
 役者や演出も、《知ったかぶり》は禁物(キンモツ)である。
そのため、作品の時代背景や風俗、難解な台詞や活字を、
事前の準備でしっかり勉強しておくのである。
にもかかわらず我々凡人はよく間違う。
そして謙虚に自己を恥、反省し、さらに学ぶ。
つまり恥を知らず、謙虚さも反省もないお殿様総理は、
ただ大金持ちの、我々凡人以下の男かもしれない!

  詩一篇
Date: 2008-11-12 (水)
    車内広告

《今年も残りわずか!》
という電車の車内広告を
何想うでもなくぼんやり眺めていた
《今年》という字が
《人生》という字に
いつのまにか変わった

  一句
Date: 2008-11-09 (日)
晩秋に覚悟して待つ救急車   麦 人(11月6日・記)

  今日的ドラマ!
Date: 2008-11-08 (土)
 この土日、12月公演の稽古はお休み。
稽古期間でいえば、
ようやく富士山の四合目をあたりを登り終えたところか…。
まだまだ心配なことや、考えねばならんことはいくつもある。
が、演出のオノレとしては、全体として大いに手応えを感じ、
毎日の稽古がまことに愉しい!
 安保廣信・作「月賦」と「ブラインドの視界」は、
四十年以上も前に書かれた作品でありながら、
結果としておそろしく今日的ドラマであった。
また登場する役の一つ一つに、
人間のもつさまざまな顔を発見し、ドキリとする。
 初日まで一カ月を切った今、
気を緩めることなく、さらに磨きに磨きをかける稽古をして、
いろいろ応援してくれる方々の期待に応えたい!

  全ての人々に…
Date: 2008-11-05 (水)
 この一週間、自分にとってちょっとシンドイことがあった。
それがどないシンドイことか、今は公にできん。
とはいえ、それはヤマノカミとオノレにとってだけの話で、
世間的にみればそれほどの大事ではない。
 全世界の人口がどれだけあるのか、オノレは確かな数字を知らんが、
その全ての人々一人ひとりにドラマがある!