オノレ日記帳

2008年12月の記録



  メゲズ!!
Date: 2008-12-31 (水)
 2008年も大晦日。
オノレにとって大きな創造的収穫のあった一年。
五月と十二月、合せて三本の作品を上演。
これは独歩の制作能力の限界を超えたムボーな挑戦であった。
しかし関わってくれた多くの役者・スタッフの努力と熱意により、
そして何より劇場に足を運んでくれたお客様たちのおかげにより、
何とか独歩らしい、独歩ならではの舞台成果を上げられたかなと思う。
 そして独歩は2009年も、懲りずに五月と十二月、
二本の別役実作品に挑戦し、いよいよ『経済的破綻』に向かって、
この大不況の嵐の中をひたすら走る…と、ヤマノカミが心配しとる。
五月、「窓を開ければ港が見える」。
十二月、「海行かば水漬く屍」。
 二作品とも、オノレがどうしても役者としてやっておきたい作品。
これを未上演のまま、オノレは己の役者としての一生を終わらせたくない。
で、オノレがこだわってきた別役実作品の上演は来年をもって最後となる。
 オノレは二作品とも出ずっぱりの役で、
その「憶えにくい」台詞の数は半端じゃない。
「あれだけの台詞をよくオボエましたねえ…」と、
皆さんにホメられるような舞台になっては悲惨である。
そうならんよう年明けから気合を入れ、台本とニラメッコいたします。
 皆々様、来年もよろしく。
明るい展望のみえにくい社会ではありますが、
2009年もメゲズ、健康で元気な一年を過ごしましょう!!

  来年どうなる?
Date: 2008-12-26 (金)
 今年のカレンダーも後六日で終わり…。
今年のオノレの仕事も今日で終わり。
傷めた右足を引きずり引きずり四谷まで行く。
患部は大分良くなっているような気はするんだが、
回復力は遅々としており、チト歯がゆい。
 それにしても危機的世界不況と日本社会の行方は来年どうなる?
派遣や期間契約社員に対する大企業の首切りには血も涙もない。
で、この厳しい経済状況は我々声優業界にも襲いかかり、
仕事が減ったと嘆くベテラン声優の何と多いことか…。
かような現実を前に、まるで無策・無能の政治家や官僚!
我々のようなオトナシイ国民は、いつまで耐えねばならんのだ?
 衆議院を一日も早く解散に追い込み、
上から目線のお殿様内閣を引きずり降ろさにゃならんわい!!

  足一本…。
Date: 2008-12-20 (土)
 今週はおよそ何もできない毎日を過ごした。
それにしても足一本不自由なだけで、
人間てえのはいかに行動が制限されてしまうものであるか…。
障害を抱えて生きる方々の困難さ、大変さを、身をもって体験しとる。
普段なら十分ほどで行けるところが、三十分、四十分かかる。
人に突き飛ばされんよう歩くのにひどく神経をつかう。
で、人混みの多い歩道や通路では、
なるたけ邪魔にならんよう隅を選んで歩く。
そんなオノレを無視するように、
次から次に颯爽と追い抜いていく人々が何とも恨めしい。
横断歩道でも、信号が青に変わってすぐでなくては怖くて渡れん。
とにかく外出するのが億劫になるというか、辛いというか…。
 傷めた右足ふくらはぎは、動かさん限り痛みはない。
しかしまともに歩行しようとするとズキンとなる。
この痛みが遅々としてとれんのでチト焦る。
 早いところ完治し、新年を迎えたいのでありますが?! 

  終わった…!
Date: 2008-12-15 (月)
 終わった…!
独歩プロデュース公演、
安保廣信追悼「月賦」「ブラインドの視界」の舞台は、
満席のお客様の熱い拍手の中で、昨日その幕を閉じた。
 12月の慌ただしい日々の中、
この公演を観るため劇場へ足を運んで下さったお客様、
心より感謝いたします。ありがとうございます!
そして、それぞれの有する力の限りを発揮して、
充実した舞台を創造してくれた出演者・スタッフの皆さん、
ほんとうに、ほんとうにお疲れさま。ありがとう!
 昨夜の打上は、これまでの中でも、
もっとも熱く盛り上がった打上だったような気がする。
ところでオノレは、千秋楽の舞台出演を終え、楽屋に戻ったとたん、
右足のふくらはぎを傷めてしまい、
すっかり皆さんに心配と迷惑をかけてしまいブザマであった。
今朝、近所の整形外科で診てもらった結果、
重傷ではなく、湿布薬だけの治療で、そのうち治るとか。
でもしばらくは松葉杖で歩く破目に…。
そんなオノレのチト情けない心境の中で、
「ブラインドの視界」の台詞の一つが頭に浮かんだ。
「強い痛みの中から、生きる力もわいてくる!」

  さあ、千秋楽!
Date: 2008-12-14 (日)
 さあ、千秋楽!
本日は補助席も含めてチケット完売。
予約なしで劇場まで来られ、
お帰り願うお客様が出そうでチト心配。
せっかくお出でいただいて無駄足させるのは、
公演主催者としてまことに忍びない。
しかし予約されたお客様がやはり優先である。
「当日券を何枚かは用意しておくべきだ」という声もあるが、
当日券が結局残ってしまい、
先に申し込んできた予約をお断りするのもどうかと思う。
とにかくプロデューサーとしは嬉しい悲鳴の千秋楽だが、
かような悲鳴が初日から続いてくれればなあ…。

  明日は千秋楽!
Date: 2008-12-13 (土)
 独歩プロデュース公演、
安保廣信追悼「月賦」「ブラインドの視界」も明日で終わる。
14回公演のうち、残る舞台は3回だけ…。
本音の心境としては後十日くらいはやりたいし、
この舞台で地方公演をし、全国を巡りたい。
が、独歩の制作レベルではとてもとても…。
 千秋楽のチケットは既に売り切れ、
今日の昼夜も満席にちかい。
とにもかくにも劇場に足を運んでくれた、
そしてこれから運んでくれるお客様に、感謝、感謝!
 あと3回の舞台。
全出演者・スタッフが気を抜かず、精一杯努めてほしい!
明日・千秋楽の打上を最高に愉しい宴とするためにもネ!

  嬉しい感想!
Date: 2008-12-12 (金)
 独歩プロデュース公演を度々観てくれる方から、
たいへん嬉しくありがたい、励まされる感想を頂戴した。
ご本人にお断りしとらんが、
『オノレ日記帳』にムダン掲載させていただく。

【12月10日の昼公演を観劇。】
 今回の公演も楽しませていただきました。
「月賦」と「ブラインドの視界」、
両作品のコントラストの差が面白かったですし、
違うようでいて何か共通のものも感じられる不思議な取り合わせでした。
「月賦」で軽くジャブを放っておき、
観客が慣れた頃に「ブラインドの視界」でカウンターを打つ……。
そんな意図があったのかなぁなどと、帰り道で勝手に妄想した次第です。
 今回特に驚いたのはキャスティングの良さと安定感のある演技、
そして劇中の音楽の素晴らしさでした。
演劇を多く見ているわけではありませんが、
自分にはとてもクオリティの高い舞台に感じられました。

 内容についても興味深かったです。
30代の自分にとっても身近で、
普遍的なテーマや人間の性(さが)を描いているように思える一方、
なけなしの想像力を総動員しても、
どこか遠い世界のことのように思える部分がある。
それは多分人生の経験値の差であったり世代の差であったり、
思想などが影響しているのだと思うのですが……。
しかし自分を重ねることが難しいテーマでも、
物語化され生身の人間が目の前で演ずることで、
これほどの迫力を持つのだなぁと、
今更ながら演劇の良さを噛み締めたのも事実です。

 それにしても今の時代に、
「ブラインドの視界」で見た登場人物たちのように、
濃密な人間関係が存在するのでしょうか。
人間の感情を構成する要素、
喜怒哀楽、その他もろもろが変わっていなくても、
それらの一つ一つは軽く、薄くなっているように思えます。
善し悪しの問題ではないのでしょうが、
あの舞台上に感じられたような“人間の迫力”は、
果たして今の自分にあるのか……否、
無いだろうなぁと反省させられた次第です。
 次の公演も楽しみにしております!(保村匡俊)

 保村さん、ありがとう!

  疲労はピーク?
Date: 2008-12-11 (木)
 昨日の昼夜2回公演を終え、
さすがのオノレもチト疲れを感じた。
十秒くらいの出演しかないオノレがそうだから、
テンションの高い台詞を喋って動く他の役者も、
裏で頑張るスタッフたちも、そろそろ疲労はピークかもしれん。
しかしそれを顔に出し、オノレの前で嘆くヤツは一人もいない。
公演プロデューサーとしては、ほんとうに頭が下がる思いである。
 残された上演回数もあと6。
日曜日、千秋楽の打上では、
公演に参加してくれた全出演者、スタッフを、
心の底からの笑顔で労い、
「オツカレサマ!」と叫んで、乾杯したい!!

  早や中日
Date: 2008-12-10 (水)
 独歩プロデュース公演、
安保廣信追悼「月賦」「ブラインドの視界」も早や中日。
劇場に足を運んで下さるお客様も、
連日満席というわけにはいかんが、
何かと慌ただしいこの時期としては、
たくさんの方々が観劇してくれている。ただただ感謝!
 さて、肝心の舞台評価も大変良い。
チト口惜しいが、独歩のこれまでの舞台で、
「もっともヨカッタ!」と、オノレに言ったお客様も数人いる。
その一人が昨日観に来たオノレの姉御。
オノレの舞台をまずホメない辛口女優であるが、
今回は「とてもよい舞台で、泣けてしまった」そうな…。
 ヤレヤレ…。

  オノレの役
Date: 2008-12-08 (月)
 オノレは、上演中の独歩プロデュース公演で、
役者としては「月賦」という芝居に出演しとる。
そこでオノレの演じる老人役は、元々原作にはない役だ。
オノレが改ざんして、かってに出場を創ってしまった。
「月賦」は中年女と青年の二人芝居だし、
もう一本の「ブラインドの視界」でも、オノレに合った役はない。
しかしオノレとしては、原作者・安保廣信への追悼公演で、
何としても役者として舞台に立ちたかった。
そこで芝居の本筋を乱さんよう、
無い知恵を絞って出演シーンを考えた。
で、オノレの役は「ワッハハじいさん」。
芝居の幕開け早々、「ワッハハ、ワッハハ…」と笑いつつ、
下手から上手をただ通り過ぎるだけの役。
つまりチト変わったじじいが歩いている路地裏の一風景。
もちろん台詞もない。
が、幟を片手に、上半身裸というスタイルで、
上手袖に消える瞬間の大きなクシャミ一発に、
オノレは「役者生命」を賭けているのであります!
(昔、裸で笑い、健康を説きつつ全国行脚したじいさんが、
ほんとうに実在したのですよ)

  チケット
Date: 2008-12-07 (日)
 昨日の土曜日、
今日の日曜日のマチネーはほぼ満席。
初日の入りはチト薄かったが、ホッと一息。
しかし明日・月曜の夜、
11日・木曜昼のチケットが余り売れていない。
ま、独歩公演で、毎回満席なんてえのは夢の夢だが、
あまりに空席の目立つ舞台に立つのは、
役者にとってチト辛いものがある。
今日から明日にかけて、
明日の夜のチケットが一枚でも多く出ることを願いつつ、
できる限りの努力をせにゃならん!

  ヒヤヒヤ!
Date: 2008-12-06 (土)
 昨夜、初日の幕が無事開いた…と言いたいところだが、
開演三分前に照明にアクシデントが生じ、
危うく上演中止寸前の事態になるところであった。
けっきょくオペレータのパソコン入力ミスだったようで、
およそ20分遅れでヒヤヒヤものの開演。
お客様にご迷惑をかけたが、幸いお帰りになる方もなく、
皆さん最後まで熱心に観てくださった。
 さて、肝心の舞台は、
この日に合せて最高に仕上がるよう計算しとッたかのように、
役者もスタッフもよい出来栄えだったと思う。
手前味噌になってしまうが、
密度の濃い、素晴らしい舞台が創れたとオノレは確信している。
最後まで、さらにさらに、よい舞台創りを目指そう!

  初日!
Date: 2008-12-05 (金)
 いよいよ2008年の掉尾を飾る独歩プロデュース公演、
安保廣信追悼「月賦」「ブラインドの視界」の初日!
 昨日のゲネプロでは、
稽古場では起りえない諸々の問題点が、やはり浮き彫りにされた。
それは主に大道具の仕込みや、舞台転換の手順などで、
役者の演技に関しては、大きな変更を求めるダメはなかった。
ただ今回、「月賦」から「ブラインドの視界」へと、
舞台が変わる転換は、オノレは演出としてとくにこだわっている。
今夜、初日の幕が開くまでに、徹底的にその手順を再検証し、
何度か転換稽古を繰り返し、お客様に笑われないようにしたい。
 慌ただしい12月ではありますが、一人でも多くの方が、
中野・劇場MOMOに足を運んで下さいますことを!!

  ゲネプロ
Date: 2008-12-04 (木)
 昨日、搬入・仕込も無事に終わり、今日はゲネプロ。
空の客席で本番同様の舞台を上演する。
演出としては、今日のゲネで、
今回の舞台の成果をしっかり見届けておきたい。
されどゲネ。
明日の本番に向けて、見直すべきところを見直せる最後の機会。
幕が開いてしまうと、役者の表現はもちろん、
照明・音響・美術など、大幅な手直しはなかなか難しい。
技術的なことだけではなく、客目線で観ることを頭に入れつつ、
今日の総仕上げに臨みたい!

  搬入・仕込
Date: 2008-12-03 (水)
 今日は独歩プロデュース「安保廣信追悼公演」の搬入・仕込。
裏方のスタッフは、朝十時から舞台のセッティングに汗を流す。
そして明日はゲネプロ。
こここまでくると千秋楽まで、アッというまに時間が過ぎる。
 公演期間中、観劇してくれた親しい方々と毎日のように飲む。
つい飲みすぎて体調を崩さぬよう、
くれぐれ自戒して飲まにゃならんが、あまり自信はナイ!

  タイチャン、死す…
Date: 2008-12-02 (火)
 今朝、カラスのタイチャンが死んでいた。
六年前、電信柱に作られた巣から捕獲され、
処分されそうな雛の一羽をヤマノカミが譲ってもらい、
我が家の一員として共に暮らしてきた。
いろいろ言葉を憶え、とくにオノレの声そっくりに、
「オカアサン、オカアサン」と叫ぶ声に、
オノレの頬はいつも緩んで人心地ついた。
 野生のカラスのなかには、何十年も生きるのがいるという。
およそ翔ぶことかなわず、狭い檻の中だけの暮らしは、
やはり辛い毎日だったか…。
今さら謝っても詮ないが、許しておくれタイチャン。
 泣き崩れているヤマノカミをどう慰めたらよいのやら…。
タイチャン…享年六歳。

  十二月だ!
Date: 2008-12-01 (月)
我が心覚悟新たの冬初め   麦 人

 十二月だ!
五日後は安保廣信追悼公演の初日だ。
真白き富士がよく見える。
昨夜は無い知恵を絞りに絞って、
オノレの役の表現と役割を考え眠れなかった。
もともと原作にはないものを、
なんとしてでも追悼公演の舞台に立ちたいがため、
オノレが書き加えて創った役。
「月賦」の原作は、男女の二人芝居。
努々オノレの登場により、
その二人芝居の邪魔になってはいけない。
で、ここまで試行錯誤しつつ、あれこれやっても、
なかなかオノレ自身が納得できる答えがでなかった。
しかし昨夜、ようやく腹を固めた。
その答えは本番の舞台で…。