芝居の稽古が深まれば深まるほど、 「芝居てえのはムツカシイナア…」とオソロシクなる。 「窓を開ければ港が見える」は、 すでにドラマ全体の姿が、しっかりと見えてきた。 上演時間は、このところ毎回一時間四十分くらいに落ち着いとる。 それぞれの役者も、各々の役のキャラクターを固め、 その表現とリズムを自分のものにしてきて、まことにオモロイ。 しかしながらほんの一瞬の動き、ほんの一台詞の油断で、 動きを間違ったり、台詞が詰ってしまったり、 その調子が外れただけで、全体のリズムは狂い始め、舞台は弛緩し、 実にかったるい流れの展開になってしまうのである。 花の舞台のその上で、誰か一人でも大きく躓くと、 役者全員を待ちかまえているのは、危ない奈落の底である…!
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