オノレ日記帳

2009年9月の記録



  新米
Date: 2009-09-28 (月)
 もう何年にも渡って、
茨城県の兼業農家の方が新米を送ってくれる。
その新米が今年も届いた。
米どころといえば、すぐ新潟や山形とかいう地名が頭に浮かぶが、
今や北海道のお米もなかなかのようだし、
茨城米も米どころのブランド米に劣る味ではない。
 来月から入る芝居の稽古は、
毎日この新米のオニギリでガンバルゾ !

新米は作った人の汗の味   麦 人

  彼岸花
Date: 2009-09-24 (木)
深まる秋・・・
我が家の小さな庭で
しばらく紅い命を咲かせた彼岸花
三日ほど前から
今年の生気をつかいはたしたかのように
枯れはじめた

♪ 曼珠沙華の恥を知らない
  真ッ赤な色
  わたしはきらいさ
  きらい きら〜い

彼岸花には怨念のこもった歌が多いのか ?
この花が咲くと頭に浮かぶこのフレーズ
ずいぶん昔
津和のりこという人の歌った
「曼珠沙華」
そのころの己は
人を恨んだり怨まれたりの日々もそれなりあって
よくこの歌を感傷的に口ずさんだものだ
しかし歳を重ねた今
彼岸花はただ目に鮮やかで美しい・・・

  政権発足して一週間
Date: 2009-09-23 (水)
 政権発足して一週間が過ぎ、
すでに幾つかの困難な政治的課題が立塞がっているが、
民主党政権の船出は、なかなかの舵取りといってよいのではないか ?
 温室ガス25%削減を表明した鳩山首相の国連演説にも、
意欲の中に落着きと誠意を感じてオノレは好感をもてたな。
 群馬の八ッ場ダム中止に関しては、
この先一波乱も二波乱もありそうでチト心配だが、
今後、無駄な公共事業はやらない、
やらせないという強い姿勢で、
前原国交相には粘り強くガンバッテもらいたい。
もともと八ッ場ダムの建設も、
ゼネコン業者や地元ボスなどと癒着し、
半世紀にも渡って国費を食いつぶすような、
昨日までの自民党政府と官僚の、
いい加減な公共事業政策のツケの一つてえことだろう。
アホな国の施策に翻弄され続けてきた地元住民の怒りも分かるが、
もともと彼らの多くはダム建設反対派だったはずである。
今の怒りをこえて、新しい国のあり方を受け入れるわけにはいかんのか ?
 もちろん新政権も、ダム中止によって損害を受ける地元住民への補償を、
彼らが納得できる条件でせにゃならんだろう。
 いずれにせよ新連立政権は、
無駄な公共・箱モノ事業などによる血税の垂れ流しに引導を渡し、
真に国民のタメになる公共事業に予算を使う魁となってもらいたい !

  このオツムの中に・・・
Date: 2009-09-18 (金)
 12月・独歩プロデュース公演、
「海ゆかば水漬く屍」の稽古初日まで、あと三週間余。
一昨日のスタッフ会議は、
闊達な意見とアイディア提示の場となり、まことに有意義であった。
チラシのゲラも完成。
今月中には、シンプルかつ印象深いチラシがオノレの手元に届く。
そして遂に・・・、オノレとっては膨大であるこの作品の台詞が、
五ヶ月間の悪戦苦闘の日々を過ごしたことにより、
あまり有能ではないこのオツムの中にホボ入ったかのように思える。
まずは「エガッタ !」という、今のオノレの心境なんだが、
ま、これでようやく、
厳しい創造の門を開ける態勢が整ったというに過ぎない。
開けた門の向こうには、
創造の高い山があり、深い谷があり、果てしない海がある !

  鳩山内閣誕生 !
Date: 2009-09-16 (水)
 民主党・鳩山内閣誕生 !
長く続いた自公政権の大企業・金持ち優遇政策によって、
社会的弱者が悲鳴をあげとる、難問山積の日本国。
その前途は決して順風満帆とはいかんだろう。
 共に大金持ちのオボッチャマとはいえ、
今日まで首相の、傲岸不遜な態度のアホなヤツより、
今日から首相になる、物腰低く柔らかい、自称「宇宙人」の男の方が、
ま、オノレとしては、今のところ余り不愉快な感じがしとらん。
 「国民目線」が売りの民主党内閣。
我々下々の民は、しばらく焦らず見守ってやらにゃいかんよな・・・?
 さて今日は、12月公演「海ゆかば水漬く屍」、初のスタッフ会議。
演出・美術・照明・衣装・舞台監督など、
音響を除く各責任者が勢ぞろい。
拙宅で喧々諤々、そのプランを話し合う。
 オノレも12月に向けて、新たな気持ちでスタートだ !

  「一本の、偉大な内野安打」 !
Date: 2009-09-14 (月)
 イチロー、9年連続200安打達成 !
オノレはその瞬間をテレビで観ることができた。
 ゆるいゴロの内野安打であったが、
まさにイチローらしい「一本の、偉大な内野安打」であった。
 彼はあと何年続けてシーズン200安打を記録するのであろう。
イチローの打ち出の小槌ならぬ、打ち出のバットは、
もちろん魔法のバットではない。
たゆまぬ肉体の鍛錬と管理、不屈の精神力があってこそ・・・。
 もはや遅きに失ッしとるが、
でき得れば、オノレも残された生の時間、
「不屈の精神力」で、表現活動を続けたいなあ !

  代表作 !?
Date: 2009-09-10 (木)
 オノレのごとき役者・声優でも、
たまには雑誌の取材を受けることがあり、
(ま、最近はほとんどアニメ関連だが)
よく質問されるのが、「代表作は ?」てえヤツ。
オノレはどうもこの質問には、
答えるのが苦手というか、答えに窮する。
で、代表作は、洋画は「スタートレックです」とか、
アニメは「少年陰陽師」ですとか、
舞台は、独演の「ごびらっふ」ですとか、
そのときパッと頭に浮かんだことをお答えしとる…スンマッセン。
 オノレの本音をいえば、
これまでオノレがさせていただいた全ての作品が、
オノレとっては代表作であり、代表作ではない。
なぜなら、表現者として生きて半世紀、
「完璧にできた」と自分で思える作品など一つもないし、
独歩の舞台に関して言えば、
上演した全ての作品に、オノレなりの深い想いがあるからである !
 結論。代表作というものは、自分で決めるものではない。

  強迫観念 !
Date: 2009-09-09 (水)
 歳とともに記憶力が悪くなるのは避けがたいが、
それにしてもここ数年、台詞がなかなか入らんのでイヤになる。
この10月に稽古に入る「海ゆかば水漬く屍」の台詞も、
この五月の独歩公演が終わってから、暇を見つけては台本に目を通し、
少しでも早く頭に入れようと、必死の努力をしているのだが未だ入らん。
 独歩は、台詞をしっかり頭に入れて立稽古初日に臨むことを、
出演する役者さんにいつも求めとる。
そのお願いをする立場のオノレの頭に、
台詞がしっかり入らんでは、話にならんし立場がない。
で、そんな覚えられない強迫観念にかられるのか、
舞台で台詞の出ない恐ろしい夢をよく見ることになる。
 稽古まであと一月半…。
あと何日、恐ろしい夢を見ることになるのであろうか !?

  「己の戒め」
Date: 2009-09-08 (火)
 最近は季節に関係なく、毎月のように、
日頃お付き合いのある方々の関わる公演案内が次々届く。
ま、オノレはフトコロと相談しつつ、可能な限り観させていただいとる。
しかしここ一月でいうと、それなり面白い舞台もあったが、
後々まで、オノレの記憶に残るような、
心強く打たれるような芝居はおよそなかった。
まことに残念。
 もちろんオノレの主宰する独歩の舞台は、
いつも人の記憶に残る舞台であると公言できるほど、
オノレは芝居に対して傲慢ではないし、それほどの自信もない。
で、同じ舞台人として、
有料で人に芝居をお観せしている者の一人として、
オノレは「己の戒め」のためにあえて書く。
 このところ観た一連の芝居の中には、
「心から芝居を愛して演出しているのだろうか?」
「本当に好きで役者をやっているのだろうか?」と、
首を傾げざるをえない舞台が多いのだ。
多くの客は、たぶん完璧な芝居を求めて劇場に来るのではない。
一点の隙もない完璧な舞台などあり得んし、
もしあったとしても、それほど感動しないような気がする。
一番大切なのは、創り手たちに「芝居を愛する心」が漲り、
精一杯の努力を尽くして創造することではなかろうか?
その姿勢が舞台から客席に届けば、
例え隙があったり、拙さがあったとしても、
観客はそれなり温かい拍手をしてくれるとオノレは信じる。
しかし創り手が、言わずもがなの手抜きをし、
「芝居を愛する心」に薄くては、客の拍手はあっても冷たい。
(例えば、調べられる作品の時代をしっかり調べていないとか、
台本を読みこめば自ずとわかる装置や衣装になっとらんとか・・・)
 来月半ばから、独歩12月公演の稽古が始まる。
オノレに出来得る限りの、手抜きしない準備をしてるのかと、
改めてオノレは己を戒める。
「飯より好き」な芝居だからネ!

  アルツハイマーの世界 ?
Date: 2009-09-04 (金)
 夢に出てくるオノレは、おおよそ若い。
六十半ばを過ぎてしまった老いぼれではない。
はたしてこの傾向は誰にでも当てはまるのだろうか ?
苦しい夢であれ、楽しい夢であれ、
いつもその中で「カツヤク」しているオノレは、
まず若い頃のオノレなのである。
 ふと、アルツハイマーにやられてしてしまったオノレを思う。
このときオノレの脳の中は、常に夢見状態なのではないかと・・・。
幻想と妄想の世界を流離いつづけているのではないかと・・・。
そんな世界が、若きころの楽しい光景ばかりなら、
オノレ自身にとって、ボケるのもまんざらではない。
だが悲惨な光景ばかり見つづけるなら、
これはもう阿鼻叫喚の地獄だよなあ・・・。
 ま、どちらにせよ、
そんなオノレを世話せにゃならんヤマノカミがいちばんツライ。
で、今彼女は、毎週一日、介護の講習に通っとる !

  はや九月…。
Date: 2009-09-02 (水)
 はや九月…。
今朝は涼しく、秋のおとずれを感じる。
そしてあと40日も過ぎると、独歩12月公演の稽古入り。
『海ゆかば水漬く屍』。
たぶん、独歩の上演する別役実最後の作品になるだろう。
 さてオノレはこの舞台出ずっぱり。
であるからしてその台詞量もハンパでない。
似たような、しかしチョット語尾が異なるような、
ややこしくコンガラガル言葉のオンパレード。
そりゃもう頭に入らないのって何のって、さすが別役実である。
 ま、オノレのオツムの記憶力の劣化はさておき、
この作品そのものが問いかけてくるメッセージはなかなか重い。
かつての戦争の原罪に七転八倒して苦しむ傷病兵の姿は、
およそ戦争体験のない今のお客様にどのような感情を生むだろう。
来年八月に上演する井上ひさし作品、『父と暮せば』もそうだが、
戦争や原爆の時代の記憶風化に挑戦する独歩の課題は生やさしくない !