オノレ日記帳

2009年10月の記録



  まず三年・・・
Date: 2009-10-30 (金)
 「大腸憩室」からの下血という、思いもよらぬ疾患と遭遇し、
幸いにもたった五日で無事退院したものの、
今夜はあれこれの思いが脳天を駆け巡り、なかなか眠れん。
ほんの少しウトウトして夢を見れば、上演中のオノレの舞台が、
(この12月公演かと思えるような舞台)その出来の悪さで、
身内から仲間から、もうこれでもか、これでもかと罵倒され、
泣き泣き目覚める始末。
どうか正夢になりませんように・・・。
 ま、自殺や事故はさておき、
己の寿命のいかほどかを先々まで見透かすのは至難のことだ。
それでもすでにあの世へ逝った血族の寿命を考えれば、
オノレの余命もある程度は予測できるような気がする。
で、オノレの身内で八十をこえて生きながらえた者は一人くらいのもんである。
長兄などは働き盛りの六十一でオサラバしたし、親父も七十。
ようするにどうも長寿のDNAに乏しい一族なのである。
かようなデータから推し量れば、オノレの寿命もあと十年、
恵まれて精一杯十五年てえところだろう。
ならば、細かに三年単位くらいで残りの人生を区切り、
この先三年の暮らしをいかに充実させるか考えて生きるのも悪くない。
で、めでたく三年生き延びたら、また三年先のプランを練る・・・。
ホホ、これはなかなかオノレとしては上出来のアイディア。
(アイディアというより、思いつきかな?)
「まずこれから三年の人生をどう過ごすか、
改めてプランを練るぞ !」と、考えがようやくまとまって、
なんだか眠れそうな気分になってきた。
 もうすぐ午前三時半、眠ろうと思います・・・。

  五日間の大騒動 !!
Date: 2009-10-29 (木)
 去年の今頃、自宅で激しく嘔吐し救急車で病院へ運ばれた。
しかしいろいろ検査をした結果、とくに原因らいし疾患は見つからず、
疲れとストレスからくる貧血症状ではないかといういうことで、
運ばれた当日の晩に家へ帰され、
確かに翌日ケロッと体調は回復、12月公演の稽古に復帰し、
そのまま無事、千秋楽まで舞台に立つことができた。
(好事魔多しか、千秋楽の舞台に立って楽屋に入ったとたん、
右足を捻って傷め、松葉杖で年越しをするおまけに見舞われた・・・)
 さて、今週・日曜日の晩、またドエライことになッちまった。
夕方六時過ぎから、自宅でつまみ食い喰い、泡盛のロックを飲んどったら、
急に排泄したくなりトイレへ駆け込んだ。
すると便ではなく、二合くらいの下血。
真っ青になって知り合いの医者に相談、
近所のクリニックを紹介していただき、翌日行くことにした。
で、そこでもう飲まなきゃええのに、
どうせ明日にならねば原因はわからんのだからと、
チト自棄な気分も手伝って、さらにロックを二杯ばかり飲んじまった。
これが天罰か、九時過ぎ、またトイレへいきたくなり排泄すると、
な、何と、こんどは最初より三倍は多い量の下血 !
これはアカンと、さすがに飲むのをやめて床に入った。
それから十五分もして、肛門にドッと何かが押し寄せるのを感じ、
慌ててトイレへ駆け込もうと立ちあがった。
とたん、ケチャップのようにドロドロした赤黒い血が、
オノレのケツから流れはじめて止まらんではないか・・・。
下着から廊下からトイレから・・・!
さすがのオノレも卒倒しそうな血の海。
オッタマゲてオノレを抱えたヤマノカミも血まみれとなりながら、
しどろもどろに119番通報。
去年収容されたのと同じ、小平市の公立昭和病院へ、
人生二度目の救急車による搬送とあいなった。
 病院では、その晩にCT検査や、レントゲンを撮影。
大量下血したのに採血までされちまって、
薄暗く寒々しい救急病棟で眠れぬ一夜を過ごした。
 翌月曜日も消化器内科のベッドに空がないということで、
そのまま救急病棟に置かれ、ただただ一日寝て過ごした。
 火曜日、明るく暖かい消化器内科棟の病室へ移され、
担当医の先生も決まり、早速昼前に大腸内視鏡検査。
オノレはこの時点で、もし悪性腫瘍でも見つかったら、
諸々、いよいよ覚悟を決めにゃならんわいと腹を括った。
 内視鏡を操る先生の説明を聞きながらおよそ三十五分、
オノレも唸りつつモニター画面を見ていたのだが、
何とこれが、およそきれいでウツクシイ蝶・・・否、
腸であることが判明。
ひとまず悪性腫瘍の魔手は、オノレの腸を避けてくれとった。
そして一日置いた今日の木曜日、午前十時半から胃カメラによる検査。
(口からカメラをのみこむこの検査は、
ホンマ、オノレにとってドエライ苦痛で、もう二度とイヤッ !)
先生が、多少食道が炎症しとるようなことをおっしゃったような気もするが、
とにかくこれも全体として問題なく、午後には晴れて退院。
娑婆にもどって、今PCの前にすわりキーボードを打っとる !!
 では、あの大量の下血は、いったい何だったのか ?
担当医の女医さんによれば、
(この北村先生、若いがとてもしっかりしとって、
なかなかキュート、魅力的な先生でありました !)
オノレの腸には、大腸憩室という小さな穴ぼこのようなものがいくつかあり、
ここから出血する「憩室出血」&「憩室炎」という、
なんだかのんびりオネンネしたくなるような症状により、
かような下血を招いたのだろうというお診立て。
 この大腸憩室というのは、若い人にはほとんどなく、
トシヨリになるほどできる穴ぼこのようなものらしい。
どうも食生活の欧米化が進むにつれて増えてきたようで、
疲れやストレス、暴飲暴食などにより、
この憩室から激しく下血することがあるのだという。
しかし手術や処方薬による治療はできず、下血したら点滴をし、
ひたすら安静にしているより他、術はないとか・・・。
つまりこの大腸憩室が腸にできてしまった以上、
暴飲暴食や過度の疲れ、ストレスにより、
今後も下血するおそれがあり得るてえわけだよな・・・。
ようするに今後のオノレは、
毎日のように飲んだり、余り深酒をしてはいかんちゅうこっちゃ。
 いやはや、たった五日間ですんだ「大騒動」とはいえ、
今回の下血入院で、声優の仕事関係や、
独歩12月公演の関係者の皆さんに多大な迷惑をかけちまった。
これを機に、オノレは肝に銘じて暴飲暴食をつつしみ、
まだしばらく続けられそうな人生、
「品行方正」「健全な日常生活」に徹するつもりでございます !?

  今朝の夢…
Date: 2009-10-25 (日)
 なぜか今朝方見た夢は、あの横井さんと小野田さん。
(横井庄一 グアム島から1972年に帰国)
(小野田寛郎 ルバング島から1974年に帰国)
 たぶん、最近稽古に入った独歩12月公演の話が、
太平洋戦争で戦った旧軍人の話なのでこんな夢を見たんだろう。
お二人がこもったジャングルはまったく別の島であったが、
なぜかオノレの夢では、同じジャングルの洞窟。
で、終戦も知らず、一緒にたてこもっとる。
互いに疑心暗鬼というか人間不信のかたまりで、
相手に背中を向けんよう神経を使い、ひどく脅えてね…。
 オノレのかってな夢のシチュエーションの主役にしちまって、
お二人にはまことに申し訳ないが、目が覚めてオノレは思った。
人がもっとも恐れるのは人であり、不信を抱くのも人と人。
そういう人間社会である限り、平和でおだやかな日々は望めんなあと…?

  不安です・・・
Date: 2009-10-24 (土)
 夕方から久しぶりのお湿り・・・。
明日も雨の予報。
新型インフルエンザのウイルスが、
このお湿りでチト衰えてくれんかいの ?
 独歩12月公演の出演者・スタッフも、
すでに三人が風邪でダウン(新型でダウンは一人)しとる。
電車内でマスク着用の乗客も非常に多くなってきた。
オノレもいつかヤラレルのではないかと不安が募る。
しかしどうもマスクをして感じるあの息苦しさが苦手で、
携帯はしとっても、ついつい着用せんで終わってしまう。
風邪にマスクはそれほど有効ではない、てえ説もあるしな・・・。
それでもしないよりはしたほうが、やっぱりマシなんだろうなあ !?

  芝居をするということは・・・
Date: 2009-10-21 (水)
 芝居を企画し、立ち上げ、創造し、上演する。
その長い期間には、さまざまな苦労と難題が待ち受けとる。
 独歩は先週、
12月公演「海ゆかば水漬く屍」の稽古に入ったばかり。
だがこのスタート時点で、大きな難題にぶつかッちまった。
その難題を今ここで公表するわけにはいかんのだが、
なかなか解決するに厳しい難題で、
さすがのオノレもチト頭を悩ましとる。
 ま、あらゆる苦労を承知の上で、
自ら望み好きな芝居を企画し上演しようというのである。
どない予期せぬ困難に見舞われても、
出演者・スタッフ全員の努力と知恵さえあれば、
目の前に立ちはだかる問題の壁は必ずクリアできると信じ、
ひたすら稽古でよい汗をかくしかない。

〔創造の道には思わぬ落とし穴と宝物がある〕

  辛いおはなし・・・
Date: 2009-10-20 (火)
秋がらの紬姿でいま一度    麦   人

 オノレと十代の頃からお付き合いのある女性が、
末期の大腸癌で入院していることをしり、
昨日、ヤマノカミと入院先の病院へお見舞いに行ってきた。
 彼女はもともと役者の奥さんであったが、ずいぶん前に離婚。
それから小さな、まことに小粋で家庭的な飲み屋を切り盛りし、
オノレはチョコチョコその店に寄せていただいた。
そしていつも心のこもった美味しいお酒と小料理を頂だいしたのである。
 彼女の生まれ育ちがどこか知らんが、
まことに割り切りのよい下町の姐御気質と、
北国の情の深さをあわせ持つような女人(ひと)である。
オノレより三つ年上、古稀もちかいが、
とにかく無類の芝居好きで、独歩の芝居も必ず観にきてくれた。
去年の秋に店をたたみ、介護のようなことをされとったが、
この五月の独歩公演を観に来なかったので、チト気になっていた。
 病室での彼女は、一言でいえば〈明るかった〉!
すでに八月頭に入院し、その時点で主治医から、
癌が肝臓や肺に転移しており、末期状態であることを告げられたこと。
入院して即手術をし、人工肛門になってしまったこと。
今月一杯で退院し、自宅療養になること。
精一杯残された命の時間を愉しんで生きようと思っていること・・・。
 そんなスゴイ事実を、オノレとヤマノカミを前に、
ほんとうに明るく、淡々と話すのであった。
それだけに、あのふくよかな顔で、よく似合う和服の袂をたくしあげ、
色白の二の腕でお酒をついでくれた元気なころの彼女と比し、
今、骨と皮だけになってしまったようなその腕を目の前にして、
オノレはもう返す言葉がなく、
ただただ胸にこみあげてくる感情を抑えるのに必死であった・・・。

一輪の秋の小花のいさぎよく   麦   人

  演劇集団 円 「コマネラの骸骨」公演
Date: 2009-10-17 (土)
 演劇集団 円公演、「コマネラの骸骨」は、
アイルランド西部のコマネラという土地で、
教会の死体処理を任された男を主人公にした、
いやはやホンマに凄まじい舞台であった。
今年観たオノレの芝居の中で、最も強烈、
かつ完成度の高い舞台だったと思う。
 作者はマーティン・マクドナー。
パンフによれば、ある新人劇作家賞の席上で、
ショーン・コネリーを罵倒したとあるが、
そのエピソードが納得できるような、
反骨と血のたぎりに満ちた作品だったな。
 息もつけぬほど緊迫して展開する、
四人の登場人物たちの葛藤。その緊迫の中で、
思わず笑ってしまう人間の卑小なやりとり。
作品と演出と役者、
さらに美術・音響・衣装・小道具にいたるまで、
およそ手抜きを感じさせぬ綿密な完成度であった。
オノレは終演後、心地よいため息を深くつき、
チョッピリその舞台成果に嫉妬しつつ劇場を後にした。
 この芝居で主演した石住昭彦とは、
アニメ「うみねこのなく頃に」でご一緒している(南條役)。
ほんとうに今回、彼は素晴らしい演技であった !
 この公演に関わった方々に拍手、大いなる拍手 !!

  芝居のハシゴ
Date: 2009-10-16 (金)
 今日は俳優座と青年座の公演をハシゴ。
どちらも最近観た芝居の中では面白い舞台になっていた。
とくに青年座の「千里眼の女」は、脚本・演出・役者、
すべてがしっかりしとって、オノレの芝居心が強く刺激された。
 明日は演劇集団・円の舞台を観てくる。
それにしても観劇のために費やすお金はバカにならん。
明日の円を入れると、今月観た舞台は八公演。
オノレのフトコロもそろそろ限界、悲鳴をあげとるわい !

  風邪対策 !
Date: 2009-10-14 (水)
 さてさて、いよいよ今日から独歩十二月公演、
「海ゆかば水漬く屍」の稽古がはじまる !
ところが・・・オノレとコンビを組んで出ずっぱりの役者、
劇団昴の北川勝博君が風邪にやられ、高熱でダウン。
幸いにも新型インフルエンザではないらしいが、
今週の稽古はお休みいただき、来週からの参加となった。
またスタッフにつく若い娘からも、
こちらは新型インフルエンザにヤラレタということで欠席の連絡。
ヤバイ、ヤバイ・・・。
 今年はこれから千秋楽まで、
よほど健康管理と風邪対策を慎重にせんとアカンぞ。
新型インフルエンザによって公演中止なんてえ事態だけは、
何としてでも回避せにゃならん。
公演関係者の皆さんには、
「少しでもヤバイと感じたら、ヤバクなくなるまで稽古場に来るな !」、
とお願いしたいところだが、
皆がそんなことになったらエライコッチャ !!
 絶対に防げる風邪対策の術はないか ?
一歩たりとも外出しなけりゃ大丈夫なんだろうが、
新型インフルエンザが治まるまで家に閉じこもっとッたら、
おそらく年が明けてしまうだろう !?
 ヤバイ、ヤバイ・・・。

  台本印刷
Date: 2009-10-09 (金)
 台風一過、秋晴れ。
台風被害の状況が心配だな。
この不況にさらなる悪影響を与えなければよいが…。
 その深刻な不況にあえぐ日本経済の現状の中、
この五月まで、独歩の上演台本の印刷・製本を、
ずっとお願いしてきた印刷屋さんが廃業。
倒産したのか、儲けが出ないのでやめたのかようわからん。
しかしまことに格安、良心的な印刷屋さんであった。
こちらの要望に可能な限り応えてくれとったのでまことに残念。
 そこで今日は、新しくお付き合いする印刷屋さんを訪ねて、
来年八月の独歩公演、
「父と暮せば」(作・井上ひさし)の上演台本をお願いしてくる。
 原爆という悪魔のような核爆弾を、
世界で最初に落とされた広島市が舞台のこの作品。
井上ひさしの劇的内容の深さ凄さもさりながら、
とにかく台詞はすべて広島の方言。
ほいじゃけえ、役者はこの広島弁をでき得る限りきちんとせにゃ、
キチンとした舞台にはならんけえのー !
ばってん(こりゃ長崎か)、
独歩の上演台本は、方言テキスト用につくった ?
こまつ座のドラマCDをベースに、
(竹造役・すまけい  美津江役・斎藤とも子)
台詞として収録されとる方言を一言一句拾いだし、
それを活字にして上演台本とすることにきめた。
 ほいじゃけえ、この二週間、
オノレは暇を見つけちゃPC画面とニラメッコ、
一字たりとも打ち間違えんよう神経使うて、
キーボードとカクトウした思うてくれんさい。
で、昨夜ようやく打ち終わり、さすがにドット疲れたで。
もっともおかげでこの作品に対する理解が、
オノレのボンクラ脳なりに多少は深まったかもしれんのう。
 おいおいオノレ !
その前に、「海ゆかば水漬く屍」の公演があるんじゃけえの、
まずこっちをしっかりやらにゃいけんどーッ !
 ハイ、ソウデシタ !!

  共同演出
Date: 2009-10-06 (火)
 雨の一日になりそうだ。
台風の影響で、今週は天気が荒れそうだな。
 今日は声優の仕事はオフだが、
12月公演を共同演出する伊藤勝昭と夕方から打ち合わせ。
いよいよ来週から稽古に入るので、
二人の演出プランとスタンスに齟齬や混乱が生じぬよう、
入念に作品全体を検証し意思統一をはかる。
よく共同演出はムツカシイてな話も耳にしないではないが、
こと伊藤ちゃんと共同演出することに関して、
オノレにさしたる不安はない。
ま、彼との付き合いは四十年にもなるし、互いの弱点も癖も知り尽くし、
実際の稽古に入れば阿吽の呼吸で互いが互いをフォローできる仲だ。
 この五月公演「窓を開ければ港が見える」は、
伊藤ちゃんと初の共同演出であった。
だから事前の打ち合わせは、二人で可能な限り入念にした。
で、今回同様、役者として出ずっぱりのオノレを、
彼は実に巧みにフォロー、コントロールしてくれた。
その結果、とてもよい舞台成果を得られたとオノレは確信しとる。
 伊藤ちゃんはとにかく温厚で、粘り強い演出をする男。
一面、事と次第によっては己の意思を貫き、
安易に妥協しない芯の強さも併せ持つ。
オノレはなにしろセッカチで、粘りに欠けるヤツ。
てなわけで、やさしくしぶとい彼の存在はまことに助かるのだ。
 さて今宵も「海ゆかば水漬く屍」の打ち合わせが終わったら、
毎度のように、二人で口に泡飛ばし愉しい酒を飲むとすっぺえー!

  二つの闇
Date: 2009-10-04 (日)
    二つの闇    麦  人

二十五年も前に落魄(らくはく)の闇を彷徨し
熱海の路上で野垂れ死んだ男(ひと)を想う
新ちゃんが彷徨ったあの闇は
闇のほうから彼を覆ったわけではなく
自ら求めてその闇の中へ中へと歩いて逝った……。
新ちゃんは落魄の闇の奥底に
とらえどころのない幻の明かりをみていた

落魄の闇に入るまえ
新ちゃんは六十数年間
もうひとつの闇の中にいた
それはいわば明るい空の下
人々の暮らしの中に常にある
誰もが意識してみればみえる世間の闇……。
多くの人はこの闇の中に生きながら
ささやかに小さな明かりをみつけるのだが
その明かり探しにとうとうくたびれ
新ちゃんはついに仲間のものたちにまでそっぽを向いた
孤独に自暴自棄に
もちろんうちひしがれ……。

そして……。
落魄の闇の世界に踏み込んだ新ちゃんは
孤独でもなく自暴自棄でもなく
もちろんうちひしがれてもいない
ただ風に舞う木の葉のように歩いていた……。