オノレ日記帳

2009年11月の記録



  重い住宅ローンの頸木から・・・
Date: 2009-11-30 (月)
 オノレがこの七月末まで住んどった小平のマンション。
売りに出していたそのマンションに買い手が現われ、
今月二十七日、ようやく本契約を済ませ、
オノレとヤマノカミは重い住宅ローンの頸木から解放された。
 当初期待したこちらの売値価格を大幅に下げての成約。
ホンマ、我々夫婦にとってはまことに辛いところもある。
しかしデフレ傾向の強い不況の今、
「イタシカタナイ」と、オノレはナキナキ納得せざるを得んかった。
 とにもかくにも、このまま売らずに、
後二十五年も続くローンを支払い続けるのはオノレの身に余る。
 売り手の我々トシヨリ夫婦と買い手の若いご夫婦。
そして仲介の不動産屋と三つ巴(司法書士さんもおったな)、
買い手の方に融資する銀行の一室で二時間余、
次から次に出される書類にサイン・押印し、無事売買成立。
買い手の方から頂戴したはずの〇〇〇〇〇〇〇万円は、
まったくオノレが手にすることもなく(目にすることさえなく !)、
〇〇銀行から〇〇銀行のコンピューターへ送金され、
さらに〇〇銀行から住宅金融公庫へと送金。
オノレの住宅ローンの残額と粗方相殺されて全てオワッタ !!
 コノバイバイニヨリ モウケタノハ ドコノ ドナタダ !?

  初日はもう「そこ」・・・。
Date: 2009-11-29 (日)
 明日で11月も終り・・・。
「海ゆかば水漬く屍」、8日の初日はもう「そこ」である。
通し稽古をやれる回数も、あと12、3回ほどだろうか。
 さて、現時点で、
稽古場で築き上げたきた我々の創造的成果を自己評価すれば、
急遽代役から本役になった、若い野川雅史君のガンバリもあって、
本番の舞台をお客様に観ていただくに、
決して恥ずかしくない舞台になってきた・・・、
という手応えを感じている。
ま、これはあくまでオノレと身内の自己評価であり、
ひょっとすると楽屋受けの類かもしれん・・・。
努々油断せず、残された日々の稽古に最善を尽くし、
楽屋受けではない、お客さまからの、
「観てよかった」という、嬉しい感想を頂戴せにゃならん。
 オノレは今、オノレのもつ限りの創造的力を出しつくしたい !

  闘病のお二人へ !!
Date: 2009-11-28 (土)
 オノレが十代・二十代の頃から、
長い、なが〜い付き合いをしてきた友人二人が癌に襲われ、
この冬、厳しい闘病の日々を送っている。
その闘いの様子を奥さんや身内の方にお聞きし、
もともと病に対して極めて臆病なオノレは、
もうそれだけで、絶望的気分の彼らを想像してしまうのだが、
ご本人たちは、案外明るく気丈に癌と闘っているらしい。
 独歩の公演には欠かさず顔を見せてくれたお二人・・・。
彼らにこの十二月公演を観てもらえないのは本当に残念無念。
 お二人さん。
その強い意志と精神力で癌との闘いを克服し、
来年夏の〈独歩さよなら公演〉、
「父と暮せば」の劇場に必ず来てくれんさい。
あの元気な声と笑顔で、
演技に悪戦苦闘するオノレを叱咤激励してくれんさい !
お二人の回復を祈りつつ、オノレも来月の舞台をガンバリまッせ !!

  どうしてもお客様に伝えたい !
Date: 2009-11-26 (木)
 独歩のごときマイナーな存在のプロデュース公演は、
当然、商業演劇でもなく、座長芝居でもなく、
スターシステムでもない方法と姿勢で舞台を創らにゃならん。
金儲けのためにやるのではないし(大赤字になっても困るが)、
オノレが演出・主演し、エエ気持ちになるためにやるのでもない。
一にも二にも、この時代に、この作品で、
「どうしてもお客様に伝えたい」深い思いをもって作品を選び、
悪戦苦闘しつつ、その思いを、
具体的創造のかたちにする、真摯な志があるかないかにつきる。
 数々の苦境に遭遇し、いよいよ追い込みの稽古に入った、
「海ゆかば水漬く屍」。
オノレは今、あらためてそんな思いを自らに問いかけ、
来るべき本番が、オノレにも、お客様にも有意義な公演として、
その思い出に残るよう精いっぱいの努力をしたい !

  独歩は独歩の・・・
Date: 2009-11-23 (月)
 12月独歩プロデュース公演、
「海ゆかば水漬く屍」の初日まで残すところ半月・・・。
予定していた主役の出演辞退という大きなハンデを背負いつつ、
交代した若者・野川雅史君のガンバリで、
稽古はまことに面白い展開と様相を見せてきた。
 今回の事態を経験し、
やはり芝居てえのは「生きもの」だという、
ごく当たり前のことを、身に沁みて感じる。
同じ作品を上演しても、その演出や出演者によって、
生みだされる創造的世界は驚くほど異なるてえことだ。
「海ゆかば水漬く屍」という作品は、どこの団体が創っても、
ハンで押すごとく同じ舞台の顔になります・・・、
なんてことはあり得ん。
もしそうでなくてはいかんのなら、
独歩が別役作品を、「海ゆかば水漬く屍」を上演する意味もない。
 毎年のように、文学座とか、木山事務所とか、
その他いろいろな劇団やグループが上演する別役実の作品。
作品そのものが有する、ドラマとしての優れた力はもちろんある。
が、その創造される舞台は、創り手たちの考えや姿勢によって、
同じ作品であっても、まったく別作品のようにもなる。
だからこそオモロイ !
 例え独歩の創造が、
別役さんの意にそぐわぬところがあったとしても、
(別役さんに、そう指摘されたわけではございません)
独歩は独歩のコンセプトで、「海ゆかば水漬く屍」を上演したい。
 残された半月、本番に向けた稽古場で、
他劇団とはまた別の風景が見える「海ゆかば水漬く屍」を、
なにより無機質で淡泊ではない、
血も涙もある、人間的味わいのある舞台を、
怯まず、自信をもって創造したい !!

  声優の現状 !
Date: 2009-11-22 (日)
 我々声優の収入と生活の現状がどないになっているか・・・、
協同組合日本俳優連合、
外画動画部会が実施した緊急アンケートの報告が届いた。
 ま、予想はできたが、
そこには実に厳しくオソロシイ声優業界の現実が報告されとる。
まさに「冬の時代」。
 およそ六七割の声優さんが、今年は去年度より収入を減らし、
大幅に仕事を減少させとる。
この苦しい現状の根本には、我々に仕事をくれる大元の、
テレビ局・制作会社の経営不振があり、
それに伴う番組予算や制作コストの削減がある。
で、制作コストの削減は、当然キャスティング予算の削減につながり、
その低い予算で組まれたキャスティングは、
だんだん番組の質的レベルの低下を招き、視聴率の低下にもつながる。
 今や多くの外画・アニメの仕事で、キャリアも実績も味もある、
高めのランクの声優さんは敬遠されがちとなり、
所属事務所のマネージメント料と必要経費を差っ引かれれば、
残るは雀の涙というギャラの声優さん、
まだ声優ともいえないような新人さんを中心に、
キャスティングがなされているのが現実なのである。
(もちろんその厳しい制作予算と現場の中で、
良心的番組創りを必死にされている制作会社やスタッフも多い)
 どうも日本経済は「デフレスパイラル」になりそうな気配・・・。
我々声優業界も、年々厳しくなる制作コスト削減により、
「慢性番組劣化スパイラル」の自縄自縛に陥っているようだ !!

  一筋の光明 !
Date: 2009-11-21 (土)
 主役の片割れが出演を辞退し、
チト、否、ダイ混迷におちいった「海ゆかば水漬く屍」の稽古。
新たに二十代半ばの野川雅史君とオノレの老若コンビで、
いかにこのムツカシイ作品をオモシロクするか・・・。
共同演出の伊藤君と共にあれこれ悩み苦しんで、
演出として根本的にこれまでのコンセプトを見直し、
ようやく新たな方向性を見出した。
その新たな創造の意図と方向性を、
演出・出演者全員とよく話し合った後、昨日の稽古は始まった。
 さてさて、マワシを締め直し、
新たな意図と方向性ではじめた稽古により見えてきた舞台の姿には・・・、
オノレも目を丸くするほどオモロクなりそうな気配がある。
とにかく本役として稽古をはじめた野川君が大きく変わった。
二日前までの彼は、北川君の代役として、
自分であって自分でないような中途半端な立場。
よっていかにも窮屈そうに演じており、正直気の毒であった。
そこで新たに本役として彼が傷病兵2を演じる基本として、
オノレはこれまで北川君を想定してお願いしていた指示を全撤回。
「今日からは、北川君の代役として演じていた一切を忘れ、
君の年齢とキャラクターそのままに、
とにかく明るくやさしく、ひょうきんに喋りつつ演じよう」と、
新たな演出としての考えを伝えた。
すると彼は、北川君の代役としてガンジガラメになっていた、
これまでの呪縛から解放されたように、
打って変わり、驚くほど生き生きと演じはじめたではないか !
その彼の豹変した演技により、一つのあり得る具体的関係として、
この老若傷病兵コンビが劇的に成立することを、
オノレはツヨク、強く確信したのである。
 また昨日の稽古は、
森うたう・鈴木琢磨のお二人も、そしてオノレも、
北川降板の事態を受け、
これまでの演技プランを一度白紙に戻した。
で、新たな役の切り口を探り、
大胆にこれまでの演技を変えてみようという「稽古初日」でもあった。
そんなトシヨリ三人の意識変革と、若き野川君の大健闘もあり、
「海ゆかば水漬く屍」の創造的方向は、
北川君出演辞退の障壁をこえ、
今、当初予測していた舞台と大きく異なる様相で、
まことにオモロイ舞台姿をみせはじめた・・・と、オノレは、
「ワラニモ スガル シンキョウ」で、カクシンしている。
 でもタシカニ、一筋の光明がみえたと思う !!

  発想の転換 !
Date: 2009-11-20 (金)
 昨日の日記にも書いたように、
「海ゆかば水漬く屍」の主役の一人・北川勝博君が降板し、
代役だった野川雅史君が急遽本役として本番に臨むこととなった。
 昨日はその本役として野川君が演じる稽古初日。
とにかくこれまではオノレと五十代の北川君とのコンビを想定し、
役と役の関係やら展開を考えつつ稽古してきた。
しかしオノレと野川君とは四十ほども歳の差があるのである。
同年代にも見える北川君とコンビを組んだ場合と異なり、
ガラリ、トンデモナイ老若コンビに一変してしまう。
そこで新たにどういう二人の関係を構築・創造すればよいか、
オノレは根本から発想の転換をせにゃならんハメとなった。
が、この発想を転換しての再構築は、
この足りないオツムで考えるに、なかなか生やさしいものではない。
正直、昨日の稽古は、まだ演出も役者も、
その新たなカタチを見出すのに暗中模索といった状態で、
稽古場は大混乱というか、ダイコンメイのまま終わった・・・。
 疲れきって帰宅後、
「ああ、どないするべえ・・・」と、
泣きたいような気持でアレコレ無い知恵をしぼって考えたとったら、
またまた深夜まで寝つけずクルシンでシマッタ !
 さて、眠れずモダエ・クルシミヌイタおかげで、
傷病兵1と2の老若コンビの関係をどう構築するか、
ようやくオノレなりの結論を見つけることができた !!
 今日からの稽古では、ハッキリとしたコンセプトで、
稽古場が大混迷せぬよう、野川君と二人三脚よろしく、
ムツカシクもオモロイ、新たなコンビ創りに挑戦するぞ !!!

  主役の降板 !
Date: 2009-11-18 (水)
 エライことになった。アタマノイタイ事態となった。
「海ゆかば水漬く屍」の主役の一人である北川勝博君が、
ここにきて、結局一度も稽古に参加せぬまま降板することになった。
彼のご母堂が重篤の骨粗しょう症で動けぬ状態にあり、
その介護のできる立場の人間が、どうにも彼しかいないというのだ。
それならそれでもっと早く結論を出してほしかった・・・と、
コチラの立場では苦々しく思うところもあるのだが、
いまさらアアダ、コウダと文句を言ったり嘆いても前には進まん。
 で、ここまで北川君の代役をして頑張ってきた野川雅史君に、
急遽本役として傷病兵2役をやっていただく。
幸い彼は、台詞をほぼ入れてるし、
とにかく稽古初日から昨日まで、ずっと彼が稽古をしているのだ。
役の動きはもちろん、解釈についても、七八割は理解しとる。
 早速北川君と野川君を差し替えたチラシを発注したが、
出演者・スタッフのおおよそは、
すでに北川君のチラシでダイレクトメールしており、
他の団体の公演にも折り込みさせてもらっている。
もし公演中、北川勝博が出演すると思って観にきたお客様には、
ただただ申し訳なく思う次第。
せめてこの場を借りてお詫びさせていただく !
 野川君、明日からの稽古は厳しくシビアなものになるが、
オソレズ・タジロガズ、この苦境をのりこえ、
よい初日を迎えるため共に力を合わせてガンバロウ !!

  今しがたありしゆとりは・・・
Date: 2009-11-17 (火)
今しがたありし冬日の其処に無し  (粟津松彩子)

 そんな十二月が刻々と近づいてくる。
オノレの場合は、今しがたありしゆとりは其処に無し・・・、
てえような今日この頃。
「海ゆかば水漬く屍」の初日まで三週間である !

  だんだん不眠症・・・
Date: 2009-11-16 (月)
 芝居をするたびそうなんだが、
独歩12月公演の本番が近付くにつれ、
だんだん不眠症の夜が増えてくる。
たぶんその源は、連日稽古をしつつも、
オノレの創造していることに対する不安であり、
よりよい表現を求めて暗中模索するアガキだろうと思う。
 ま、オノレの自覚するオノレ自身は、
本質的に楽天的性格なのである。
で、常々そのデリカシーのなさをヤマノカミに叱られとる。
しかしそんなオノレでも、
人さまに安くないチケットをご購入いただき、
オノレの芝居を観てもらうという現実には、
やはり大変なプレッシャーを感じてしまうのである。
もっとも、かようなプレッシャーの微塵もないような、
超楽天的、無神経な人間によって創られる舞台から、
お客さまの記憶に残る舞台を生むのはムツカシイと、
オノレは思ったりもするのだが・・・、どうだろう ?!

  稽古は順調 ?
Date: 2009-11-11 (水)
 独歩十二月公演、
「海ゆかば水漬く屍」初日まで一カ月を切った。
その稽古はきわめて順調に進行している・・・と、
胸を張って皆さんに報告したいところなんだが、
出演者の一人、北川勝博君が、
やむにやまれぬ家庭の事情で未だ稽古に参加できない。
つまり我々はこの一ト月、
主演者の一人が欠ける、チト厳しい状況の中で稽古を続けとる。
それでも代役をまかされた野川君という若者が、
台詞をほぼ頭に入れ、本役のごとき気持ちで獅子奮迅のカツヤク。
プロデューサーとして、演出として、
オノレはただただこの若者に感謝するのみ。
 北川君が稽古に参加する日まで、今しばらく時間がかかる。
しかし彼は経験も実績もある役者。
もちろん台詞もしっかり入れとるだろうし、
我々の稽古をビデオに収録し彼に送っているので、
その映像を見ながら一人稽古をしているはずだ。
近々稽古に参加したその日から、
しっかりガンバッテくれればまだ大丈夫・・・。
と、オノレはオノレに言い聞かせ、彼の参加を心待ちにしとる。
 野川君、それまでもう一踏ん張り・・・。
ヨロシクオネガイイタシマス !!

  民主党の方針転換 ?
Date: 2009-11-06 (金)
 鳩山内閣が発足してそろそろ二カ月。
与野党の国会論議もはじまり、政治は活発に動き出した ?
発足間もない政権に、あれこれ国民のタメになる施策を、
性急にすべて実現してくれとは思わん。
が、ここにきてオヤオヤと思うような、
民主党政権の「方針転換」がチト気になる。
 例えば昨日、平野官房長官は「内閣官房機密費」の使途について、
国民に対し、公にしないことにしたという。
野党の頃、民主党はこの金の使い道について透明化せよと、
厳しく自公政権に迫ったはずではなかったのか ?
政治や霞ヶ関の情報公開・透明化は、
国民が民主党に期待している実に重要な根幹であり、
この点を曖昧にしてしまう新政権なら「糞ッ喰らえッ !」である。
 ホヤホヤ政権が、地に足のついた政策実現をするには時間もかかろう。
だが、臭いものに蓋をするかのように、
その政党の「性質」(タチ)にかかわる姿勢においてブレてはアカン !
 芝居においても、企画・プロデュース・演出する、
公演推進中心メンバーの方針がブレて充実した舞台は望めん。
「なぜこの作品を上演するのか」
(なぜこの政策が必要なのか)
「その意図を具現化するために、いかに創造するのか」
(その政策をいかなる手立てで実現させるのか)
「上演意図の根幹ではブレずに、
創造過程で起こるさまざまな誤謬をいかに正しつつ克服するか」
 民主党さんよ・・・。
国民に約束したマニフェストの修正はいくつかあったとしても、
選挙前、あんたらの掲げた政治理念を疑わせるような、
政党としての根幹を危うくしかねん態度はとらんでくれよ !!

  森うたうのリーディングコンサートへ
Date: 2009-11-04 (水)
 今夜は〈武蔵野スイングホール〉という会場で、
リーディングコンサート「中国琵琶とものがたりの断章」という、
チト珍しいタイトルの催しに足を運ぶ。
 去年十二月の独歩公演「ブラインドの視界」で、
主役の秘書の秘められた内面を、シリアスに激しく演じ、
今年五月の「窓を開ければ港が見える」では、
少しばかりノー天気でオッチョコチョイな女2を、
これまた味付け見事に面白く形象した女優・森うたう。
今夜のリーディングコンサートには、その彼女が出演する。
 彼女は公私ともに中国との関りが深く、
たぶんそのあたりから今日の企画も生まれたのであろうが、
中国の詩や物語を中国琵琶の音色にのせて、
いろいろ語ってくれるという。
ゆったり愉しく、心地よい一時を過ごすことになるだろう !
 森うたうには、今年の独歩十二月公演「海ゆかば水漬く屍」にも、
またまた重要な役どころで出演していただく。
これで三連続・独歩公演への参加であるが、
つまりそれほど彼女にたいするオノレの信頼は厚く、
余人をもって代え難い、稀有な女優であり、人格なのである !

  冷水摩擦 !!
Date: 2009-11-03 (火)
 「大腸憩室」の下血騒動後、
オノレは毎朝起床直後、冷水摩擦をはじめた。
たまたま見たテレビのインダビュー番組で、俳人の金子兜太さんが、
自分の健康法として語っていたのに感化されたのである。
 金子さんは来年九十歳になるようだが、
テレビ画面で見る限り、顔色はツヤツヤ、あまり皺もなく、
オノレより若く見えるほどに元気である。
 さて、冷水摩擦を始めてまだ間もないが、
何をやっても三日坊主のオノレも、
これは挫折をせずに何とか続けられそうな気がする・・・。
 これから寒い朝となり、
起きてすぐ裸となるには、けっこう覚悟も勇気もいる。
しかしとにかくやってしまえば、気持ちよいことこのうえない。
目覚めた直後のモウロウ状態のオツムは、たちまちシャッキ〜ン !
摩擦しているうちに体中ホカホカ熱くなり、食欲まで出てくる。
ま、これを続けたからといって、
オノレが金子さんのように九十歳ちかくまで、
元気にボケず生きられるとはとても思えん。
しかしこの寿命が、チットは延びるような気がするわい !!

  オノレにとっての別役劇
Date: 2009-11-02 (月)
 オノレがのめりこんでいる別役実というと、
日本の代表的不条理劇作家としての評価が定着しとる。
では、「不条理演劇」とは何か? てえことになると、
オノレのごときボンクラオツムでは、
およそ理解するに難しく、甚だ深遠かつ近寄りがたい。
しかしそのオノレが、この理解し難い別役作品ばかりにこだわり、
この12月公演「海ゆかば水漬く屍」で、全八作品を上演することになる。
つまりオノレは、別役実の創造した作品を、
決して演劇論的評価によるムツカシイ「不条理劇」としてとらえ、
舞台化しているわけではないのである。
 しからば、なぜオノレは別役作品にこれほどこだわり、
強烈な別役ファンのお叱りも頂だいしながら上演し続けたのであろうか ?
その確たる答えを、実はオノレはもっとらん。
が、確たる答えではなく、
便秘のクソを無理やり捻り出すような感じで答えを出せば、
別役作品の劇的展開と空気が、
オノレにとっては、さほどムツカシク感じないてえか、
(演出し、演技するには、まことに難しいのでありますが !)
理屈抜きに笑えて泣けて、
ことさら興味深い「オモシロイ」世界に感じるてえことだな。
なぜなんだろう?
〈優れた劇作家が、練りに練って面白く書いとるのだからオモシロイわい〉、
てえ答えでは、いくらオノレの出す答えとはいえ、
余りに知恵のない、ナサケナイ答えのような気がする。
そこでまたまたボンクラオツムを腸捻転にし、
別の答えをムリヤリ考えてみることにチョウセンしてみた。
 思うに、オノレが別役作品に強く感じるのは、
その舞台に登場する人物たちが展開し形象する世界が、
およそ日常的平易な会話に終始しつつ、決して「直喩」に流れず、
どちらかといえば「隠喩」に満ちとる世界だってえことかな ?
交わされる会話の裏の、
胸に〈一物も二物もある〉ドラマといってもよいか・・・。
この絶妙、重層的作劇術の企みに、
ついついハマリ、のめりこんでしまうドラマ。
オノレにとっては、これぞ別役作品の「オモシロサ」の心髄だと思える。
 ああ・・・、ずいぶん足りないオツムの知恵をめぐらせ、
ムリムリ、ムツカシイことを考えちまった。
「モウ、ツカレキッタワイ !!」

  表層から深層へ !
Date: 2009-11-01 (日)
 「コンクリートから人へ・・・」、
これが鳩山新政権の予算の基本的理念のようだが、
実際政権を担い、この理念を具現化する道は容易ではなさそうだ。
しかしいかなる旧体制の抵抗があろうとも、
あくまで国民目線を失わずにガンバッテくれんさい、鳩山総理 !
 さて、毎年オノレは、決して楽ではない懐具合の中で、
ずいぶん多くの舞台を観させていたただいてるんだが、
どうも人の心の深層に渦巻く世界を濃密に描くに乏しい舞台が、
全体として少ないような気がするんだよな・・・。
(もちろんそういう舞台もありました !)
 照明・音響・美術・衣装・道具立てやらは実に立派で、
役者の派手なパフォーマンスや、客受けする劇作術や演出にも長けとる・・・、
てえような舞台にはチョコチョコお目にかかるんだが、
人の心の葛藤を、ジワジワ、深く、客に問いかけてくるような芝居が少ない。
全体的に表層的にすぎるような芝居が多いと、オノレには思えるんだな・・・。
かような舞台は、例え客席で退屈はせんでも、
およそ一過性の面白さだけで、劇場とオサラバするとすぐ忘れてしまう。
 独歩12月公演「海ゆかば水漬く屍」の舞台は、
果たしてどれだけ深い人の心の葛藤を客席に届けることができるか・・・。
このまことに厳しく重い創造の課題を担って稽古中だが、
オノレはオノレのボンクラオツムの中で、毎日オノレに問いかけとる。
「表層ではなく深層を・・・」「表層から深層へ !」