オノレ日記帳

2010年3月の記録



  満開は ?
Date: 2010-03-31 (水)
 はや弥生三月も過ぎる。
このところの冷え込みで、開こうとしていた桜は首をすくめ、
武蔵野あたりの満開は今週の土日あたり ?
その日曜日に、毎年恒例でオノレが参加する花見がある。
去年は葉桜での宴であったが、
今年は花と酒の哀れ、愉しさ、美しさに酔いしれられるか・・・?
晴れとくれ !

  プロデュースするということ・・・
Date: 2010-03-30 (火)
 人生は愉しく明るい日々ばかりではない。
否、どちらかといえば辛い日々の方が多いのかもしれん。
芝居を創造していくということも、まさに人生とおなじで、
創造過程はイバラの道であり、
創造する悦びの何倍もの「生みの苦しみ」がある。
 お客様に貴重な時間と、
決して安くないお金をお支払いいただき、観劇してもらう。
評価の成否はさておき、舞台をプロデュースする立場の者は、
その舞台の全結果責任を負うべきである。
企画の立ち上がりから本番千秋楽までの道のりで生じる、
さまざまな困難や障壁すべてを受け止めにゃならん。
ときによっては苦渋の決断を迫られ、
結果、創造に関わった人の心を傷つけてしまう事態もままある。
その人に負わせた心の傷の責は、
プロデューサー自らの責であると深く自戒すべきである。
 多くの人を集め、創造的仕事を成そうとするプロデューサーには、
それだけの、自らがおそろしくなるほどの覚悟がいる !

  「ありがとうありました !! 」
Date: 2010-03-29 (月)
 26日〜今日まで三泊四日、尾道・広島へ行ってきた。
この八月の独歩さよなら公演でとりあげる、
被爆した父と娘を描いた井上ひさしの名作、
「父と暮せば」の公開本読み稽古を、
地元の方々に聴いてもらい、
いろいろご意見を頂戴したいという試みであった。
 結果として、ほんまにやってよかった。
オノレにとって実に貴重な多くのものを、
集ってくれた方々からいただくことができた。
 このオノレの試みを実現するためご足労をかけた、
尾道の大崎義男さん、広島の川村暢敬さん、
本当に本当にありがとうありました !!
そして貴重な時間を割いて参加してくださった皆様、
この場をかりて、心から感謝と御礼を申し上げます。
 「おまけ」といっては失礼になってしまうが、
28日は川村さんの友人のお宅の庭で、
青年団の方々の花見があって、オノレも参加させて頂いた。
(桜はおよそ咲いてない花見であった)
そこに十歳前後のキラキラ瞳の輝いとる娘さんが二人いて、
その瞳の光を見たら、どうしてもこの子たちに、
「父と暮せば」のお話を聞かせたくなってしまった。
で、酔った勢いもあって、お調子に乗ってヤッテシマッタ !
 せっかくの花見の宴に水を差してしまったかもしれんが、
娘さん二人は最後まで、オノレの目の前で、
恐ろしいほどの集中力で聞いてくれ、必死に嗚咽をこらえとった。
 人間味あふれて心優しき青年団の皆さん。
水晶のように澄んだ瞳のお子たち・・・。
言葉に尽くせぬ感謝の気持ちを伝えたいのでありますが、
とにかく「ありがとうありました !! 」

 帰宅してパソコンを開いたら、
尾道で、オノレの「一人本読み」を聴いてくださった、
市立・尾道大学のお嬢さんが、早速、感想のメールをくださっとった。
オノレにとって、ほんまに嬉しく励みになる内容なので、
一部抜粋して掲載させていただく。

 朗読会お疲れ様でした!
朗読会を見に行くということ自体初めての経験で、
あんなに間近でお芝居を見させていただいたことも、
もちろん初めてでした。
「朗読会」という言葉から想像していた以上に、
迫力のあるお芝居に圧倒されっぱなしでした。
実は「父と暮らせば」というお話の内容も今まで知らなくて、
こういった形で内容に触れられたことがとても嬉しく思います。
 一寸法師の話に原爆のことを取り入れた話を、
「父」が嬉々として語りだす場面が、
「父」が楽しそうに話せば話すほどに、
とても恐ろしく、悲しく、威圧的に響いてきました。
我に返ったときとの声の落差が、
もうやりきれなさでいっぱいでした。
 麦人さんが演じていらした「父」は何というか、
いい意味で勝手で、世話を焼くだけにとどまらない、
娘のためなんだか父親のわがままなんだか、
娘からすると手に負えないというか。
私の父もこういう所あるなぁ、と思ったんです。
正しいこと言ってるんだけど、
ちょっと押しつけがましい、というような。( 笑 )
麦人さんの「父」と自分の父が重なると、
もう泣きそうでしょうがなくって、
なんて説得力のある父親像なんだ、と思いました。
「父」は「美津江」の生への欲望の具現化なんだ、
ととらえると奔放なのは当たり前なんですよね。
前向きに生きていくことへの執着が「父」そのものだから、
エネルギーにあふれている。
そう演じていらっしゃるんだなぁということが感じられました。
 あとはもうその後ご一緒させていただいた時の話なんですけど、
声をかけてくださって本当にありがとうございました!
少しでもお話できたらな・・・、
なんて朗読会が始まる前に期待していたことが実現するなんて!
私はアニメで麦人さんを知ったので、
アニメの話ももう少し聞いてみたかったです。
『さよなら絶望先生』の「芽留パパ」がすごく好きなんです!
「俗・絶望先生」の13話は、
もう声で絶望先生を殴ってるみたいでステキでした!
「懺・絶望先生」の絵かきうたも最高です!
昨日盛り上がった「スター・トレック」は、
一緒にいた大学の先生が授業で取り上げて、
DVDを見たことがあるだけだったので、
これから少しずつ見てみたいと思います。
 「父と暮らせば」の話から派生して、
戦争のことなど色々お話させていただけたこともとても嬉しかったです。
「父と暮らせば」を通して感じたこと興味を持ったことを、
関心を失わずに考えていけたらと思います。
尾道にいらしてくださって本当にありがとうございました!

                         大西 華織



  閉塞したタメイキ・・・
Date: 2010-03-25 (木)
 民主党政権への国民の期待は日々醒めつつある。
普天間基地問題にしっかりした決着をつけんと、
鳩山政権への支持率はさらに落ちるだろう。
民主党もだめ。自民・公明はもっとだめ。
国民新党・社民党にも大きな期待はできん。
みんなの党なんてえのは、しょせん自民党の別働隊。
残る選択肢は共産党だけ・・・ ?
が、この政党の賞味期限も、とうに終わったような気がする。
 ウギュッ・・・ !
閉塞したタメイキが口から洩れず、尻から出た !!

  改めて・・・
Date: 2010-03-24 (水)
 これから「オノレ日記帳」の書き方を改める。
しばらく続けた広島弁 ? での記載も終わりじゃ。
で、基本的には余りダラダラと長い内容にせず、
百文字くらいの中で、できるだけ簡潔におさめたい。
と、前置きをしたうえで、ここから先が本日の日記。
( すでに百文字をこえてしまった ! )

 15時から共演女優さんと、「父と暮せば」の本読み。
予定になかったが、本人から打診がありもちろんOK。
この二十七日、広島で地元の方々の前で公開本読みをする。
それに備えてのことだと思うが、その意気や大いによし !
オノレもガンバル。

  桃色椿
Date: 2010-03-21 (日)
 うちの庭の植木鉢に、
丈1メートルほどの桃色椿がある。
椿の種類はぎょうさんあるけえ、
なんちゅう品種かようわからん。
ひと月ほど前に蕾をつけ、
日ごと大きくなり、
もう二三日すれば開花するじゃろ。
 咲いた椿も悪くはなあーが、
蕾のときの姿にも、また風情がある。
薄桃色に染まった蕾は、
まるで思春期の娘の、
恥じろうた顔のようにも見えるで。
 去年は三つだったこの蕾じゃが、
今年は十にも増えよった。
大きさも色付きもみなまちまちじゃが、
蕾一つ一つが互いに気を配りおうて、
まるで仲のええ姉妹のようにしとる。
 ここしばらく桃色椿は小庭の主役じゃ。

  死んで不倖か ?
Date: 2010-03-20 (土)
 バッハ・マルクス・ディズニー。
市川団十郎(九代目)・原 敬・菊田一夫。
オノレの座右の愛書、山田風太郎の「人間臨終図鑑」によれば、
これら著名人は、皆今のオノレの年齢、六十五歳で亡うなっとる。
 さて、もう半年も過ぎれば、こうようなどえりゃー連中より、
オノレはチッとは長生きすることになる。
で、この頃ときどきヤマノカミにツブヤクんじゃ。
「いつオノレがおッ死んでも、
たぶんそれはあんまり不幸なことではなぁー」と。
 風太郎は「人間臨終図鑑」の六十七歳で死んだ人々の項の頭で、
モンテニューの言葉を引用しとる。
「死んで不倖せになった人を、ひとりでも見たことがあるかね ?」

  信心過ぎて・・・
Date: 2010-03-19 (金)
 ほんまに厳しくツライ世の中じゃ。 
オノレの昔の友人が自己破産しよったと、人伝に知った。
 彼はずいぶん昔から某宗教の熱心な信者で、
ほんまオソロシクなるほどの確信と熱意で、
信仰する宗教の素晴らしさを語りよった。
無宗教のオノレの意見など、
こと信仰に関してはいっさい耳をかさんけえ、
彼との飲み席で、宗教の話はタブーじゃった。
その彼が自己破産・・・。
信心の御利益なんちゅうもんはなかったんじゃろか ?
 ま、信教の自由はなきゃいけんだろうし、
オノレのごとき無宗教の立場で、余りエラそうなこともいえん。
ほいじゃがのう、どげえ深く信じても、つまづくときは躓くし、
破産もしよるんが人生とちがうんかい ?
「信心過ぎて極楽を通り越す」ちゅう諺もあるけえの。
度の過ぎた、盲目的信仰には気いつけないけん思うじゃが・・・?。
「仏ほっとけ、神かまうな !」
 ホンマ、罰アタリデ ゴメンナサイ。

  尾道と広島で・・・
Date: 2010-03-16 (火)
 今月末、三泊四日して尾道と広島へ行ってくる。
もちろん八月の独歩さよなら公演、
「父と暮せば」に関わることでじゃ。
 尾道は、この舞台の音楽を担当するオノレの友人、
作曲家・鍵盤楽器奏者の武久源造ちゃんと弥次喜多。
小さなライブハウスで、
尾道在住の彼の友人が集めてくれよった人の前で、
オノレが「父と暮せば」を一人語りで朗読。
その語りに合わせ、源ちゃんが即興のピアノを弾くちゅう、
まことに刺激的な公開本読みになりそうじゃけえ、
あまり恥ずかしい結果にならんよう、しっかり準備せにゃいけん。
 広島は、オノレの友人・川村暢敬ちゃんの自宅にお邪魔し、
やはり彼の友人・知人を集めていただき、
主人公・美津江役の女優も来よるけえ、
二人でドキドキ・ハラハラの公開本読みをさせていただく。
 オノレはこの二度の公開本読みで、
八月の本番に向けての大きな手応えをつかみたい。
とにかく原爆被災の地・広島の地元の方々を前に、
被爆した父と娘のドラマを、広島弁で読むんじゃけえのう、
なかなかこげえ機会はもてんし、ドエライコッチャ !!

  人恋し・・・
Date: 2010-03-08 (月)
 ときどき、とりたて用もないのに、
しばらく会っとらん友人の声を無性に聞きとうなるんじゃ。
ほいでとにかく電話する。
とりたて用もないけえ、話すことはたわいなァー。
「お元気かいな ?」
「忙しいんとちがうんか ?」
「たまには会うて飲まんかいね ?」
「ほいなら、また電話するけえの !」
 と、まあこげえたわいなさじゃ。
ほいでもとにかく元気そうな友の声を聞き、
オノレの心はなぜかホッとし温うなる。
 ようするにオノレは人恋しがりやの、
幾つになっても孤独に弱いアマッタレちゅうことじゃろか・・・ !?

  うたうちゃんとデート ?
Date: 2010-03-05 (金)
 昨夜は、某グループの舞台を観劇。
オノレと長ェーお付き合いのある先輩役者が出演しとったけえな。
そうじゃ、女優の森うたうちゃんと隣の席で並んで観たんじゃ。
で、観よった舞台の感想はさておき、(つまり感想シタクナイノダ)
終演後、うたうちゃんと小雨降る中、吉祥寺へ出て、
オノレの懇意な飲み屋で二時間ほど過ごした。
おかげで観た舞台よりまこと愉しい一時を頂戴したわい。
 会話の中心は、彼女が先日一人語りしたナンシー・ウッドの詩、
『今日は死ぬのにもってこいの日』のことについてじゃった。
 この詩の語りでうたうちゃんは、
タオス・プエプロ・インディアンの古老が語る、
自然や命の根本を問う普遍的テーマの世界を、
実に深い語りで表現しよった。
ほいでこの語りに刺激され、オノレもいずれこの詩を語ってみたい・・・、
そうように思うとったから、その気持ちを彼女に話したんじゃ。
 もしうたうちゃんとオノレと二人舞台で、
インディアンの爺さん、婆さんが語る世界にしたら、
その空間はどうようになり、どげな空気になるんじゃろ ?
チト想像しただけで創造意欲が掻きたてられ、
オノレの気持ちがワクワクしてきよる !
 ま、こげえ話を中心に、アッというまの二時間じゃった。
飲む前に観よった芝居は一時間二十五分じゃったが、
どえりゃー長ァ〜く感じたのう・・・。 

  不眠症
Date: 2010-03-03 (水)
 しばらく不眠症の辛い夜が続いとる。
シカタナイケェー、酒を飲む。
のんでものんでも・・・よう酔わん。
外でのめば、アッという間のヨッパライじゃが、
オノレが家でのむ酒はベツバラにでも入るんかい ?
実(げ)にオソロシキ不眠症。
いつまで続く不眠症 !?

  死んだら死んだで生きてゆくのだ
Date: 2010-03-02 (火)
 久しぶりに、ただ何となく、
草野心平詩集をパラパラめくる。
心平さんが亡くなったのは1988年。
もう22年も前になるんかいの・・・。
1903年生まれだから、生きとれば百七歳。
オノレが「ごびらっふの死」という小説を、
独演ちゅうかたちでやりとうて、
福島県・小川村まで心平さんを訪ねたんは、
たしか亡くなる二年ほど前じゃった。
「ぼくの詩は小学生が読むといちばんいいんだ」と、
俗物のオノレを見抜いたようにそう語り、
ほんまにドキッとさせられたおぼえがあるで。

「死んだら死んだで生きてゆくのだ」

 自作詩の中でこげえに歌っとる心平さんじゃけえ、
さぞかし天然の世界の中の何かになって、
今も生き生き、お祭り騒ぎをしとるにちがいなァー !

  25と57
Date: 2010-03-01 (月)
 25と57・・・。
競馬の馬券ではなアー。
今日現在、メダルを獲得しとる国と獲得しとらん国の数じゃ。
 狂騒するメディアの五輪放送や報道を目にして、
ふとオノレは思うたわい。
ハナからメダルをとれそうもない国々や選手が、
いっさい参加せんかったら、
メダルの価値なんちゅうんは、なんぼのモノなんじゃろと・・・ ?
 バンクーバー五輪には、82の国が参加しとるちゅう。
そのうちの57の国がメダルなしじゃけえ、もしこれらの国々が、
「国威発揚にもならんし、派遣のゼニもかかるし、
参加するのはやめじゃ、ヤメジャッ !」いうて参加せず、
わずか25ケ国だけの五輪になっとったとしたらどうじゃ。
メダルを獲得した国々の歓びは、
かなり盛上らんヨロコビになってしまうんとちがうんかい ?
 メディアは、メダルをとれん国々や、
入賞すらできぬ選手たちに、より深い目を向けて、
知られざる国の姿や、敗者のドラマを伝えにゃいけんで !