オノレ日記帳

2010年5月の記録



  皐月
Date: 2010-05-31 (月)
 五月(さつき)も今日が最後。
小庭の鉢植えでは紅紫の皐月がこれから満開になりそう。
水無月(みなづき)に我が目に誇ろふ皐月。
なんだか心潤う気分になるが、
花言葉は節約・節制でござりゃんした。

  トラッシュマスターズ公演 「奇行遊戯」
Date: 2010-05-30 (日)
 下北沢・駅前劇場で、トラッシュマスターズ公演、
「奇行遊戯」(作・中津留章仁)を観劇。
 インパクトのある舞台でなかなか衝撃的であった。
ここ数年、毎年このグループと劇作家の芝居を観ており、
初めて見たとき、強烈にパワーのある舞台と展開に驚いたが、
今回はそれに勝るくらい面白い展開と衝撃でまた驚いた。
トシヨリ役者はまったく出とらんのがチト淋しいが、
出演者は皆個性的であり、
よいアンザンブルで、生き生きとその力を発揮しとる。
 中津留章仁・・・、今後も目のはなせん劇作家だ !

  伽羅の地方公演
Date: 2010-05-26 (水)
 今、オノレがもっとも表現者として信頼し、
本音でお付き合いさせてもらっとる女優・森うたうちゃん。
彼女は〈 伽 羅 〉という語り・朗読の会の主要メンバー。
この会は、オノレが日頃親しくお付き合いしている、
岡部政明・をはり万造の両氏とうたうちゃん、
この力あるベテラン役者三人で主宰しておる。
さよう、このお三方は独歩の舞台に度々出演し、
まこと大きな貢献をしてくれ、何かとオノレに力をかしてくれた。
 その伽羅が再来月の7月に地方公演をするという。
青森県黒石市で開催されるイベント、
天空村「手しごとアート展」に招かれて朗読するんじゃ。 
「伽羅」創立以来、はじめての地方公演ちゅうんで、
トシヨリ三人は、子供のように張りきってハシャイどる。
 上演場所は、2日、4日、5日が、
「音蔵こみせん」というライブハウス。
3日が「伝承工芸館ホール」で、全4日間・8ステージ。
 オノレのこのHPを覗いて下さり、
黒石市に近いお住まいの方がいらしたら、
ぜッぴ足を運んでみてくれんさいや。
たぶん足を運び甲斐のある、よい時間を過ごせる・・・と、
伽羅の会をずっと観てきたオノレは思うとる。
 その頃オノレは「父と暮せば」の稽古、真ッただ中。
残念ながら行ける隙間がにゃあ・・・。
お三方、黒石の皆さんの心に残るステージを観せてあげてくれんさい !

  HPトップの公演案内
Date: 2010-05-25 (火)
 先週からオノレのHPトップの公演案内が、
昨年の「海ゆかば水漬く屍」から、「父と暮せば」に変わった。
トップページ公演案内の、
〈詳細はこちらです〉をクリックして頂ければ、
八月の独歩プロデュース・さよなら公演のチラシと、
オノレの公演御挨拶のようなものが掲載されとるページが開く。
 独歩のチラシは、一昨年の公演から津川絵里さんちゅう、
なかなかセンスとアィディア豊かな女性にお願いしとる。
まだ若い彼女の本職は出版社の編集関係だが、
写真の腕は相当なもので、趣味をこえてプロ並みである。
去年、彼女の写真が多数展示されている会場へ足を運んだが、
その独特な目線で捉える被写体の世界と映像の構築力は、
オノレの予想を超えて素晴らしくびっくりした。
 「父と暮せば」今回のチラシも、
鮮やかな朱をベースにした稲光の宙(そら)の構成に、
オノレはシンプルでありながら、
ドラマチックな強いインパクトを感じて大満足。
しかも彼女は限られた予算の中で、
チケットやパンフレットの作製もしてくれとる。
正直、彼女のような影の協力者なくして独歩の公演は成り立たん。
ただただ感謝の他ないわい !

  あべこべの結論 !
Date: 2010-05-24 (月)
 鳩山総理、二度目の沖縄訪問。
で、結局は米軍普天間基地の移転は辺野古に・・・。
つまり自民党政権時代に米国と合意した内容で、
今回のドタバタを結着させるちゅうことじゃ。
「普天間米軍基地は国外、最低でも沖縄県外」と、
鳩山総理は大言壮語、
そのええかげんな発言に日本中右往左往させられ、
もっともコケにされた沖縄県民の凄まじい怒りはもっともじゃ。
ここまできたら社民党は権力の座に執着せず、
さっさと連立から離脱せにゃ、政党理念の根幹を問われるで・・・!
 八月に独歩が上演する舞台、『父と暮せば』の中で、
恋に悩む娘を思いやり父が言う台詞がある。
「話が一昨々日(さきおとつい)と明々後日(しあさって)と、
あべこべの方角を向きよって、
ついでにでんぐり返りやらさかとんぼやら打っとるけえ、
なにがなにやらようわからん。」
 この娘が「あべこべ」の方角の狭間で悩むのは、
被爆して生き残った人間として直面する、まッこと切ない悩みじゃ。
ひきかえ鳩山さんの「あべこべ」は、
日本国民を、中でも沖縄県民を愚弄し裏切る、
為政者として無責任きわまりない、
米国の顔色を窺って出したあべこべの結論じゃ !
 民主党への政権交代で、
新しい日本の在り方を期待した国民の想いは、
今年に入って次から次に裏切られ冷めつつある。
つづまり日本の政党は、
どこの党が権力を握っても同じ穴のムジナちゅうことか・・・!?
 ホンマにやりきれんのう !!

  どえりゃー週末 !
Date: 2010-05-23 (日)
 昨夜遅くに発熱、今朝体温を測ったら八度。
今日は広島から上京した友人の川村ちゃんと会って、
一緒に宝塚出の女優さんの舞台を観にゆき、
愉しい一夜を過ごすく予定だった。
じゃがいたしかたなく芝居をキャンセル、
布団の中で寝汗にまみれ、風邪を相手に悪戦苦闘しとる。
 ヤマノカミも一週前に咳風邪をひいて未だ治らずゴホンゴホン。
汗ダラダラとゴホンゴホンで、互いに風邪の症状を競っとる ?
 どえりゃー週末じゃ ! 

  ハナッから立稽古 !!
Date: 2010-05-22 (土)
 「父と暮せば」の稽古初日は六月半ばからだが、
これまで相手役の安藤みどりちゃんと、
二日ほど自主的な本読みをやった。
さらにあと三日ほど二人の自主稽古をしてから稽古初日に臨む。
 なにせ父と娘の二人芝居じゃから、
みどりちゃんとオノレの都合さえつけば、
そろって本読みできるけえ、まことにありがたい。
 で、みどりちゃんとすでに終えた二度の本読みから、
彼女の今回の舞台にかける意欲と覚悟が、
ひしひしとオノレに伝わってきよった。
六月の稽古初日までには、たぶん台詞をほぼ頭に入れ、
広島弁もしっかりマスターしてくることじゃろう。
もちろんオノレもすでに台詞はシッカリ入っとる。
厄介な広島弁も、どうやら「台詞」を「日常会話」として、
迷わず自然に広島弁で言えるようになってきたような気がする。
 六月半ばの稽古初日は、ハナッから立稽古じゃ !!

  樹木ばかりは・・・
Date: 2010-05-21 (金)
 いゃあ〜、昨日からどえりゃあ暑くなってきよった。
この急激な気候変動のせいか、ヤマノカミは咳風邪。
仕事場にいけば、ひどい風邪をひいたという病み上がりが二人。
オノレも鼻腔に風邪の予兆のような変化を感じ、
あわてて漢方の予防薬を服用したわい。
 この気だるくなった陽気の中で、
日々樹木ばかりは葉をふやし、この目に鮮やかな緑が映えよる。
樹木は風邪をひかんのんかいのう・・・?!

  白い紫蘭
Date: 2010-05-19 (水)
 ここしばらく小庭の植木鉢で、
紫蘭がけっこうな数の花を咲かせとる。
紫蘭であるが我が家のやつは白い紫蘭。
といっても純白ではない。
かすかに紫をふくんでおり、
蕾の時は、その色が多少濃い。
 風に揺れる細い茎の紫蘭を眺めとると、
精一杯紫になろうと頑張っているのに、
どうしてもなりきれんようないじらしさを感じる。
ませた娘が、「もう大人よ」と言っているのに、
まわりは大人として認めてくれず、
「イヤイヤ !」と首を振っているような・・・。
 ちなみに紫蘭の花言葉は、
「あなたを忘れない」
「お互い忘れないように」
「変わらぬ愛」
「薄れゆく愛」と、
これはもう大人の世界でありました。

  一人稽古
Date: 2010-05-18 (火)
 あたりまえのことだが、芝居の役創りでは、
各シチュエーションで、
いかに的確な表現を見つけオノレの役を演じるか、常に悩む。
その答えがハナッからわかるもんなら、
あまり悩むこともないんじゃろうが、
そう簡単に芝居の神様は、
オノレのごときボンクラ役者に正解を与えてはくれんのよ。
で、けっきょくのところ、
「怠けず、焦らず、ひたむきに稽古を重ね、
その過程で一つずつ正解を見つけ、肉体表現化し、
己のモノにしていくっきゃないわい !」と、
オノレは自らに言い聞かせ、つい怠けたくなる気持ちを抑え、
皆さんとの稽古に入る前の一人稽古をしとるわけじゃ。
 おかげで今日の一人稽古では、いくつかの発見があった !!
そうか・・・、やっぱり芝居創り・役創りは山あり谷あり。
苦労して発見する「宝探し」の旅なんだなぁ〜。
発見する悦びは、楽してては生まれんのネ ?!

  「水の輪朗読教室」の発表会
Date: 2010-05-17 (月)
 四谷の喫茶店で行われた、
「水の輪朗読教室」の発表会へ足を運んだ。
この教室の主宰者は森うたうちゃん。
彼女の指導のもとに朗読を学ぶ方々の発表会である。
 一人一人、丁寧に行きとどいた指導をするため、
小人数(今回は六人の出演者)で実のある教室にしたい・・・。
うたうちゃんのかようなコンセプトを裏付けるように、
メンバーそれぞれの個性と資質が生かされとって、
およそ外連味(けれんみ)なく、
真摯さと清々しさにあふれた朗読発表会だったな。
 オノレも去年、所属するメディアフォースの声優養成所で、
青息吐息、ヨタヨタ生徒さんを指導する体験をした。
で、創造的分野で人を導く難しさを痛感したわい。
指導する側のコンセプトと指導力が問われるのはもちろん、
学ぶ人の姿勢と資質によって、花は咲きも枯れもする。
 「表現」ちゅうんは、およそ十人十色の世界であり、
数学のようにスパッと割り切れん、
実に曖昧というか、アバウトな面も多い。
ま、この曖昧さにかまけて導く能力のなさをごまかし、
アバウトな教え方をしとる無責任な指導者もいないではナイ。
(果たしてオノレは大丈夫じゃったろか ?)
 まこと「水の輪朗読教室」の発表会は、
導く人の学ぶ人への誠実な姿勢と、
真摯な指導成果が感じとれる一時間であった !

  國太郎と芳三郎
Date: 2010-05-15 (土)
 今日は国立劇場で公演中の劇団「前進座」公演を観る。
演目は、通し狂言「切られお富 ー処女翫浮名横櫛ー」
(むすめごのみうきなのよこぐし)。
一般に有名なのは、
「しがねえ恋の情けが仇・・・」の台詞で知られる「切られ与三」。
その切られる与三郎をお富に置きかえた悪婆物の書き替え狂言じゃ。
 お富を演ずるのは六代目・河原崎國太郎。
与三郎は七代目・嵐芳三郎。
この二人、前進座の将来を担う大いに期待される役者。
そして余り大っぴらにしとうないが、
立派に成長しとるらしいオノレの甥っ子。
つまりオノレはお二人さんの叔父ちゅうわけで、
恥ずかしながら、これまでオジギはしても、
オジキらしきことは何もしとらん。
で、今回の公演は甥の一人広巳が、
嵐広也改め七代目嵐芳三郎になった襲名披露公演でもある。
(オノレのオヤジが五代目で、アニキが六代目。二人とも故人)
 オノレはこれまでも、これからも、
およそ期待されないはぐれ役者じゃが、
この甥っ子二人の今後に大いなる期待をしつつ、
今日の舞台をシビアに見届けたい !

  わかっちゃいるけど・・・
Date: 2010-05-14 (金)
 あれよあれよと八月の独歩さよなら公演、
「父と暮せば」の稽古初日が一カ月後に迫ってきた。
制作面の準備は今のところ順調に進行しとるし、
役者としてのオノレも、
これまで以上に抜かりなきよう予習しているつもりだ。
それでも日々精神的緊張が強まってきているのか、
このところ見る夢は悪夢ばかりである。
 今朝は銭湯の湯船で下血し、
血だまりのようなその中にオノレが浮いておった。
とにかく寝付きの悪いオノレは、
すこやかに眠ろうと思い、つい酒を飲み過ぎッちまう。
こげな悪夢のごとく、ユメユメまた下血せんよう、
酒量控えめに飲まにゃならんわい !
(わかっちゃいるけど何とかで・・・)

  「父と暮せば」の舞台美術
Date: 2010-05-11 (火)
 八月、独歩さよなら公演「父と暮せば」。
その舞台美術プランが上がり、
プランナーの加藤ちかちゃんに見せてもらった。
 オノレの予想していたものを超える、
まことにリアルでグッドな舞台装置になりそう。
チトたまげる仕掛けもある。
 小劇場という、幅も奥行きも高さも、
そして独歩の美術費も限られた、
まことに厳しい空間と予算を覚悟しての舞台美術。
プランナーは、このカコクな条件を超えて、
創意工夫し、作品に見合った空間を設計せにゃならん。
 加藤ちか、さすがに引く手数多のプロであった !

  桃太郎 !
Date: 2010-05-09 (日)
 声優としてのオノレが、
そのマネージメントをお願いしているのがメディアフォース。
このプロダクションには若い声優さんがたくさんおる。
その若者たちの中の有志五、六人が、
毎回独歩プロデュース公演にスタッフとして参加してくれ、
大いにガンバッてくれとる。
 さて、去年十二月の独歩公演、
「海ゆかば水漬く屍」に参加したメディアフォースの野川雅史君。
この芝居の稽古で、主役の代役をずっとしてくれとったが、
本番二週間前にしてこの主役がけっきょく降板、
急遽代役の彼が主役として本番の舞台に立つこととなった若者だ。
彼は大変なプレッシャーと責任の中で、
まことに難しい役を生き生きと演じ、みごとその重責を果たした。
前途洋洋、二十代半ばの野川君。
今回もスタッフとして参加してくれ、オノレの代役を務めてくれる。
で、声優としてはまだスタートラインの彼だが、
つい最近、彼に芸名を付けさせていただく光栄をオノレが担った。
(実は半ば強引にオノレが勧めた)
 野川雅史改め、《桃太郎》。
オノレはかように命名させてもらった。
彼のキャラクターからイメージしたら、
鬼退治の桃太郎さんがオノレの頭にひらめいたのである。
 桃太郎、ガンバッて声優界にうって出よ。
皆々さま、桃太郎をヨロシク !!

  北林谷栄さん・・・
Date: 2010-05-08 (土)
 北林谷栄さんが亡くなった。
オノレが劇団民藝に所属していた十代後半から二十代、
いくつかの舞台でご一緒させていただいた。
 「島」(堀田清美・作)という芝居では息子役をさせてもらい、
ほんまの息子のように厳しく可愛がってもらった。
「泰山木の木の下で」(小山祐土・作)という芝居では、
地方公演を一年半も共に巡演し、オノレは北林さんの鞄持ちをした。
この二つの芝居は、ともに広島の被爆者に関わるドラマであった。
あの頃の充実してはち切れそうな北林さんの舞台姿が、
オノレの脳裏にまざまざとよみがえる。
 はからずもこの八月、被爆者の父と娘を描いた名作、
「父と暮せば」(井上ひさし・作)を上演するオノレは、
今、移ろう歳月の早さを思いつつ、
九十八歳という天寿を全うした北林さんの冥福をそっと祈る。
 「愛嬌と凄味と賢さ」をそなえた、ホンモノの大女優であった !

  クノーチェ
Date: 2010-05-06 (木)
 NHK教育TV・月曜日〜金曜日、
午前 7:00〜7:15の子供番組「シャキーン」。
この番組の木曜日、毎週ではないが、
「クノーチェ」という三分くらいのアニメシリーズがある。
ミニミニ番組だが、まことにほのぼのとしたアニメのお話で、
子供の情操教育にはなかなかいい内容だとオノレは思う。
で、そのクノーチェという名の老木の声を、
ありがたくもオノレがさせてもらっとる。
全20話のうち、半分の10話分の収録を終えたが、
反響の大きさによっては延長があるかもという話もなくはなくて・・・。
 もしそうなったら嬉しいなあ・・・!

  鉄面皮な総理
Date: 2010-05-05 (水)
 鳩山総理は即刻辞任せにゃならん。
昨日沖縄県入りし、
宜野湾市での住民対話集会で語った彼の発言は余りに酷い。
「学べば学ぶにつれて、米海兵隊の役割、
抑止力維持の大切さが分かった」。
 つまり政治家になってから総理になるまでの長い間、
彼は沖縄の基地問題や米国軍隊の日本での役割について、
実は何も学んでいなかったというわけだ。
こんな鉄面皮な男が総理をしとったら日本はツブレル。
 民主党政権になり、少しは期待していた政治だったが、
次から次にオノレの期待は裏切られてゆく。
社民党は連立内閣から即離脱すべきだよ、福島さん。

  我が友よ・・・
Date: 2010-05-02 (日)
 今日になってすぐの午前1時頃、
オノレと四十年もの付き合いになる稔ちゃんが逝ってしまった。
稔ちゃんは、数年前から肺癌と壮絶に闘ってきた。
この三月末には、もう一週間もたないだろうと言われ、
身内の方も別れの覚悟をしていたのだが、
四月に入ると驚くほど回復し、
この一ケ月、とても元気な様子だったという。
 自らの建築設計事務所を切り盛りし、
景気・不景気の荒波をエネルギッシュにのりこえてきた稔ちゃん。
オノレより二つ若く、底抜けにおおらかで楽天的だったのに・・・。
いつもオノレの芝居を家族ぐるみで観てくれ、
八月の「父と暮せば」も愉しみにしていてくれたのに・・・。
 よんどころないことではあるが、一年過ぎゆくたびに、
愛すべき我が友が、一人、二人と去って逝く。
 明日の通夜はツライ・・・。

  せっかくの訴えも・・・
Date: 2010-05-01 (土)
 つい最近、核兵器の恐ろしさを訴える舞台を観た。
ある平和団体主催で、多くの人が協賛している公演であったが、
残念ながらせっかくのその舞台は、
およそリアリティーに欠け、まるで核の恐ろしさはなかった。
全体、この脚本を書かれた方と演出家は、
どれだけ丁寧に核や被爆の現実を取材し、
深い創造的努力をなされたのかと、チト首を捻らざるをえない。
 立派なパンフレットに書かれた上演趣旨、
平和のために世界の核の廃絶を・・・、この訴えは尊い。
しかし我々演劇に関わる者が、とても最善の努力したとは思えぬ、
結果としてテーマばかり印象に残るような舞台創りをしては、
せっかくの尊い志の訴えに水をさしかねん・・・。
(ま、それだけでも意味があるちゅう考えもあるのかもしれんが)
 平和運動は大切だし、今の日本社会でもっと盛上ってほしい。
その運動のため、私を捨て、
身を粉にして核廃絶を叫ぶ人たちには頭が下がる。
彼らの切なる願いの声が、一人でも多くの人の心に届いてほしい。
だからこそ、我々創造的分野で、
微力ながらもその役割を果たそうとする者は、
決して生やさしくない努力を自らに課して、
より多くの人の胸に深くおちる舞台創りを心がけにゃならん !