オノレ日記帳

2010年11月の記録



  予防接種と風邪
Date: 2010-11-28 (日)
 なかなか風邪が抜けん。
オノレもヤマノカミもひどい症状ではないのだが、
ダラダラ咳と鼻水が出よって、なんとなく体がだるい。
 風邪をひく十日ほど前、
二人でインフルエンザの予防接種をした。
で、毎年この接種の注射を打つと、
しばらくしてから風邪にやられる・・・、そんな気がする。
この因果関係をどないに理解すればええんじゃろ ?!

  やれやれ・・・ !
Date: 2010-11-24 (水)
 風邪をひいてしまった。
日曜日からヤマノカミがゴホンゴホン。
翌日の月曜日からオノレもゴホンゴホン。
これだけは夫婦和合で咳の合唱。
幸い互いにそれほどひどくはなく、
明日、明後日には全快しそうだが・・・。
 それにしても民主党政権はガタガタ、
管内閣はもうアカンだろ。
そして昨日は朝鮮半島で砲撃戦、南北朝鮮が緊迫しとる。
日本国内の政治も、世界の紛争も、
オノレ夫婦の風邪と違って全快にはほど遠い。
 やれやれ・・・ !

  「映像演劇」 ?
Date: 2010-11-21 (日)
 近年の演劇では映像を使った舞台が多い。
オノレの観た今年の舞台でもとにかく多かった。
映像技術の進化めざましく、それを舞台で活用するのも、
今やそう困難ではないのだろう。
(ご丁寧にチラシやパンフレットがあるのに、
タイトルやスタッフまでも映像で見せてくれたりする。)
 映像を生の舞台の中にとり入れ、
劇的効果を盛り上げようとする狙いを、全否定するつもりはない。
が、その狙いが実際に成功している有効な舞台は、
オノレが観た限りの中では余りない。
ま、これは映像に頼る舞台創りがオノレ好みではないから、
そう思うだけかもしれん。
それでもオノレは、
生の舞台創りの面白さは、作品のもつ風景や風土の味を、
映像ではなく、舞台美術・照明・衣装・音響・小道具、
そして何より役者の表現と演出力で客席に届け、
観客の想像力を喚起させるところにある・・・と、信じたい。
オノレはそういう舞台創りをしたい。
 「映像演劇」? なんてえ新しい芸術分野ができるのか、
すでにあるのかよう分からんが、
「映像」は映画館や茶の間のテレビで見る方がええ !

  首長の言葉
Date: 2010-11-19 (金)
 来年二月、
オノレはインディアンの古老になって語るが、
その参考として購入した本の中にあった言葉。

争いがないようにしなければならない。
すべての人間を平等に扱いなさい。
すべての人間に同じ法を与え、
すべての人間に生きかつ育つための
均等な機会を与えなさい。
すべての人間は
同じグレート・スピリットの長によってつくられた。
だから、人間はみな兄弟だ。
大地はすべての人間の母だから
人間がその上で平等なのは
当然のことなのだ

ネズ・パース族 ジョセフ首長 (1879年)
(めるくまーる出版「それでもあなたの道を行け」より)

 世界のあらゆる国の政治家が、この首長のように考えれば、
たぶん異民族間の争いも、領土のもめ事も起きんだろうに・・・。

(グレート・スピリット 〜 偉大なる精霊。
この世界の創造主。
インディアンの言葉では、
ワカン・タンカと呼ばれている。)

  三ヶ月もあるけれど・・・
Date: 2010-11-17 (水)
 来年二月の『うたう麦 〜 語りの世界 〜』公演で、
オノレと森うたうちゃんとで語る、
「今日は死ぬのにもってこいの日」。
 二人はインディアンの古老になって語るわけだが、
互いの掛け合いによって語るわけでもない。
おおよそは、一節、一節、けっこう長いくだりを、
相手にバトンタッチしながら語りつないでゆく。
であるからして、その稽古は一人でもたっぷりできる。
 短い台詞でのやりとりが多い芝居では、
自身の役と絡む役者たちと一緒に、
時間をかけて密度の濃い稽古をせんと、
なかなか作品全体の世界、
それぞれの役の形象をつかめん。
役の台詞も容易に腹へ落ちてこない。
しかし来年の二人語りの舞台においては、、
二人そろっての稽古もおろそかにはできんが、
むしろ一人でやる自助努力の稽古量と質が、
よりレベルの高い舞台、深い世界を創る気がする。
 本番まで、「まだまだ三ヶ月もあるわい」と、
ついつい怠け心がオノレの内に忍び寄ってくる。
オノレの大好きなタイダちゅう誘惑に負けて、
あまりうかうか過ごしとったらジゴクをみるぞ・・・ !

  「笑顔力」 !
Date: 2010-11-16 (火)
アメリカで開催されたフィギュアスケートGPシリーズで、
村上佳菜子ちゅう16歳の女の子が優勝。
そのスケート技術が優れとるのはもちろんなんじゃろが、
何といっても顔の表情がええ。
「笑顔力」とでもいおうか・・・、
氷上にこぼれ落ちそうなほど天真爛漫の笑顔を見るだけで、
しばし世の中の憂さを忘れさせてくれる。
 さて、来年二月、オノレが挑戦する「語り」の舞台でも、
この「笑顔力」が一つのキーポイントになるかもしれん。
佳菜子ちゃんのように、天真爛漫にとはいかんが、
とにかく柔和に、「カタイ」表情なくして、
インディアンの古老の風雪を「カタリ」たい !

  拙速な時代 !
Date: 2010-11-14 (日)
 とにかく今の時代は拙速に過ぎている。
何でもはやく答えを求めすぎる。
そしてこの時代のスピードについていけんヤツは、
どんどん時代から取り残されていくばかりじゃけえ、
オノレも必死に食らいついとる・・・。
 時代がこういう時代、当然の帰結なのかもしれんが、
多くの芸能・声優プロダクションにしてから、
才能ある若いスターと即戦力ばかり追い求める傾向が強い。
たとえ巧遅であっても、じっくり磨けば光る宝石を、
時間をかけて長い目で育てるところが少ないように思える。
つまり大器晩成タイプ、亀タイプの役者は、
行き場も仕事場も限られ、なかなか生き残りにくい時代じゃ。
プロダクションに所属しとっても、その才能を発揮できず、
放っとかれ、忘れ去られとる若い連中は多い・・・。
ベテランも多い !
が、泣き言を並べとっても、誰も救ってはくれん。
自らが好きで飛びこんだ世界・・・。
己自身でこの厳しい現実に挑戦し生き残るしかしゃあない !
 ところで、タタキあげの熟練職人が作った道具はなかなか壊れん。
使い込むほど使いやすくなったり、輝きをましたりする。
即席に輝くものは案外モロかったり、
錆びやすいんとちがうんかい・・・?! 

  HPトップ・公演情報
Date: 2010-11-12 (金)
 オノレのHPトップ・公演情報に、
《うたう麦 〜 語りの世界 〜》公演を掲載した。
チラシやオノレのお誘いの挨拶など詳細が載っとる。
ぜひのぞいてみてやってくれんさい。
で、短い公演期間ではありますが、来年二月、
一人でも多くの方に武蔵野芸能劇場へ足を運んでいただきたい。
 どうぞよろしくお願い致します !!

  《万年筆》
Date: 2010-11-10 (水)
  《万年筆》

遠い昔
中学生のボクは一生懸命だった 
女の子を好きになることに夢中で努力した
勉強はまったくしなかった

恋ではなかった
恋に恋した
ほかにできる面白いこともない
だからみんな片想いで
次から次に何人も一緒に好きになった
ボクに想われた女の子の目に
ボクの姿は映っていない

ナカヤマ スズキ カワサキ
ミヤモト イシイ イワサキ
イイジマ マシモ スギヤマ
まだまだほかの女の子も好きになった
名前は出てこないけれど顔はみんな憶えている

でも・・・
ミヤモトさんだけはとくべつ好きになった
三年生のとき一緒の組で
卒業まで一言も話すことはなかった
いま思うと頬のぽっちゃりした
給食のおばさんみたいな老け顔だけど

ある日
ボクはミヤモトさんの筆箱から万年筆を盗んだ
勉強をするためではない
ミヤモトさんといつも一緒にいたかったのだ
卒業してからも

それからずっと
ボクは罪悪感にさいなまれた
ボクのミヤモトさんになった万年筆は
いつもボクの上着のポケットにいたけれど
なんだか泣いているような気もした
だけどボクは返せなかった
そしてボクたちは中学を卒業した

卒業して一月半ほど過ぎてボクは決意した
ミヤモトさんに万年筆を返そうと
男らしくボクの想いを伝えてあやまろうと
五月の昼下がり
ミヤモトさんの住所を調べボクは中央線に乗った
なぜかミヤモトさんは
高円寺から吉祥寺の中学校へ通っていた

ミヤモトさんの住むアパートは
古い木造二階建てのボロボロだった
ミヤモトさんの部屋は203号室
階段を踏むとギシギシ悲鳴をあげた
ボクの心臓も一段上がるたびに悲鳴をあげた
ボクは203号室の前に立って中の様子をうかがった

203号室に人の気配はない
ボクは扉をたたくのをためらった
暗いミヤモトさんの部屋の
その部屋の前のさらに暗い廊下に
ボクはただ硬直し案山子のように突っ立っていた
ドッキンドッキンと胸は大きく鼓動し
頭の中も真っ白だった

数時間にも感じた数分
背中ごしにゴトリという音がした
ボクはまるで泥棒のようにうろたえ
ポケットの万年筆を取り出し
203号室扉前の廊下に置いた
それから足早にアパートから逃げた

空は五月に晴れて
ボクの心は小さな小さな雲となり
その空の片隅に浮いて流れた

  黒幕・・・?!
Date: 2010-11-09 (火)
 オノレは声優として、
わずか二ヶ月のフリー暮しを経て、
この十一月に設立したプロダクション、
〈ベストポジション〉に参加したことを、
すでにこの日記上でお知らせした。
で、設立時のスタートから参加したせいか、
このところ声優・役者仲間や制作関係の方々から、
「麦さんも役員でしょ ?」とか、
「会社に出資しているんじゃないの ?」とか、
はては、
「黒幕でしょ ?」とか、
たずねられたり、ウタガワれたり・・・。
 じゃけえ、このさいゴカイなきようはっきり公表するが、
オノレはこの事務所に参加した、
数少ない他の役者・声優さん同様、
〈ベストポジション〉さんに、
声優としてのマネジメントをお任せする、
ただ一介の所属声優にすぎんのだ。
 だいたいオノレは、
「プロダクション経営」なんてえことに、
サラサラ興味もなぁーし、手腕もなぁー。
もしそがぁーな才覚と人格が具わっとれば、
もっと若い頃、派手にやっとるわい。
 ま、たしかにオノレとヤマノカミ二人だけの、
〈 独歩〉は創った。
ほいでエラそうにも、おのれはその代表取締役。
しかし独歩は、
ただオノレの芝居の夢を実現するために設立した会社。
会社の中味は、組織とはほど遠い超零細・家内事務所じゃ。
じゃけえ、友人たちから「道楽」と言われ続けた、
モウからん芝居の制作を、今年限りでやめざるをえんかった !
 だいたい組織の「黒幕」をつとめるほど、
オノレには権謀術数の知恵も器もまるでなぁー。
ザンネン !
オノレが自ら「クロマク〜ッ !」と叫んでも、
オノレを良く知る連中が、
芝居で使う「黒幕」をしっかり持ってくるだけじゃろう。
 オノレが〈ベストポジション〉に所属したのは、
この新事務所を立ち上げた若き代表&マネージャー君が、
声優としてのオノレの現在の仕事を、
他の誰よりも知り尽くしておったから。
また、長い付き合いを通して、その「愛すべき人柄」と、
「行動力」を見込んで大いに期待したからじゃ。
 ちゅうわけで、〈ベストポジション〉に所属した立場を、
ベンカイがましく説明する必要もないんじゃが、
あらぬゴカイはメンドークサイ。
 とにかくオノレは一声優、一舞台人として、
体がつづく限り、これからも精一杯ガンバル。
ただそれだけ ! 

  続・我が箴言 ?
Date: 2010-11-08 (月)
落魄とは自分の体温だけで温まること

金ばかりの人に刎頸(ふんけい)の交わりなし

幸福ばかりの不幸なドラマ

欲望は懐疑との二人三脚

普段の人は誰でも名優

今や人は自然の癌 やがて地球は宇宙の癌

人も自然もあるがままの美を失う地球

電車の中を恥知らずの魑魅魍魎が跋扈する

死は無限に連鎖していく生の鎖の裏返し

死の理想は生きた証のカケラも残さぬこと

 ホンマ、ニエラソウニ・・・スンマッセン !

  〈シンプルな生活〉
Date: 2010-11-07 (日)
 人の暮らしにとってなくては困るもの、
必要なものはもちろんたくさんある。
しかしオノレのごとき狭いスペースの居住空間にでさえ、
時々、余りに不必要なものの多いことに気づきイヤになる。
とくに雑誌、文書の類がそうで、
知らぬ間にアチコチ山積みとなってしまい、
必要なものを探し出すのに一苦労、ムダな時間を費やす。
で、いざ整理してみれば、
その八割方は今や無必要なものばかり・・・。
 「ムダ、ムダムダ」と、
いつも九官鳥のように口走るヤマノカミが扱うものにしてから、
あってもただあるだけのものが、オノレにはぎょうさん目につく。
台所用品、衣類、その他諸々・・・。
 去年、小平の現在の倍あるスペースのマンションから、
〈シンプルな生活〉を目指して狭いマンションに引っ越したが、
この理想は、我々夫婦が死ぬまで実現できんかもしれんな !

  ようやくスタートラインに・・・
Date: 2010-11-01 (月)
 十一月・・・。
二ヶ月後には年が明ける。
来年二月には、『うたう麦 〜 語りの世界 〜』公演。
(武蔵野芸能劇場・三鷹駅北口)
 オノレと森うたうのコンビで語るは、
「今日は死ぬのにもってこいの日」(原作・ナンシー・ウッド)。
アメリカインディアン・プエブロ族の古老夫婦が、
利潤追求第一の現代文明と対極にあるような世界観を語る・・・。
 およそ一時間ほどの舞台になりそうだが、
何とかオノレの語り部分の言葉が頭に入ったかな ?
ようやく役者として作品と闘うスタートラインに立てた。
 残された本番までの三ヶ月余、
オノレはオツムに入れた台本の活字を顎がはずれるほど咀嚼し、
人生の風雪を積み重ねた古老インディアンの語りにせにゃならん。
語る言葉をオツムの中で探らずとも生き生き語れるところまで、
作品のもつ世界をオノレの体内で消化せにゃならん。
 原作を出版しとる〈めるくまーる〉さんが、
《うたう麦》の作品にかける思いを理解してくれ、
まことありがたきかな、協力・応援をしてくれるという。
で、めるくまーる出版さんの本の中に、
我々の公演チラシを折り込んでくださることにもなった。
そのご厚意に応えるため、一週間後にはチラシができる。
 オノレとうたうちゃんは、
「今日は死ぬのにもってこいの日」の二人語りを、
来年二月の本番以降も、機会と場を求め、
長くアチコチで上演しつづけていこうと目論んでいる !