オノレ日記帳

2010年12月の記録



  老若・・・
Date: 2010-12-28 (火)
若いころほど
悲嘆の日々があってもあってもよいのだろう
ひょっとして悲嘆の向こうには
キラめく日々があるかもしれないと思えるから・・・

歳を重ねるほど
楽天ばかりを考える日々のほうがよいのだろう
ひょっとして悲嘆の向こうには
さらに悲嘆の日々しかないのだから・・・

  「地上の楽園」 へ帰った人・・・。
Date: 2010-12-26 (日)
 ふと、あの人を想う。
半世紀も前、「近くて遠い国」へ帰ったあの人を。
ボクより二つ年上の美しい人。
演劇を夢みて、演出家を志し、
彼女の目は翡翠より深く透明だったような気がする。
家族と共に祖国に帰り、その夢をはたす希望に輝いていた。
 わずか二年ほどの芝居仲間だったけれど、
落ち着いたらくれると約束した手紙は、
けっきょくボクのところへは一通も届いていない。
 あの人は雪降る新潟港から、「地上の楽園」へと帰った。
あの人の、はちきれそうだった演劇への夢は、
「地上の楽園」で、どのように咲いたのだろう・・・。

  独歩さよなら忘年会 !
Date: 2010-12-24 (金)
 昨夜、「独歩さよなら忘年会」は無事終了。
七年にわたる独歩の活動に終止符を打つ締め括りとして、
まっこと愉しい四時間の時を過ごした。
残念ながら諸々の事情で参加できない方々もたくさんいたが、
それでも独歩の舞台に関わった53人もの役者・スタッフ、
独歩の舞台をずっと応援してくれた友人の皆々様と、
さまざまな思い出を振り返り、その苦楽を語りあった。
皆さん、お疲れ様。そしてほんとうに、ほんとうにありがとう !!
また昨夜の忘年会には参加できずとも、
陰に陽に独歩を長きにわたり支えてくれた全ての方々に、
改めてオノレは心から御礼の気持ちを伝えたい !
言葉で言いつくせぬ感謝の気持ちを伝えたい !!
〈冬来りなば春遠からじ・・・〉
皆々様、よい年越しを !!

  さあ、今夜は・・・!!
Date: 2010-12-23 (木)
 一泊二日ではあったが、久しぶりの関西。
かつてオノレの独演・独談を招いて下さった中心メンバーの方々と、
難波・宗右衛門町の割烹料理屋さんで、
美味い料理と酒に舌ツヅミ打って大いに語り、愉しかった !
何れ《うたう麦》を招いていただければ嬉しいが、
来年二月の初演を観てくれそうなので、話はそれから。
「招くほどのことはない」と言われんように、
しっかり稽古して、よい語りの舞台を創らにゃいかんぜよ !!
 さあ、今夜は「独歩さよなら忘年会」。
参加者総勢53名。こちらも愉しく大いに盛り上がり、
独歩の最期を締め括りたい !!

  売り込み ?!
Date: 2010-12-20 (月)
 明日から一泊二日で神戸〜大阪へ行ってくる。
目的の半分は、長年ご無沙汰しとる神戸の知人たちと、
久しぶりに会うてうまい酒を飲み、交流を深めること。
そしてあとの半分は、こちらの方が大事なんじゃが、
この古いお付き合いの知人たちに、
オノレが森うたうと立ち上げた《うたう麦》の舞台を、
いずれ関西方面に招致していただけるよう売り込んでくること。
 つまり今回お会いする方々は、
十年以上前まで独演・独談活動をしとったオノレの舞台を、
何度か招いてくれ、上演させてくれた人たち。
もっとも一人での公演活動をよしてからずいぶん過ぎたし、
不義理ばかりしとるけえ、オノレの突然の売り込みに、
どれくらい前向きに耳傾けてくれるものか・・・、チト心もとない。
 ま、どない答えがいつ出るかわからんが、
当たって砕けろちゅう気持ちで、
一生懸命《うたう麦》の志を誠実にお話ししてくる !

  役創り最大の敵・・・。
Date: 2010-12-19 (日)
 役者にとって、
役創りのとば口でプランを練るのに大切なことは何か ?
役創り最大の敵は何か ?
 おおよその役者ならわかる凡庸な答えかもしれんが、
まず忘れてはならん大切なことは、
上演する作品を大局的にとらえることではなかろうか ?
ま、このことを肝に銘じて、
オノレが役創りを心がけるようになったのは、
いやはや、ずいぶん歳をくってからで・・・、オハズカシイ。
 木に例えれば、やはり根っこがもっとも大切。
もちろん枝葉も大切なんじゃが、
枝葉はしっかりした根っこなくして育たんもんな。
(根っこも豊かな土壌なくしては、なかなか根付かん)
 自分の役と出番ばかり、
また台詞細部の表現ばかりにこだわって役創りに入ると、
結果として作品の大局を見失い、誤った表現になりがちである。
 作品の根本を貫くテーマ、ドラマの流れ、
己の役もふくめた、すべての役が、それぞれドラマ全体の中で、
いかなる役割を果たしているのか・・・、果たすべきなのか。
まず始めに、ここをなるたけしっかり押さえておかんと、
枝葉のよい表現もなかなか見えてはこない。
 実に役者にとって、役創り最大の敵は、
「唯我独尊」という姿勢なのかもしれん !

  アメリカ・インディアンの資質
Date: 2010-12-18 (土)
 来年2月の《うたう麦》の旗揚げ公演。
「今日は死ぬのにもってこいの日」(ナンシー・ウッド原作)を、
オノレは森うたうちゃんと二人で語る。
 このアメリカ・インディアンの世界を知るため、
いろいろ資料の写真を見ているうちに気づいたこと。
彼らの笑っている写真が今のところ見つからない。
ゼイ肉がなく、丸顔でなく、肉体はしまって眼光鋭い。
ハゲ頭のインディアンも今のところ見つからん。
で、笑顔はさておき、かような彼らの肉体的資質は、
およそオノレのそれと異なる・・・。
いや、マイッタ。
なかでもハゲがいそうもないちゅう事実は、
今やそうとうハゲとるオノレにとって笑劇・・・、
いや、ショウゲキ的事実じゃった !
こりゃカツラを考えにゃならんわい・・・と、
悩んだあげく衣装の広野洋子ちゃんに相談したら、
彼女がカツラもどきの被りものを作ってくれるという。
ヤレヤレ。
 オノレが本番で、どない姿に変身し舞台にいるか・・・?
皆さま、どうぞゴキタイください !

  ドウニカシテヨ !?
Date: 2010-12-15 (水)
 最近は新聞を読むのが苦痛である。
テレビのニュースを見るのも苦痛である。
マスコミ媒体で垂れ流される情報の、
政治も社会も何もかもがうさんくさく思え、
オノレのオツム一杯いっぱい、不信の塊じゃ。
いっそ半年くらい新聞もテレビもインターネットも、
いっさい読まず見ずして暮してみようか・・・。
半年ぶりに知る世の中が、チッとは新鮮に思えるかも ?
 多分管内閣ではない内閣になっていたり、
ひょっとすると三度北朝鮮が核実験を行い、
朝鮮半島が危機的状況になっていたり、
すでに海老蔵が歌舞伎の舞台に立っていたり、
アスレチックスに入った松井が、
獅子奮迅の大活躍をしていたり・・・。
 とにかく毎日毎日世の中のニュースを知らんでいても、
それほど困ることなんざないような気がしてきたし、
知らんほうが健康に暮らせるような気もする今日この頃。
 ドウニカシテヨ !?

  二つの忘年会。
Date: 2010-12-13 (月)
 来年2月18日 〜 20日は、
女優・森うたうとオノレで立ち上げた語りの会、
《うたう麦》の旗揚げ公演。(三鷹駅前の武蔵野芸能劇場)
その最初の稽古はいよいよ明日である。
年内はこれ一回だけ。
ほいで、稽古終了後は《うたう麦》の忘年会。
ちゅうても《うたう麦》の役者は二人。
スタッフもそれほど多くはない。
たぶん参加するうちの20人以上は、
この先《うたう麦》を応援してくれるゲストの若い方々じゃ。
(この方々は、今年からオノレの舞台の制作補佐を、
一生懸命してくれている外丸麦ちゃんのお仲間。
で、実はその麦ちゃんてえのは・・・、
な、なんと、オノレの一人息子なのであります !)
 クリスマス前の23日には、
独歩の解散をキネンして ?「独歩さよなら忘年会」もある。
こちらには、独歩最初のプロデュース公演から、
今年最後の公演までの七年間、
全11作品のいずれかの舞台に関わった役者・スタッフ、
長く独歩を応援してくれたオノレの友人など、
総勢56人ものみなさんが参加してくれる。
ワイワイガヤガヤ、ケンケンガクガクと・・・ ?
波乱万丈だった独歩の稽古や本番を振り返り、
オノレは皆さんと名残を惜しむことになるじゃろう。
 どちらの忘年会もオノレにとって、
一生の思い出に残る愉しい一夜になること疑いなし。
 連鎖、円環する、人と人の付き合いの大切さ、ありがたさを、
しみじみ感じる十二月の忘年会になりそうだわい・・・!

  劇場に吹くは木枯らしばかり・・・
Date: 2010-12-10 (金)
 世の中の景気が低迷し、
一向に明るい先行きが見えてこないせいか、
芝居の観客動員にはどの団体も苦労しとるようだ。
昨日オノレが足を運んだ舞台も、
それなり知名度のある団体の公演であったが空席が目立った。
 チケットが五千円、六千円という公演も珍しくない今、
庶民はそうそう劇場へ足を運んでくださらんちゅうことか・・・。
まして結果、ガッカリさせられるような舞台であれば、
ますます劇場へ行くのに腰は重くなるにちがいない。
 毎月、驚くほどの舞台が上演されては消えてゆく。
しかし一人でも多くの演劇ファンを増やすには、
芝居を上演する立場の人間が、
観客の記憶に残る、質の良い舞台創りに心して励まんと、
客足はますます遠のき、劇場に吹くは木枯らしばかり・・・、
なんてえことにもなりかねん。
 来年二月に迫ってきた『うたう麦 〜 語りの世界 〜』公演、
オノレも演劇をとりまく現況の厳しさをしっかり認識し、
お客さまの記憶に残る、明日につながる舞台創りを目指したい !

  長寿社会
Date: 2010-12-07 (火)
 年明け早々古稀を迎える酒豪の友人曰く、
「後十年、傘寿まではしっかり舞台に立ち、
卒寿まで毎日酒を飲み続けたい !」と意気軒高。
オノレも古稀までそう遠くはないんじゃが、
遺伝子的に長命とは思えんから、
こげな友人のごとき気迫も自信もまるでない。
 ウィキペディアによれば、古稀の由来は杜甫の詩、
「酒債は尋常行く処に有り 人生七十古来稀なり」
(酒代のつけは私が普通行く所には、どこにでもある。
しかし七十年生きる人は古くから稀である)だという。
 人類誕生からつい半世紀前までは、
たぶん「人生七十古来稀なり」の時代だったろうから、
平均寿命八十の今の長寿社会は、
「異常」な時代であるともいえるのではなかろうか ?
 我が酒豪の友、また曰く、
「この長寿社会を生んだのは、
一にめざましい医療の進歩であり、
二に第二次世界大戦後、戦争や紛争のない平和国家が、
どんどん増えてきているからだよ」。
 ま、確かにそういう裏付けがあるのなら、
それはそれで大変けっこう。
が、オノレはどうも、それほど楽観的には考えられんのよ・・・。
 ちなみに昔、オノレの行く所、
つけで飲める店はいくつもあった。
古稀も遠くない今、つけの利く店は一つもなァー !

  さざんか
Date: 2010-12-03 (金)
 拙宅のお隣さんの庭に咲いているさざんか。
深紅の花をひらいて、
ずいぶん長い間、オノレの目を和ませてくれよる。
花言葉は「困難に打ち勝つ、ひたむきさ」とか。
 この時代の困難を生きるに、
ひたむきさだけではどうにもならん気もするが、
自らが選んだ道を漫然と歩いとっても迷路ばかり。
一輪枯れても、また一輪と花を咲かせる、
さざんかのごときしぶとさと知恵をもたにゃいかん・・・。
もっともオノレの場合は、
これから花びらを一片、一片落としていくばかり ?!

山茶花の演歌哀しや別れ歌  麦  人

  深層に潜む記憶・・・
Date: 2010-12-02 (木)
 オノレは熟睡できないタチのせいか、
とにかく毎日のように夢をみる。
 心理学において、
夢はどう定義づけられているのかは知らん。
ただ未来志向に希薄な年寄りのみる夢の傾向は、
その人の遠い過去が深く反映しているものが多いのでは ?
 今ではオノレの場合も、
近々の出来事を反映していると思われる夢はそれほどみない。
だいたい十代、二十代にさかのぼったようなものがほとんどで、
中には目覚めてビックリするような夢もある。
 例えば、覚醒時の己の記憶においては、
微塵も思い出すことのできない風景や人間が、
隠し絵の中から突然飛び出してきたように、
夢の中でポッカリ現れてきたりして・・・。
「これは八代(熊本)の、昔遊郭だった通りだ」とか、
「小学六年の時、同じ組にいたホシカワ君だ」とか、
その地名や名前まで、この夢をみることにより甦ったりする。
とはいえ、その地や人物とオノレとに、
格別な思い出やつながりがあったわけではないのだ。
 まこと人の深層に潜む記憶には、
底なし沼のように測り難いオソロシさがある。