1986年の秋。東京・武蔵野市吉祥寺のビデオ器機ショップのミニ空間で、
私の独演活勤はスタートしました。
それが、いずれ自分のライフワークとして一生上演し続けようと、
三十代からあたためていた詩人・草野心平の小説『ごびらっふの死』です。
今振り返れば冷や汗ものの初演。作品への思い入ればかり強過ぎて、
ただただ無我夢中、未知の世界に旅立つ情熱だけが取り柄の舞台
だったのではないかと思います。
その日からおよそ十三年。公演回数こそ多くはないのですが、
各地で招いて下さる方々の暖かいご声援、ご批判を頂戴しながら、
自分の表現も、やっと成人式を迎えるくらいには成長出来たかなと思っております。
そう、この作品の持つ世界はまことに豊かで奥深く、
上演の度、新しい発見があり、反省があり、つれて私の表現も変わってまいりました。
つくづく表現の世界には、完全もなければ、終りもない・・・という言葉を、
一役者として実感させられるのが、この『ごびらっふの死』という作品なのであります。
草野心平は、学校の教科書等にもよく載っており、
蛙や富士山の詩人としてご存知の方が、たくさんいるかと思います。
1988年、齢をまっとうされ故人となりましたが、
「独特の宇宙感覚に充ちた叙情を展開。情動の詩人」と、
心平に深く造詣している詩人・深澤忠孝氏は評しております。
ドラマのストーリーは極めて素朴。死をまじかにした老殿様蛙「ごびらっふ」と、
若い処女蛙「るりる」の恋物語。
そしてこの二人と、それをとりまく仲間たちの生と死。愛と祭りの物語・・・
私はこの作品を、自作の独演『リュックサック』ともども、
この体が動けなくなるまで演じつづけたいと思っております。
日本国中・・・何処へでも、小さな規模でも出前公演を致します。
お招きいただければ無上の歓び・・・
過去、この独演を通じて出会った多くの方々との交流は、私にとって大切な宝物。
さらに、これから出会う人たちとの胸おどる交流を夢見つつ、
私はいつでも待機しております。 |


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(QuickTimeMovie 約2.1MB)
LHAにて圧縮しておりますので別途LHA解凍ソフトをご用意下さい。 |
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