【別役実・作「象」上演について】
2005年は敗戦60年、被爆60年の節目の年。
独歩ではこの年にふさわしい舞台を上演したいと、
劇作家・別役実の初期代表作である「象」を選びました。
「象」は、別役実が弱冠25歳のときに書いた戯曲です。
昭和37年、劇団自由舞台(後の早稲田小劇場)を、
鈴木忠らと共に結成した別役が、劇団のために書き下ろし、
俳優座劇場で初演されました。
被爆者たちの激しい内的葛藤と苦悩。
人の生死、その生きざまを、
淡々と静謐に、ときに激しく描いて、
観ての心に深く問いかけてくる骨太な芝居です。
作品が生まれて既に40数年たちますが、
その今日的なテーマは未だ鮮度を失っておりません。
過去、いろいろな劇団やグループによって上演され、
一昨年は坂出洋二・主宰する劇団「燐光群」も上演しております。
そして独歩も、過去に上演された舞台に劣らぬ、
密度の濃いしっかりした「象」を創りあげようと、
役者・スタッフ一丸となって準備に取り組んでおります。
演出は劇団「世代」の伊藤勝昭氏。
かつて世代の代表作ともいえる「阿Q正伝」、
最近では俳人・山頭火を主人公にした、
「あの白い風をあるいて・・・」などを演出し、
地道に確かな仕事を続けている演出家です。
出演者も舞台経験豊富なベテランの方々に参加して頂き、
味のある個性的キャスティングになったと確信しております。
皆々様、ぜひこの8月、
下北沢OFFOFFシアターへ足をお運びください!
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